変態マザーボードで盛り上がったのち、「ASRockは変態だけじゃありません」という山田氏が、最新のマザーボードラインアップを紹介した。いま、ASRockマザーボードで高く評価されているのが、マザーボードの基板に設けたUSB 3.0対応ヘッダピンの存在だ。このピンにケーブルを接続して、マザーボードからフロントパネルにUSB 3.0インタフェースを設置できるのが自作PCユーザーから支持されている。
ただ、USB 3.0に対応するヘッダピンの規格は現在策定中で内容が確定していない。このことについて、リー氏は、「策定中の情報を分析して、多分標準になるだろう内容でヘッダピンの仕様を決めている。ただ、標準規格が確定していないので、現時点では独自規格といわれたらそのとおりかもしれない」と説明する。
イベントでは、この週末から出荷が始まった「X58 Extreme6」や、すでに出荷している「P55 Extreme4」「890FX Deluxe4」「890GX Extreme4」といった、最近のASRockを象徴する「いたってまじめな」マザーボードが登場した。X58 Extreme6の「6」は、「6コアCPUサポート」「6基のUSB 3.0」「6基のSerial ATA」を表している。6基のUSB 3.0のうち、4基が“フロントUSB 3.0”として使える。
また、マザーボード以外のASRock技術として、「Smart View」「ASRock AIWI」「Instant Boot」「Combo Cooler Option」「OC DNA」「Turbo UCC」が紹介された。SamrtViewはAeroのようなユーザーインタフェースを採用したWebブラウザで、現在ASRockのWebページからダウンロードできる。「ASRock AIWI」は、PCとiPhoneをBluetooth、もしくは、無線LANで接続して、iPhone/iPod touchをリモートゲーム端末として使えるようにする技術だ。ラケットやゴルフのクラブのようにiPhoneをスイングすることで、PCゲームがプレイできる。
Instant Bootは、Windowsを単時間で起動する技術だ。ASRockがYouTubeなどで公開している動画では、競合するPCベンダーのマザーボードを組み込んだシステムと起動時間を比較して、Instant Bootは4.6秒、ほかのシステムは40秒以上かかったことが紹介されている。Combo Cooler Optionは技術というより工夫というもので、マザーボードの基板に、LGA775とLGA1156/LGA1366対応クーラーがどちらも搭載できる「穴」を設けている。
OC DNAは、オーバークロックの設定内容をファイルに保存し、そのファイルをほかのユーザーが使っているOC DNA対応マザーボードで読み込むことで、同じオーバークロック設定を利用できる。Turbo UCCはオリジナルユーティリティで、マルチコアCPUで一部のコアがDisableになっている場合、DisableコアをEnableにするとともに、オーバークロック、省電力設定が簡単な操作でできる。
最後に、10月から出荷を予定しているホームシアターPC(HTPC)向けベアボーン「Vision 3D」が紹介された。200(幅)×200(奥行き)×70(高さ)ミリという容積2.8リットルのコンパクトボディに、CPUがCore i5-520M、チップセットがIntel HM55 Express、GPUがGeForce GT425M、メモリがDDR3-1066の2Gバイト×2、そして、Blu-ray コンボドライブ内蔵という構成を収容している。
あとはOSを入れるだけという、ベアボーンというよりコンパクトデスクトップPCのOSなしバージョンに近いモデルだが、対応ディスプレイを用意すれば、NVIDIAの3D Visionによる立体視やBlu-ray 3Dコンテンツが利用できる。
日本で、メジャーなマザーボードベンダーとなると、ASUS、GIGABYTE、そして、MSIとなる。正直にいうと日本市場におけるASRockマザーボードの売り上げは、まだそこまでは達していないけれど、イベント会場からはみ出すほどに集まった来場者の多さは、自作PCユーザーのASRockに対する期待を表している。この先、まじめ路線でどれだけ“化ける”のか。登場する製品と一緒に注目したい。
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