ThinkPadでOptimus Technologyを使うメリットとは:元麻布春男のWatchTower(1/3 ページ)

» 2010年10月18日 16時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

性能とバッテリー駆動時間のジレンマ

外付けGPUとバッテリー駆動時間の両立に向けたレノボのこれまでにわたる取り組み

 日本で販売されるPCの半数以上をノート型が占めるようになって久しい。最近の調査では、すでに国内で販売されるPCの7割がノートPCだという。世界的にも、先進国を中心にノートPCの比率は5割を超え始めているから、この傾向は日本だけの特殊事情ではないことになる。

 こうした“比率”が示すのは、多くの人がノートPCを1台目のPC、あるいはメインのPCとして利用し始めている、ということだ。単にノートPCの性能が、一般のユーザーにとって大きな不満にならなくなったというだけでなく、1人1台のPCとして占有するには、物理的な場所を取らないノートPCがデスクトップPCより現実的という事情もあるのだろう。

 メインマシンとしてノートPCを使う場合、常に問題になるのが、性能とバッテリー駆動時間のバランスだ。どんな用途であろうと、性能は高いことが望ましいが、高性能なPCは消費電力も大きく、バッテリー駆動時間が短くなってしまう。メインマシンとして利用する以上は、一定以上の性能が欲しい。が、そうすると持ち運んだときに、バッテリーの残量が気になってしまうというジレンマがあった。

 おそらくこの問題は、ノートPCにとって永遠の課題であり、近い将来を含めて、完璧な答えは見つからないだろう。が、よりよいバランスを求めた努力は、日々続けられている。

 ThinkPadシリーズを擁するレノボ・ジャパンも、性能とバッテリー駆動時間のバランスという問題に取り組み続けている。これまでも同社は、独自の電力管理機能を開発していて、容量と重量の異なる複数のバッテリーオプションの提供など、いろいろな方法でこの問題に取り組んできた。そのレノボ・ジャパンが10月13日に発表したThinkPad Tシリーズで取り組んだテーマは、外付けGPUの性能を利用しつつ、長時間のバッテリー駆動を維持することだ。

「外付け」と「統合」の使い分けがカギ

 ノートPCにおけるグラフィックスの性能は、ノートPCがサブマシン(デスクトップPCを所有した上での2台目のマシン)であった時代は、それほど重視されなかった。が、ノートPCがメインマシンとして利用されるにつれて、ゲームへの対応や動画再生など、グラフィックスでも高い性能を求めるユーザーが増えてきた。現在開発中の次世代WebブラウザとなるInternet Explorer 9、Firefox 4、Chrom 7など、その多くがページ描画にGPUアクセラレーションを導入するといわれており(Chromeは次の“8”世代に持ち越されるかもしれないが)、ゲームとは無縁のユーザーが使うノートPCでもグラフィックス性能が必要になる傾向は強まっている。

 ノートPCに限らず、いまやメーカー製のデスクトップPCでも、グラフィックス機能は、チップセットやCPUに統合されたグラフィックスコアが担っている。安価にシステムを構築できるため、メーカー製PCで広く採用されているチップ統合型のグラフィックスコアだが、性能はそれほど高いわけではない。ただ、ノートPCでは、安価であることに加えて、外付けGPUを動かすことによる消費電力の増大が問題となる。外付けGPUを搭載したノートPCの多くが、大きくて重たい、外にあまり持ち出すことのない、それゆえ、バッテリーよりAC電源で使われるノートPCなのもこれが理由だ。

従来のスイッチャブルグラフィックス機能は、MUX(マルチプレクサー)を用いて、統合型グラフィックスコアと外付けGPUの切り替えを行っていた

 何とか、外付けGPUの性能を利用しつつ長時間のバッテリー駆動を実現できないものか。この問いに対する最初の答えとしてレノボ・ジャパンが用意したのが、2008年9月発表のThinkPad T/R/Wシリーズに採用された「スイッチャブルグラフィックス」だ。

 それまでのノートPCでは、統合型のグラフィックスコア(バッテリー駆動時間重視)と外付けGPU(グラフィックス性能重視)の選択は、BTOで用意された選択肢から購入時に選ぶ必要があった。このスイッチャブルグラフィックスでは、ユーザーが必要に応じて統合型グラフィックスコアと外付けGPUを「手動」で切り替える。

 さらに、2010年1月登場のThinkPad Tシリーズでは、バッテリー駆動時は消費電力の少ない統合型グラフィックスコアを有効にし、AC駆動時は高性能な外付けGPUを利用するよう、システムが自動的に切り替えることが可能になった。

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