その進化は第2段階──「AMD Asia Pacific Fusion Tech Day」Zacate搭載マザーボード図鑑付き(1/2 ページ)

» 2011年01月27日 03時53分 公開
[長浜和也,ITmedia]

クアッドコアのLlanoも8時間のバッテリー駆動を目指す

 AMDは、1月26日にアジア太平洋州の関係者を対象にした、「AMD Asia Pacific Fusion Tech Day」をシンガポールで行った。イベントでは、2011年第1四半期に登場する予定のデュアルGPU構成「Radeon HD 6990」搭載グラフィックスカードのサンプルが公開されたほか、AMDが投入した最新プラットフォーム「Fusion」の特徴や、将来予定されているアーキテクチャの進化などが解説された。

米国AMD ワールドワイドプロダクツマーケティング担当上級副社長のレスリー・ソバン氏

 米国AMD ワールドワイドプロダクツマーケティング担当上級副社長のレスリー・ソバン氏は、Fusionの特徴を紹介。Fusionの低消費電力モデルとなるTDP9ワットのCシリーズやTDP18ワットのEシリーズは、現代のコンシューマー向けPCで求められる、HDコンテンツや3D Blu-ray HDコンテンツの利用や8時間以上のバッテリー駆動をわずか“100円硬貨”と同じ面積のAPUとチップセットの2チップで実現し、そのコストは“競合する組み込み向けCPU”と同じながら、x86系CPU、そして、GPUと同じ性能を発揮するとアピール。あわせて、EシリーズとCシリーズを搭載する300〜399ドル、400〜499ドル、200〜299ドルの価格帯にあるノートPCが、今後急速に成長して2015年には売り上げのトップ3になるとした。

 また、2011年上半期に登場してメインストリーム/パフォーマンス向けPCでの採用が予定されている開発コード名“Llano”ことAシリーズは、32ナノプロセスルールを導入したクアッドコアとして投入され、500GFLOPSを発揮して、8時間以上のバッテリー駆動時間を実現すると説明している。

TDP18ワットのEシリーズ、または、9ワットのCシリーズは競合の組み込み向けCPUと同じ価格でCPUとGPUを提供できる(写真=左)。2011年上半期に登場するLlanoはクアッドコアで登場する(写真=中央)。2015年にかけてEシリーズ、Cシリーズを搭載した200〜499ドルのノートPC市場が成長する(写真=右)

TDP18ワットのEシリーズは液晶一体型PCやメインストリームノートPCで採用され、TDP9ワットのCシリーズは従来のNetbookやUltra-small Form Factor PCで利用される(写真=左)。インテルのPentium P6000と比べて、E-350は消費電力を6割に抑えて、性能は2〜3割向上する(写真=中央)。そして、E-350のバッテリー駆動時間は12時間を超え、ビジュアル性能は11倍に達する(写真=右)

C-50を搭載したノートPCとAtom N550を搭載したNetbookでキーボード部分の温度を測定すると明らかにC-50搭載ノートPCが低かった

最終的にはOSとの統合も目指すFusion

 米国AMD クライアント担当CTOのジョー・マクリ氏は、Fusionアーキテクチャ、特にグラフィックスとメディアプロセッシングについて解説した。従来の外付けGPUを利用するプラットフォームと、FusionシリーズのLlanoを比べると、GPUとグラフィックスメモリのメモリ帯域は3倍に向上し、同じサイズのGPUなら、より効果的な構成が可能になるという。また、1つのチップにCPUとGPUが完結しているので、レイテンシの削減や電源管理でも有効で、必要なチップサイズも減少することが、有利な点として挙げられた。

 マクリ氏は、APUにおけるメモリ帯域幅の拡張は、単にグラフィックス性能を改善するだけでなく、並行処理といったパラレルコンピューティングにおいても効果的と説明する。また、CPUに統合されたグラフィックスコアと外付けGPUによるHybrid Crossfireの対応や、Open GLとDirectComputeによるGPUコンピューティングがAPUと外付けGPUで可能になるとした上で、AMDはソフトウェア開発者で構成するコミュニティにおけるFusionサポートを充実させると述べた。

 また、これからFusionがどのように進化するかについてもマクリ氏は言及した。それによると、現在のFusionはCPUとGPUの物理的な融合を実現し、システムプラットフォームの最適化を可能にした段階で、その先には、汎用的なメモリアドレス管理をCPUとGPUで統一し、GPUでもシステムメモリのページアクセスや命令フローにおけるハードウェアスケジュールが利用でき、APU内部におけるCPUとGPUのメモリ整合性を実現するといった、アーキテクチャ的な統合を進め、次の段階では、OSとの統合によって、CPUコンピューティングにおけるコンテキストスイッチやランタイムルーチンのパラレルタスクの統合を考えているという。

外付けGPUを用いたシステムに対するFusionの優位性(写真=左)。外付けGPUと連動したHybrid Crossfireに対応する(写真=中央)。米国AMD クライアント担当CTOのジョー・マクリ氏(写真=右)

物理的統合とプラットフォームの最適化ができたFusionは、これからアーキテクチャの統合とOSとの統合を目指す(写真=左)。今後の開発で考えられている、ドライバを含めたソフトウェア階層構造(写真=中央、右)

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