2D/3D変換機能を内蔵した“オールインワン”3D液晶ディスプレイ――「S23A950D」を試す独自のアクティブシャッター方式+未来派デザイン(1/2 ページ)

» 2011年05月31日 11時45分 公開
[望月瞬(撮影:矢野渉),ITmedia]
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PCで手軽に3D立体視を楽しめるオールインワン液晶ディスプレイ

3D立体視に対応した日本サムスンの23型フルHD液晶ディスプレイ「S23A950D」。実売価格は5万円台

 PC環境での3D立体視といえば、現状ではNVIDIAの3D Visionが最もメジャーな存在だろう。しかし、もともと3Dゲームを重視した方式なので、万人向けとはいえないところがある。NVIDIA 3D Visionに対応した3Dメガネと120Hz駆動の液晶ディスプレイ、グラフィックスカードをそろえる必要がある点も、導入のハードルを高くしている部分だ。

 また、国内大手メーカー製PCでも主力機種の上位モデルを中心に3D立体視対応の製品は増えつつあるが、低価格帯のシリーズにまでラインアップはおよんでおらず、PC環境で手軽に3D立体視を楽しむための選択肢は、これといった決定打がないといえるだろう。

 そんな中で登場したのが、第2世代ともいえる3D立体視対応の液晶ディスプレイ群だ。簡単にいえば、家電の3D対応テレビから、チューナーを省いたような製品で、Blu-ray 3Dタイトルなどの3Dコンテンツを立体視できるだけでなく、2Dコンテンツを3Dコンテンツへと本体内蔵のハードウェアで自動変換する機能を備えるのが大きなポイントとなる。

 こうした製品は三菱電機の「RDT233WX-3D(BK)」(偏光方式)が発売済みだが、日本サムスンは23型フルHD液晶ディスプレイの「S23A950D」を日本国内に投入、6月中旬に発売する。独自の映像処理エンジンを搭載し、フレームシーケンシャル(アクティブシャッター)方式による解像感ある3D立体視に対応しているのが特徴だ。アクティブシャッター方式の3Dメガネも付属するため、S23A950Dの購入だけで3D立体視を楽しむ環境が整うオールインワンパッケージとなっている。

 つまり、PCを含めて従来からの2Dコンテンツを再生する機器とソフトウェアしかなくても、S23A950Dさえ導入すれば、S23A950D内蔵の2D/3D変換機能によって3D立体視を手軽に楽しむことができるようになる。もちろん、3D映像の再生に対応した機器を接続すれば、最初から作り込まれた良質なネイティブ3Dコンテンツを立体視することも可能だ。

 なお、S23A950Dは120Hz駆動(1秒間に画面を120回書き替え)の液晶パネルを搭載しているが、NVIDIA 3D Visionは非サポートとなる。この点は最初に覚えておきたい。

斬新な未来派デザインで他機種と差別化

 S23A950Dのボディデザインは実に個性的だ。厚みがわずか11.4ミリの液晶ディスプレイ部分と一体になったネック部分が、緩やかな曲線を描いて右側でスタンドにつながっている。個人的な第一印象としては、どこぞのショールーム用にカスタム製作された液晶ディスプレイのように思えた。スタンドは大きく平らな長方形になっており、ディスプレイ表面をピアノブラック、背面とスタンドをメタリック仕上げにして高級感を出すなど、デザイン性が非常に強い。画面の角度調整は、上20度/下5度のチルトのみ可能だ。

 本体サイズは533(幅)×185.5(奥行き)×424.5(高さ)ミリで、幅と奥行きはほぼスタンド全体のフットプリントに相当する。よって、薄型の液晶ディスプレイ部とは裏腹に、意外と広い設置スペースを求められる。各種のケーブル類をスタンド下のコネクタに背面から水平に接続するデザインなので、幅と奥行きにはある程度余裕を持たせた設置が必要だ。

 映像入力インタフェースは、HDCP対応のデュアルリンクDVI-D、HDMI 1.4a、DisplayPort 1.2の3系統で、アナログRGB入力はない。スピーカーも内蔵しないが、HDMIで音声も入力している場合、その音声を出力するヘッドフォン端子は設けている。

大きくフラットな長方形のスタンドと、ディスプレイ部の右下からシームレスにスタンドにつながるアームのデザインが印象的だ

背面の素材はアルミニウムの1枚板になっている(写真=左)。画面の角度調整は、上20度/下5度のチルトに対応(写真=中央/右)。横から見ると、独特のデザインと液晶ディスプレイ部の薄さが際立つ

インタフェースはスタンド背面に横一列で並ぶ(写真=左)。薄型ボディなので電源ユニットは内蔵せず、ACアダプタを利用する(写真=右)

1920×1080ドット表示の23型フルHD液晶パネルは、表面処理がグレア仕様だ

 液晶ディスプレイとしての基本スペックをまとめると、画面サイズはアスペクト比16:9の23型ワイド(TN方式/グレア)、最大解像度は1920×1080ドットのフルHD対応、光源はエッジライト方式の白色LEDバックライトを採用。リフレッシュレートは120Hz駆動に対応する。

 輝度は250カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1(ダイナミックコントラスト比は500万:1)、視野角は水平170度/垂直160度、応答速度(GTG)は最速設定で2ms、色域はsRGB比で100%、最大表示色は約1677万色となっている。

 基本スペックは、イマドキのフルHD液晶ディスプレイとしては標準的といったところだ。昨今はこの製品に限らず、ダイナミックコントラスト比の値が異常に高い液晶ディスプレイも見られるが、実際の印象は数値の高さにまったく比例しないため、参考程度に思っておけばいいだろう。ネイティブのコントラスト比が1000:1であれば、明暗のメリハリは十分にある。

タッチセンサー式ボタンと充実した省エネ機能を用意

触れると白く光るタッチセンサー式のボタンを備えている。4方向ボタンを除くボタンは、左からOSDメニュー表示、決定/入力切り替え、3D機能、電源といった並びだ

 OSDメニューの操作は、画面部分の右下にあるタッチセンサー式のボタンで行う。決定ボタンを中心として4方向ボタンが配置されており、OSDメニューとボタンの対応、カーソル移動が分かりやすい。詳しくは後述するが、3D機能の専用ボタンも設けている。OSDメニューが非表示のときは、決定ボタンが入力系統の切り替え、上下ボタンが輝度の調整、左右ボタンがヘッドフォン端子のボリューム調整になる。

 OSDメニューはシンプルな構成で、一通り見渡せば、すぐに全体を把握できるだろう。ちなみに、画質モードは標準/ゲーム/シネマ/ダイナミックコントラストの4通り、色温度は標準/青色系1/青色系2/赤色系1/赤色系2/ユーザー調整、ガンマはモード1〜3を用意する。色温度やガンマの数値指定には対応していない。応答速度は標準/高速(GTG 5ms)/最高速(GTG 2ms)の3段階で設定できる。

 付加機能はなかなか充実しており、ユーザーの離席状態を温度で感知して電源をオフにする「エコモーションセンサー」(人感センサー)や、周囲の明るさを測定してバックライト輝度を最適に調整する「エコライトセンサー」、通常使用時の輝度を3段階(50%/75%/100%)に切り替えられる「Magic Eco」機能、省エネ運用の状態を樹木のグラフィックスで表示する「エネルギーツリー」、ユーザーの姿勢に応じて上下の視野角を3段階に補正できる「Magic Angle」などの機能も備えている。

OSDのメインメニューは円弧型に項目を配したユニークなデザイン(写真=左)。人感センサーや照度センサー、視野角補正などの設定項目も用意する(写真=中央)。省エネ運用の状態を樹木のグラフィックスで表示する「エネルギーツリー」(写真=右)

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