2011年7月24日のアナログテレビ放送終了はもうすぐだが、これを読む読者はたいてい「すでに対応済み」だろう。
ただ、書斎や寝室、子ども部屋といったプライベートルーム、あるいは両親の部屋や実家はどうだろう。さらにはネットワーク配信機能を軸に、家中どこでも録画した番組を楽しめるテレビの新たな使い方に魅力を感じたことは多少なりともあるとは思う。
NEC「VALUESTAR W」シリーズはそんな要望も含め、3波(地上デジタル/BSデジタル/110度CSデジタル)ダブルチューナー、Blu-ray Discレコーダー、オーディオプレーヤー、そしてPC、4つの機能をひとまとめにした特徴で展開する高機能・高性能志向の液晶一体型デスクトップPCだ。今回は2011年5月19日に発売した新モデル「VW770/ES」を検証機とし、その実力をチェックしていく。
まずは外観を眺めよう。正面からの見た目はそのまま液晶テレビだ。精かんな印象を受ける直線的なデザインに、つややかなクランベリーレッドカラー(評価機の場合)のフレームが画面の周囲を覆っている。このクランベリーレッド以外に、ファインホワイト、ハニーブラウン、ファインブラックの全4色より選択できるカラーバリエーションを用意する。
液晶ディスプレイはPCとして最大クラスの23型ワイドで、広視野角(斜めから画面を見ても発色が変化しにくい)で、高画質さを追求した「スーパーシャインビューLED IPS液晶」を採用する。解像度は広いデスクトップでPC機能を利用でき、かつ高画質動画やBlu-ray Discタイトルなどフルハイビジョンの映像もドットバイドット表示で楽しめるフルHD(1920×1080ドット)対応となっている。
ディスプレイの下部には、音響メーカーのヤマハがサウンド特性を監修したチタンコーンボディによるステレオスピーカーを、そして本体のスタンド部に低音を豊かに再生するウーファーを内蔵したYAMAHAサウンドシステムを搭載する。
主なインタフェースはUSB 3.0×2、USB 2.0×6(うち1つはパワーオフUSB充電機能対応)、IEEE1394(4ピン)×1、1000BASE-T準拠の有線LAN、光デジタル出力(角形)×1、マイク/ヘッドフォン入出力、マルチメモリカードリーダー(SDXC対応SDメモリーカード、PRO対応メモリースティック)、地上デジタル放送アンテナ入力、BS/110度CS放送アンテナ入力、HDMI入力/D4入力/RCA音声入力(入力切り替えによる外部ディスプレイモード利用時向け)など。IEEE802.11b/g/n準拠の無線LANも標準で搭載し、キーボードやマウスは無線仕様のため、PCにはとりあえずテレビアンテナケーブル(BSデジタル/110度CSデジタルも視聴するなら、計2本)と電源ケーブルのみを接続すれば機能する。
背面のスタンド機構は、高さと上下左右の向きをそこそこ大きな範囲で調整できる。普段は正面向きで、(下向きにはできないが)夜間はベッドの方向に向けて寝ながら楽しむようなシーンにも柔軟に適用するだろう。一方、本体重量は約17キロあるので、小型テレビのように手軽にほかの部屋に移動して活用するシーンにはあまり向かない。また、背面にはUSB 2.0×4や有線LANなどのPC用インタフェースやテレビ/映像入力系端子とともに無数の排熱スリットや穴があり、正面の精かんさに対してやや無骨な印象を受ける。背面は壁に対して置くなら見えないが、キッチンのカウンターテーブルなど、置く場所によっては少し気になる人はいるかもしれない。
このほか、このスタンド内にウーファーも内蔵するため、設置に必要な奥行きは253ミリから最大337ミリ(ディスプレイ最大傾斜/最大回転時)のスペースを必要とする。もっとも、24V型クラスの家庭用液晶テレビのプラスアルファ程度ではあり、合わせてBlu-rayレコーダーを個別に置くと考えればそこそこ省スペースに設置できると言える。PC使用時はキーボードとマウス操作のための平面スペースも別途必要だが、いずれも無線式なのでどこへ置いてもよく、仮にPCの前にスペースがなくても大丈夫だ。キーボードはスタンド部へすっきり収納できるようにもなっている。
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