PC向け液晶ディスプレイのバックライトをCCFL(冷陰極管)から白色LEDに移行しようという動きは、ここ3〜4年で加速している。PC向け液晶ディスプレイにおける白色LEDバックライトの導入メリットとしては、低消費電力、薄型・軽量、広い調光範囲、輝度低下のしにくさ、水銀レスなどが挙げられる(製品による)が、特に昨今は海外メーカーを中心として、ボディの薄型化に注力したスタイリッシュな製品が増えている状況だ。
こうした中、日本ヒューレット・パッカードがエッジライト式の白色LEDバックライトにより薄型ボディをとことん追求した、フルHD(1920×1080ドット)対応のワイド液晶ディスプレイを立て続けに投入してきた。1つが5月26日に発売された21.5型モデル「HP Elite 21.5インチワイド Ultra Slimモニター L2201x(L2201x)」、もう1つが6月中旬に発売される予定の23型モデル「HP x2301 23インチワイド アクア・スリムLEDモニター(x2301)」だ。
いずれも最薄部で10ミリ以下の“極薄”ボディを実現しており、アルミニウム素材を用いて質感にもこだわるなど、画一的なデザインになりがちな液晶ディスプレイ製品にあって、とりわけ目立つ外観を手に入れている。今回はL2201xとx2301を2台まとめてチェックしてみた。
まずは法人向けの21.5型フルHD液晶ディスプレイ「L2201x」から見ていこう。
フォトフレームのような形状のフラットボディは、スタンドのベース部がなく、液晶ディスプレイ部の下辺が接地し、背面の薄いスタンドで本体を支える構造だ。前面は光沢のピアノブラック、側面と背面は継ぎ目がない精巧なアルミダイキャストのシルバーとなっており、アップルのLED Cinema Displayにも通じる高級感がある。
それでいて、液晶ディスプレイ部は10ミリと薄く、しかも厚みが均一なフラットボディに仕上げているのは見事だ。薄い板のようなボディだが、アルミダイキャスト製のシャシーを採用したこともあり、全体的な剛性感は高い。
本体サイズは506.5(幅)×124.3(奥行き)×361.3(高さ)ミリ、重量は約3.3キロだ。使用時は背後にスタンドが少し出っ張るが、125ミリ程度の奥行きでコンパクトに設置できる。未使用時は背面のスタンドをパタンと折りたたんで板状にできるので、持ち運びや収納はしやすい。
画面のチルト調整範囲は10〜30度だ。液晶ディスプレイ部の上のほうを軽く奥に押すだけで、画面の角度調整は行える。10度未満の角度、例えば設置面に対して垂直まで画面を立てることはできない点(やろうと思えばできるが、自重で前に倒れてしまいそうになる)は覚えておきたい。
インタフェースはディスプレイ部の左側面に配置されている。ノートPCをつなぐ場合はケーブルの着脱がしやすく、接続時に奥行きが伸びないのもよいが、洗練されたボディデザインの左下に武骨なコネクタが追加される格好なので、見た目のノイズになってしまう。できれば正面から見えないように、うまく隠してほしかったところだ。
そのインタフェースだが、DisplayPortが1基のみと思い切った仕様になっている。DVIやHDMI、アナログRGBの変換アダプタなども付属しないため、接続するPCの映像出力には注意が必要だ(DisplayPortケーブルは付属)。薄型ボディなので、電源は付属のACアダプタで供給する。
シンプルなのはインタフェースだけではなく、OSDメニューもバッサリと省かれている。いわゆる操作メニューは用意されず、前面の輝度調整ボタンで明るさを上下できるのみだ。L2201xはDisplayPortで必ずデジタル接続するため、アナログ映像調整のメニューが不要なのは分かるが、画質モードや色温度、省電力といった設定が一切ない割り切った仕様には少し戸惑う。
デザイン重視のモデルながら、液晶パネルに広視野角と高コントラストの両立を図ったMVA方式を採用しているのは好印象だ。液晶パネルは1920×1080ドット表示の21.5型ワイド(ノングレア)、視野角は上下/左右とも178度、コントラスト比は5000:1と高い。輝度は250カンデラ/平方メートル、応答速度は16ms、表示色は1677万色、色域はNTSC比で72%(sRGB相当)といったスペックだ。画面の表面はノングレア処理なので、映り込みが気になることはない。消費電力は最大で28ワット、待機時および電源スイッチオフ時で1ワット未満だ。
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