さて、L2201x(DisplayPort接続)とx2301(DVI-D接続)の表示品質を見比べてみると、やはりMVAパネルを採用したL2201xの広視野角が好印象だ。
L2201xはノングレア処理の液晶パネルだが、黒の締まりがよいため、コントラスト感が高く、広い視野角も相まって、均一性のある色鮮やかな表示が得られている。IPSに比べると、視野角による色度とコントラストの変化は少し見られる(斜めから画面を見ると、少し白っぽくなる)が、よほど急な角度から画面を見ない限りは問題ない。
階調性については、オフィススイートの使用やWebブラウズではまったく気にならないが、グラデーションパターンでよく確認してみると、暗部の黒つぶれや明部の白飛びが少しあり、中間階調ではバンディングが散見される。色温度は標準的な6500Kより少し高いようで青っぽいが、色温度を調整できない点は注意が必要だ。よって、写真編集などの用途には向かない。輝度の調整幅はあまりないので、間接照明の薄暗い部屋で低輝度設定にして使うような場合では、もう少し下がってほしいと感じた。
一方のx2301はグレア処理の液晶パネルを採用しており、設置環境によっては照明や自分の姿が画面に映り込みやすいが、発色に不満はない。視野角は上下方向が少し狭いので、チルト角度を調整し、画面を正面から見るようにしたい。
階調性についてはL2201xと同様、暗部から中間調にかけてバンディングが少し見られた。ただし、色温度は標準(6500K)の設定で固定できるほか、画質モードや各種調整が行える点はL2201xに勝る。輝度の調整幅はL2201xより少し広いが、輝度を思い切り下げて使えるほどではない。正面から見た場合の表示品質は保たれており、TN方式を採用したこのクラスのフルHD液晶ディスプレイとしては、まずまずの画質といえる。
ざっと2台の薄型ディスプレイを見比べてみた。価格はL2201xが3万3600円(HP Directplus直販価格)、x2301が実売3万5000円前後だ。いずれもボディデザインにコストをかけている割に、価格の上乗せぶんはそれほどでもなく、割高な印象はない。
今回はどちらも画質優先で選ぶモデルではないため、測色器を用いた詳しい表示検証などは行わなかったが、L2201xはMVAパネルの採用で視野角が広く、デュアルディスプレイ環境でさまざまな業務を快適にこなせるのがよかった。アルミダイキャストの薄型ボディは高級感と剛性感があり、モノとしての満足度も高い。
入力系統や機能面の大胆なカットは物足りなさも覚えるが、スリムでミニマルなデザインを使用感にも反映すべく、こうした部分もあえてシンプルにまとめ上げたのだろう。そのコンセプトの徹底には共感できるが、より幅広い機器をつなげられるよう、DVIやHDMIのDisplayPort変換アダプタくらいはせめて標準添付してほしかったところだ。
しかし、これほど360度どこから見ても美しく、省スペースなボディの液晶ディスプレイは貴重なので、ショールームや応接室、対面業務、デザイン関係など、作り上げた空間との調和が求められるようなシーンにおすすめしたい。ちなみに個人的に気に入ったのは、このL2201xのほうだった。
一方のx2301は、L2201xほどの個性はないが、極薄の液晶ディスプレイ部とデザインされた台座部の組み合わせが面白く、入力系統や画質調整の項目も一通り備えているので、普段使いの液晶ディスプレイとして幅広い用途に導入しやすい。同社製デスクトップPCとの組み合わせに限らず、ほかとは違ったスタイルの液晶ディスプレイを探しているならば、注目に値する1台だ。
日本HPの直販サイト「HP Directplus」では、ビジネス向け小型デスクトップPC「HP Compaq 8200 Elite US/CT」と新型液晶ディスプレイのセットを約3割引で購入できるキャンペーンを2011年5月26日から実施している。限定1000台のキャンペーンなので、液晶ディスプレイに加えてPC本体の購入も検討しているならば、チェックして損はない。
PC本体の基本スペックはカスタマイズできるが、32ビット版Windows 7 Home Premium、Core i3-2100(2.1GHz)、Intel Q67 Expressチップセット、2Gバイトメモリ、160GバイトHDD(7200rpm)、DVDスーパーマルチドライブといった最小構成に、3年間保証(オンサイト3年、パーツ3年)とL2201xをセットにして、価格は9万3450円におさまる(個人向けのx2301は対象製品ではない)。
L2201xはそもそもDisplayPort出力に対応した「HP Compaq 8200 Elite」シリーズとの組み合わせを想定した薄型ディスプレイなので、並べて設置した場合のデザインの相性はよい。また、今回のキャンペーン対象となっているウルトラスリム筐体の「US/CT」は設置面積が小さいため、薄型ボディのL2201xと組み合わせることで、PC環境全体をコンパクトにまとめることが可能だ。机上を広く使いたいユーザーは重宝するだろう。
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