先週、AMDから登場した新CPU「Phenom II X4 960T Black Edition」を組み込んだマシンのデモ機が複数のショップでみられた。Phenom II X4 960T Black Editionは、Phenom II X6ベースのコアを採用しており、Phenom II X4で初めてTurbo Coreをサポートしているのが特徴だ。最大3.4GHzで動作するほか、Black Editionのため、動作保証外ながらクロック倍率を変更して利用できる。TDPは95ワットで、L3キャッシュは6Mバイト。1万2000円弱で出回っている。
そして、もう1つの隠された特徴が、各ショップのデモ機“構築欲”をかき立てたようだ。ツートップ秋葉原本店は「Phenom II X6ベースということは、6コアのうち2コアを潰して4コア化しているわけです。つまり、BIOSで残り2コアを有効にすれば6コアになる可能性があるんですね。もちろん保証外ですし、潰しているコアの有無や品質は探れませんから、まあ、運がよければ6コアとして使えるかも、というくらいですが。アタリつきみたいなもんですかね」と解説する。
AMD製CPUは、2年前に2コアの「Phenom II X2 550 Black Edition」が4コア化できるといったウワサが広がるなど、モデル(や生産ロット)によってコアを増やす裏技がたびたび話題になる。実際、今回もPhenom II X4 960T Black Editionの6コア化に成功したショップがいくつかあった。
6コア化したデモ機を展示しているドスパラ パーツ館は「BIOSでコア設定をアンロックしただけで成功しました。普通に動作していますが、すべてがこうなるわけではないので、期待のしすぎは要注意です。BIOS上で6コア化してもOSが起動しないといった声も聞きますからね」という。
保証内外のユニークな特徴を備えたCPUだけに、ユーザーの関心も多く集めている様子。ただし、売れ行きには直結していないと語るショップも少なくない。
某ショップのコメントは「X4 960T Black Editionの登場と同じ時期に、Phenom II X6と対応マザーボードのセット割引キャンペーンが始まったんです。AMD主導で。組み合わせによっては5000円くらい安くなりますから、1万6000円前後の『Phenom II X6 1065T』なら、実質X4 960T Black Editionと同じ値段で買えるわけです。それじゃ、運よく6コア化できても喜び半減じゃないですか。AMDにしたらブルドーザーを発売する前に現行モデルの市場在庫を減らす目的があると思いますが、それにしても商いが下手ですよね……もう……」と、ほとんどグチだった。
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