AMDとHDDが“次のステージ”を予感させた6月のアキバ5分で分かった気になるアキバ事情(1/2 ページ)

» 2011年06月30日 09時00分 公開
[古田雄介(ぜせ),ITmedia]

「これまでよりも壁は高いですけど、順調に上っています」――3TバイトHDDが1万円割れ

PC DIY SHOP FreeTで見かけた「WD Caviar Green WD30EZRX」。撮影は6月11日

 6月初旬に、にわかに脚光を浴びたのは、ウェスタンデジタルの3TバイトHDD「WD Caviar Green WD30EZRX」だ。インタフェースはSATA 3.0で、物理フォーマットは4Kバイトセクタを使ったアドバンスドフォーマットとなる。

 週末限定でいくつかのショップが1万円以下の特価をつけたのをきっかけに、周辺のショップを巻き込んだ地域一帯の値下げが始まり、6月第2週末には「9980円」や「9979円」などのPOPが街中で見られるようになった。

 それから間もなくして“週末限定”という条件がなくなり、通常売価で1万円以下の値がつけられるようになっている。他メーカーの3TバイトHDDは6月末時点でも1万1000円〜1万3000円前後が最安ラインとなっているため、WD30EZRXだけが価格競争によって注目され続ける構図だ。

 某ショップは「大手さんが1万円切りしたら、近所の我々も下げざるを得ないですからね。1Tや2Tバイトのときも思いましたけど、本当はこういう競争はしたくないんですよ……」と漏らしていた。

 ここ数年は、当時最大容量の最安HDDが1万円割れすると、主流の容量がその最大容量に移行するという流れが続いている。例えば、1TバイトHDDは2008年8月初旬に1万円切りモデルが見られるようになり、1〜2カ月のうちに、500GバイトHDDから主流の座を奪った。現在主流の2TバイトHDDは、2010年3月ごろに初の1万円切りモデルが現れ、全メーカーで1万円以下モデルが選べるようになった同年8月ごろには、すっかり売れ筋上位を席巻するラインとなった。

 ただし、3TバイトHDDはこれまでと事情が異なる。WD30EZRXを含む多くの3TバイトHDDは、従来フォーマットの限界(2.19Tバイトの壁)を超えるために4Kバイトセクタの物理フォーマット(アドバンスドフォーマット)を採用しているため、アドバンスドフォーマット非対応のWindows XP以前や、古めのマザーボードなどではフル容量が生かせない。日立GSTの「Deskstar 7K3000 0S03088」シリーズなど、従来の512バイトセクタで3Tバイトを実現しているモデルも存在するが、32ビットOS環境では起動ドライブ非サポートになる。いずれにしろ、何かしらの制約を受けることになるわけだ。

※記事初出時、「ただし、3TバイトHDDは〜」で始まる段落の記述に、一部不正確な点がありましたので、訂正しました。

 PC DIY SHOP FreeTは「1万円割れをきっかけに3TバイトHDDの売れ行きはかなり上がっていますが、やはり主流は2TバイトHDDのままです。現行のどんな環境でも使えますし、そもそも2Tバイトでも容量的に十分という人も多いですから、当面は主流の2Tバイトに対抗する3Tバイトという構図が続くと思います」と予想していた。

6月後半にみかけたTSUKUMO eX.のPOP。通常売価で3TバイトHDDの価格が1万円割れしていた(写真=左)。2010年6月ごろにT-ZONE.PC DIY SHOPで見かけたPOP。1年前は2TバイトHDDの1万円割れがトピックになっていた(写真=中央)。5年前、2006年6月頃に撮影したBLESS秋葉原本店のHDDコーナー。参考まで(写真=右)

ブルドーザーに向けて各メーカーが準備万端に――AMD 990シリーズが登場!

ギガバイトのAMD 990FX上位モデル「GA-990FXA-UD7」。価格は2万6000円弱

 AMDの次世代チップセット「AMD 990」シリーズが登場したのも6月だ。まずは月頭にギガバイトから「GA-990FXA-UD7」と「GA-990FXA-UD5」「GA-990FXA-D3」の3モデルが投入され、以降もMSIやASUSTeK、ECSなどのメーカーが、上位チップ「AMD 990FX」搭載モデルを中心にリリースしている。価格は1万6000円弱から2万8000円弱。

 AMD 990FX(+SB950)は、従来のAMD 890FX+SB850の後継チップセットで、新たにNVIDIA SLIとSocket AM3+の次世代CPU「ブルドーザー」に対応したのが特徴だ。Socket AM3に対応したCPUも搭載できるため、現行のPhenom IIやAthlon IIとも組み合わせられる。

 とはいえ、AMDの新プラットフォームは8コア構成のブルドーザーを目当てにするユーザーが多いようで、「まあ新チップセットといっても、SATA 3.0対応などの基本的な仕様は800世代と同じです。やはりSocket AM3+のCPUが登場しないことには、人気に火がつかないでしょう」(ソフマップ秋葉原本館)と、登場時の売れ行きはまだまだといった状況だ。

 それでも、固有の機能や特徴を持つマザーはじわじわとヒットしている様子。特に目立っていたのは、ASUSTeKから月末に登場した「SABERTOOTH 990FX」と「Crosshair V Formula」だ。SABERTOOTH 990FXは、堅牢性が高いSABERTOOTHシリーズに属するAMD系初のモデル。TSUKUMO eX.が「極限のオーバークロックを目指さないなら最上クラスといえますね。CrossFireXやSLIも4-wayで構築できるので、ゲーミングマシンにも最適です」と語るなど、ショップの評価も高い。

 Crosshair V Formulaは、オーバークロック機能に優れたR.O.G.シリーズのマザーで、こちらもAMD系では貴重なラインアップとなる。ツートップ秋葉原本店は「R.O.G.を待っていたAMDユーザーは少なくないので、確実にニーズがあると思います。今のうちに売れたら、ブルドーザーはほぼ確実に売れるでしょうし、我々としても楽しみなモデルですね」と話していた。価格は順に2万2000円弱と2万7000円弱だ。

下位のAMD 970+SB950マザーも登場。写真は1万円前後で売られているギガバイトの「GA-970A-D3」(写真=左)。ASUSTeK「SABERTOOTH 990FX」(写真=中央)。ASUSTeK「Crosshair V Formula」(写真=右)

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