「BN-SDCMP3」とUSB 3.0でUHS-Iの“本気”を知る(2/2 ページ)

» 2011年07月13日 16時40分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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その実力はHDDに迫る勢い

 BN-SDCMP3でUHS-Iの高速転送を利用するには、専用の“USB高速化ドライバ”をOSに導入する必要がある。この作業は、カードリーダ本体を接続しない状態で付属のCD-ROMをドライブにセットしてセットアップユーティリティを起動して行う。セットアップユーティリティの画面が進んで、「USB高速化ドライバのインストール確認」という画面が出てきて、「USB高速化ドライバを有効にする」のチェックボックスが用意されている。初期状態でチェックが外れているので、UHS-Iの高速転送を利用するユーザーは自分でチェックをしておく必要がある。

BN-SDCMP3の利用に当たっては専用のドライバを導入する必要がある(写真=左)。「USB高速化ドライバを有効にする」のチェックを忘れないように(写真=右)

 前モデルのBN-SDCLP3もUHS-Iに対応していたが、USB 2.0対応であったため、その性能はUSB 2.0の制約の中で利用するしかなかった。USB 3.0で利用するUHS-Iはどの程度の性能が出せるのだろうか。パナソニックはBN-SDCMP3のパッケージで「90Mバイト/秒」を訴求しているが、実測はどこまでその値に迫れるか。

 性能検証として、BN-SDCMP3と前モデルのBN-SDCLP3を用意し、それぞれに、ノーブランドのmicroSDカード(容量2Gバイト)、SDHC対応の「Sandisk ExtremeIII」(容量8Gバイト)、そして、UHF-I対応の「パナソニック製SDHCカード」(容量8Gバイト)を挿入して、CrystalDiskMark 3.0とHD Tune Pro(こちらはReadテストのみ)の測定結果を比較した。なお、接続するPCは、レノボ・ジャパンのThinkPad X1量販店モデル(Core i3-2310M、2.1GHz、メモリ2Gバイト)を使った。

  USB 2.0(BN-SDCLP3) USB 3.0(BN-SDCMP3)
  microSDHC 2GB(ノーブランド) SDHC 8GB(Sandisk ExtremeIII) UHF-I(パナソニック製SDHCカード) microSDHC 2GB(ノーブランド) SDHC 8GB(Sandisk ExtremeIII) UHF-I(パナソニック製SDHCカード)
CrystalDiskMark 3.0(100MB) Read Seq 10.94 21.4 37.81 10.4 22.72 84.26
512K 9.602 18.52 31.15 9.832 19.29 59.99
4K 2.618 3.597 2.724 1.984 2.903 2.432
4KQD32 2.587 3.82 3.262 1.934 2.992 2.74
Write Seq 5.979 17.3 26.36 6.185 18.4 71.58
512K 1.088 3.627 4.272 1.073 3.678 4.398
4K 1.202 0.035 0.075 1.069 0.034 0.075
4KQD32 0.475 0.044 0.077 0.424 0.046 0.078
HD Tune Pro 4.61 read 64K Mini 8.2 17.8 32.7 9.4 20.8 75.4
Max 10 18.3 37.9 10.1 20.9 83.7
Average 9.5 17.8 33.4 10 20.8 80.6
read 512K Mini 8.6 19.9 33.4 9.8 21.2 77.4
Max 10.5 20.5 35.9 10.5 21.3 84.1
Average 10 20.1 33.8 10.4 21.3 80.6
read 8M Mini 9.5 18.5 33.3 10.5 21.3 76.1
Max 10.2 18.7 35.8 10.6 21.7 83.5
Average 10.2 18.5 33.8 10.6 21.4 81.1

 BN-SDCLP3で測定した場合、UHS-Iに対応しないSDHCカードのシーケンシャル読み込みの転送速度が20Mバイト/秒前後であるのに対して、UHS-Iに対応したSDHCカードは35Mバイト/秒前後の結果を出しているので、UHS-Iの効果は確かにある。しかし、BN-SDCMP3で測定すると、同じUHS-I対応のSDHCカードは、シーケンシャル読み込みの転送速度が80Mバイト/秒前後まで跳ね上がる。その一方で、UHS-Iに対応しないSDHCカードでは、USB 2.0でもUSB 3.0でも、ベンチマークテストの結果に明らかな違いは確認できない。


 BN-SDCMP3は、前モデルからボディサイズがコンパクトになったものの、隣接するインタフェースに干渉することは変わらない。延長ケーブルは長くなって背面からの取り回しは楽になったものの、ノートPCの側面からの利用ではちょっと長い。そして、UHS-Iに対応しないメディアカードの転送速度はほぼ同じレベルだ。いずれも、BN-SDCMP3を積極的に勧めるポイントとはならない。

 しかし、UHS-I対応のメディアカードを所有していて、かつ、UHS-I対応のメディアカードスロットを搭載しないPCユーザーにとって、BN-SDCMP3は必ず用意したい周辺機器だ。BN-SDCMP3を持たずして、UHS-Iを使う意味はない、と思わず言い切ってしまうほどに、その効果は絶大だ。

 対応機器がまだまだ少ないUHS-I対応周辺機器だが、そういうこととは関係なく、HDDに迫る転送速度を持ったSDカードの利用環境を構築する場合、BN-SDCMP3は必ず用意しておきたいカードリーダといえるだろう。

UHS-I対応のSDHDカードに記載されているロゴ群。このうち、“カップに数字に1が入っている”ロゴがUHS-Iに対応していることを示している。このロゴが入っているメディアカードを持っているユーザーはBN-SDCMP3の購入検討を勧めたい

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