“限界突破”を連発した9月のアキバ5分で分かった気になるアキバ事情(1/2 ページ)

» 2011年10月06日 11時20分 公開
[古田雄介(ぜせ),ITmedia]

「いまは価格よりも各社で生産が始まったことが重要です」――1枚8GバイトのDDR3メモリが出回る

サムスン「M378B1G73AH0-CH9」

 8月に注目を集めたDDR3の値下がりは、3000円前後の4Gバイト×2枚キットを最安値として、9月からは落ち着きをみせている。好調な売れ行きはあいかわらずだが、話題の中心は1枚8Gバイトの大容量メモリに移った。9月初旬に、まずはサムスンから2種類の8Gバイトメモリが登場。DDR3-1333 DIMM「M378B1G73AH0-CH9」と、同SO-DIMM「M471B1G73AH0-CH9」で、ドスパラ パーツ館の価格はともに2万5980円だった。

 8Gバイトのメモリは、サーバ向けなどを除いたコンシューマー向けとしてはこれが初めて。容量単価で考えれば1枚4Gバイトの複数枚キットのほうが断然お得だが、同店は「いまは価格よりも、登場したことが重要です。ほかのメーカーも8Gバイトメモリをまもなく出すようですし、生産体制が変わってくるのではないでしょうか」と話していた。

 その言葉どおりに、月中旬にはパトリオット製の8Gバイトメモリ、DDR3-1333 SO-DIMM「PSD38G1333S」が複数のショップに入荷した。2万3000円前後の価格ながら、少数入荷のため、すぐに売り切る店舗も目立った。

 PC DIY SHOP FreeTは「8Gバイトメモリは容量単価がすごく高いですが、メモリスロットが少ないノートPC向けでは、それでも欲しいという人が少なくないです。ただ、現行のシステムでは1枚4Gバイトのメモリまでしか認識しない場合もあるので要注意です」と語る。なお、同店では、装着するマシンを持ち込めば購入前に無料で動作チェックするサービスを提供していた。

 今後、他社からも8Gバイトメモリが登場し、長期的には全体の値が下がってくるとみられるが、4Gバイトメモリとは別の値動きや生産計画になるという見方が多い。あるベテランの仕入担当者は「32ビットOSの場合は、実質3Gバイトちょっとまでしかメモリ容量を認識しません。法人向けでは、まだ32ビット環境のニーズが続くので、メーカー側も半分以上の容量が無駄になる8Gバイトメモリ一辺倒の生産計画は立てないでしょう。4Gバイトメモリほど急激な値下がりは起きない気がします」と推測していた。

 ちなみに、フラッシュメモリ関連では、micro SDXCカードでも最大容量を更新するメディアが登場している。KINGMAXの「KM-MCSDXC6X64G」で、容量は64Gバイト。価格は3万5000円弱だった。

 入荷したパソコンハウス東映は「スマートフォンの増設ストレージに使いたい人が多いと思いますが、SDXCに対応している端末はまだ少ないんですよね。従来の限界を突破したアイテムは、コンビで使う側の対応も調べないといけない。最先端を狙う人は要注意です」と話していた。

サムスン「M471B1G73AH0-CH9」(写真=左)。9月中旬に撮影したPC DIY SHOP FreeTのPOP。パトリオット製8Gバイトメモリが売り切れていた(写真=中央)。KINGMAX「KM-MCSDXC6X64G」(写真=右)

無圧縮フルHDキャプチャ×SSDハイブリッドHDD×MARS II――規格外の板モノ

エスケイネット「MonsterXX」

 拡張カード関連でも、飛び抜けた仕様のパーツが1カ月を通して目立っていた。9月前半に登場したのは、エスケイネットのHDMIキャプチャーカード「MonsterXX」だ。PCI Express x4接続のカードで、1080p(1920×1080ドット/60fps)の映像を無圧縮で取り込めるという特徴を持つ。それだけ大容量のデータを瞬時に取り込むため、同社は「500Mバイト/秒の読み書きができるHDD環境」を推奨している。価格は4万6000円弱。

 TSUKUMO eX.は「ゲーム機やHDカムの映像をクリアに取り込みたいという人向けのハイエンドパーツです。速度だけならSSDとの組み合わせでいけますが、何せ動画は容量を食うので、複数台のHDDを使ってRAID 0を構築するのが現実的だと思います。逆に、それくらいしないとMonsterXXを使う意味はないかもしれません」と話していた。

 ただし、月末に登場したOCZのストレージ「RevoDrive Hybrid RVDHY-FH-1T」なら、MonsterXXの推奨環境を1台で実現できる。RevoDrive Hybrid RVDHY-FH-1Tは、1Tバイトの2.5インチHDDと120GバイトのSSDを組み合わせたPCI Express x4接続のストレージで、SSDをHDDのキャッシュとして利用するのが特徴だ。最大速度は、リード910Mバイト/秒、ライト810Mバイト/秒となる。価格は4万8000円弱。

 クレバリー1号店は「Z68マザーの『スマートレスポンステクノロジー』のようなストレージ構成が、ほかのマザーでも利用できます。高速で大容量なストレージを手早く求めるなら、高くはないアイテムだと思いますよ」と語る。

 そして、モンスターグラフィックスカードとして脚光を浴びたのが、ASUSTeKの「MARS II」だ。GeForceのシングルGPUで最上位となるGTX 580を2基搭載する、同社独自仕様のカードで、世界で限定1000台のみ生産。15万5000円弱の価格で、9月後半に少数出回った

 フェイス秋葉原本店は「1枚でGTX 580のSLIを構築しているので、元から2GPU構成のGeForce最上位『GTX 590』よりも高いパフォーマンスが期待できます。……ただし、補助電源が8ピン×3基と、PCI Expressの規格を超える仕様になっているんですよ。まあ、そのあたりの危険さを裁ききれるユーザーしか買わないと思うので、心配はしていないですけど」と話していた。

OCZ「RevoDrive Hybrid RVDHY-FH-1T」(写真=左)。9月前半、フェイス秋葉原本店に張られていたMARS IIのPOP(写真=中央)。ASUSTeK「MARS II」(写真=右)

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