PC関連業界やテレビ局を中心に構成する団体「ウィンドウズ デジタルライフスタイルコンソーシアム(WDLC)」は11月25日、若年層のICT(情報通信技術)活用促進を図るプロジェクト「Digital Youth プロジェクト」を発表した。2011年12月1日より開始する。
このプロジェクトは、PCを中心としたICT活用を推進し、ICT市場の活性化を目指すとともに、若年層のITスキルや、コミュニケーションスキルを高め、世界で活躍する人材を育成することを目的とする。
プロジェクトの一環として12月1日より、大学生を対象とした「さぁ、かっこいいオトナになろう『SUPER ROOKIES』キャンペーン」を実施する。期間中、PCを利用して活躍する学生や社会人のシナリオをWebサイトで紹介するほか、著名人が過去に作成した原稿や企画書などのデータファイルをダウンロードできる「人生フォルダ」などのサービスを行う。このほか、Facebookページを開設し、キャンペーン参加各社からのプレゼント提供も行う予定。キャンペーンの実施期間は2012年5月31日まで。
2012年6月以降は、ITビジネスの企画を構築できる人材の育成を目指す「WDLC塾(仮称)」を開講する予定だ。大学1、2年生を中心に学生を募集し、WDLC会員企業内で講師を用意し、各業界のビジネスを講義するほか、会員企業が受け入れ先となるインターンや現場見学など実習形式のカリキュラムも用意するという。
発表会では、WDLC事務局長兼マイクロソフトOEM統括本部 マーケティング本部 業務執行役員 本部長の勝俣喜一朗氏が、2010年4月より行ってきた「パソコンも地デジカ」キャンペーンを振り返り、WDLC会員それぞれが協力してPR活動を行った結果、2011年7月までの集計で、JEITA予想より85万台上回る地デジ搭載PCの出荷を実現したとアピールした。
Digital Youth プロジェクトを通じて若者の“国際競争力”を育成できれば、と勝俣氏は話す。国際競争力とはITスキル、語学を含めたコミュニケーション力、企画を立案して実行する想像力の3つを指すが、「特に日本の学生は、他国の学生と比べ、創造力が弱い印象がある。1人1人はいいものを持っているが、それらをビジネスにつなげたり、積極的に発信する力がないように思う」と勝俣氏は述べた。このプロジェクトは大学生がターゲットだが、対象を高校生、中学生と下の世代に向けた施策も検討しているという。
その後、PCを用いて活躍する学生の代表として、「復興支援ITボランティア」の学生メンバーである澤畑学さんが登壇した。被災地に対してPCおよび周辺機器を提供し、地域のコミュニティを活性化させるなどの支援活動を説明し、「ボランティアに参加して色々な発見があったが、PCを教える立場となったことで、IT技術が人々の暮らしに貢献するということを再発見した。ブログやSNSで支援の輪が広がるのを見て、ITは人と人とのつながりを生むのだと思った」と述べた。
「パソコンも地デジカ」キャンペーンなど、PCの販促を目的とするキャンペーンを行ってきたWDLCが、このような社会貢献事業的なプロジェクトを実施することについて、勝俣氏は「まずPCを売る、というのではなく、PCを必要とする環境に対して社会事業を行い、販売活動をするというように順番を変えて両立を目指した」と述べ、「国が抱える課題に対応するというのも、多数の企業が参加するWDLCだからこそ可能なプロジェクトだ」とアピールした。
このプロジェクトが若年層の“PC離れ”への対抗策なのかと問われると、「日本の若者はPCを使わずケータイだけですべて済ませてしまう人が多い」と述べた。若年層(特に15歳から24歳)におけるマイPC保有率を上げることを目標としており、PCの普及率の変化を本プロジェクトの効果測定の指標に使う予定だ。
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