インタビュー
» 2011年12月08日 00時00分 公開

完全分解×開発秘話:常識破りの2画面タブレット「Sony Tablet P」を丸裸にする (3/4)

[前橋豪, 撮影:矢野渉,ITmedia]

いよいよSony Tablet Pを分解する

注意

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは取材した機材のものであり、すべての個体に該当するわけではありません



Sony Tablet Pを分解する辛島氏

 それでは、Sony Tablet Pの中身を見ていこう。

 天面のカバーはスライド式で、底面のカバーも背面のボタンを押し込むだけでロックが外れて着脱できるため、まずはこれらを取り外す。すると、天面にカメラとSIMスロット、底面にバッテリースロットが現れる。タブレット端末では内蔵バッテリーを着脱できない製品も多いが、Sony Tablet Pはモバイルでの利用がメインなので、外出先でバッテリーが切れても交換できることにこだわった。

 ちなみに天面と底面のカバーはシルバーが標準だが、オプションとしてブラックとホワイトも用意されている。辛島氏は「天面にSIMスロット、底面にバッテリースロットがあるため、表面に小さなフタを付けて不格好になるより、カバー全体を着脱できたほうが見栄えがよいだろうと判断した。そこから、着せ替えカバーも用意したら受けるのではないか、とのアイデアが出てきた」と語る。

天面のカバーはスライド式で、底面のカバーは背面のボタンを押し込むだけでロックが外れて簡単に着脱できる(写真=左)。カバーを装着した状態(写真=中央)。カバーを外した状態(写真=右)

100本の信号線で上下のボディを接続

 カバーがない状態で表面に露出しているネジをすべて回すと、内側の黒いカバーを取り外すことができ、内部構造を一望できる。底面側にCPUとメモリ、microSDメモリーカードスロットを実装したメインボード、天面側に無線WAN(NTTドコモのFOMA対応)/LAN(IEEE802.11b/g/n)モジュール、Bluetooth 2.1+EDR、各種センサー、アンテナの基板を配置した独特のレイアウトだ。

着せ替えカバーに続き、内側の黒いカバーとバッテリーまで取り外した状態。上下にバランスよくパーツが配置されているのが分かる。底面側の左下にあるのがメインボードだが、天面側のサブ基板がかなり大きい

 通常のノートPCでは主要なパーツを底面側に置くが、Sony Tablet Pはフットプリントが180(幅)×79(奥行き)ミリと小さいうえ、底面に熱源となるCPUや無線WAN/LANモジュールが集中してしまうと、放熱面がかなり厳しくなってしまう。また、上下の厚みや重量のバランスが崩れてしまうのも問題だ。そこで、実装面積が大きく、CPUに次ぐ熱源となる無線WAN/LANモジュールは天面側に移動させている。

 メインボードと天面側の各種デバイスとは、100本(50本×2組)の信号線で接続する仕組みだ。天面側と底面側をつなぐヒンジ部分が中空になっていて、そこに信号線を通している。このヒンジと信号線の処理は開発が困難だった部分で、何度も試作を繰り返したという。

 辛島氏は「このヒンジは3世代目。当初は信号線をヒンジの脇に通すデザインで、ヒンジの横が出っ張っていたが、ヒンジを中空にして50本ずつの信号線を通したうえで、何とかここまで小さくできた」、佐久間氏は「携帯端末なので本体の開閉回数はノートPCより多く想定しなければならないが、ケーブルが切れやすくなってしまう。そこで、ケーブルの寸法から材質、テープの巻き方など、いろいろと工夫した。実はテープの巻き方1つにもノウハウが詰まっている」と当時の苦労を振り返った。

両面実装のメインボードは、この裏側にCPUやメモリが配置されている(写真=左)。メインボードから50本×2組の信号線が天面側のサブ基板に伸びている(写真=中央)。信号線は小さなヒンジの中を通っている(写真=右)

3枚の基板はどれも凝った作り

 8層基板のメインボードは、サイズが約60×60ミリとコンパクトにまとまっており、CPUのNVIDIA Tegra 2(1.0GHz)と1Gバイトのメモリ、4Gバイトのフラッシュストレージ、microSDメモリーカードスロットを実装している。4Gバイトのストレージはシステムとアプリ用で、ユーザーデータはmicroSDメモリーカードに保存する仕組みだ。製品には2GバイトのmicroSDメモリーカードが付属するが、より大容量のカードを装着することで、データ容量を柔軟に増やせる。

 シールドケースに隠れたCPUは、真上に1Gバイトのメモリチップを重ねて実装した2階建てのパッケージオンパッケージ(POP)仕様になっているのが珍しい。佐久間氏は「POPは実装技術が難しいが、小型化できることに加えて、配線自体はほとんどゼロになるので基板のパターン設計が容易になる。配線が短いのでパフォーマンス面でも有利だ」とその理由を解説する。

コンパクトな8層基板のメインボード。CPUにシールドケースが装着された状態(写真=左)。シールドケースを外すと、NVIDIA Tegra 2(1.0GHz)の真上に1Gバイトのメモリが重ねて実装されていた(写真=中央)。メインボードの背面にはmicroSDメモリーカードスロットを搭載する(写真=右)

 メインボードと50本ずつの信号線で結ばれる天面側のサブ基板は、2枚に分かれている。1枚はWebカメラとSIMスロット、無線WAN/LANモジュール装着用のMini PCI Expressカードスロットが実装された基板、もう1枚は無線LANとBluetoothの共用アンテナ、地磁気センサー、ジャイロセンサー、加速度センサーが実装された逆T字型の基板だ。

WebカメラとSIMスロット、無線WAN/LANモジュール装着用のMini PCI Expressカードスロットが実装された基板(写真=左/中央)。無線LANとBluetoothの共用アンテナ、各種センサーが実装された基板(写真=右)。上部の出っ張った部分にある3つのチップは、上から地磁気センサー、ジャイロセンサー、加速度センサーだ

Mini PCI Expressカードで提供される無線WAN/LANモジュールと、無線WANおよびGPSのアンテナ(写真=左/中央)。メインボードとサブ基板をつなぐ50本×2組の信号ケーブルは、ヒンジの中を通って接続される(写真=右)

iconicon

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう