東日本テクニカルセンターにおける修理依頼は1カ月で約6000台。121コンタクトセンターへの電話依頼のうち、約80%はその場の問診で問題が解決するとのことだが、それ以外の約20%が実修理品としてこの修理拠点へ送られてくる。もちろん修理依頼数は曜日(例えば日曜は定休のため、月曜日に2日分を処理するなど)や時期によって増減はあるが、常に「1日以内」で処理できるよう修理作業者を効率的に配置する管理システムも整えた。
なお、修理時間の高速化・高効率化はPCそのものの保守性・作業性が容易になったことも寄与する。こちらは生産効率向上やリサイクル面の高効率化を目指した結果から副次的に得られたものだが、2006年当時のPCと比較すると着脱のための特殊治具不要、ネジの本数/種類の大幅削減などにより、例えば液晶ディスプレイの交換時間を3分の1に短縮できるようになった。
最後に、同社の修理作業者は全員がPCサービス専門職の必要な技術知識を測る業界標準の認定資格「CompTIA A++」を取得済み。加えて対象機種の基本情報や該当モデルにおける過去の修理情報を集約したデータベース/ナレッジシステム「K1」などにより、作業者全員がほぼ同じ作業レベルで修理できる体制により、訓練期間もごく短期で済む。「長期の過去データ蓄積が作業効率に大きく寄与する。やろうと思ってもすぐにできるものではないと思う。これは、ユーザーサポートに長年力を入れてきた弊社ならではの強み」(NECパーソナルコンピュータ 東日本テクニカルセンターの星野敬正センター長)
修理作業者は修理品の受け付けから診断、実修理、検査、梱包・出荷まで1台につき1人がすべての作業を担当し、1日に8台ほど作業する。故障状況に応じて並列作業し「(比較的時間のかかる)テストツールにかけるまでを昼休み前に済ませてしまう」のがポイントという。効率を高め、その余力を「よりていねいに作業する」ために使う。その作業速度は、PCの分解には少しばかり慣れているはずのPCメディア系記者より「2倍高速」に分解→組み立て作業を終えてしまうほどである。
修理・サポートは、PCが壊れなければ不要。ただ、電子機器ゆえ壊れることもある。それは仕方ない。それより、その後の対応次第で「次も同じメーカーに」と思うかどうか、評価が大きく分かれる。PCが日用品化しつつある昨今、この対策は特に重要だろう。「安価やスペック」は何とかなるかもしれないが、「ユーザーの安心、信頼」は並の努力では得られないためだ。
ともあれ、とにかくコストパフォーマンスを追求、いや、それも重要だがそれと同様に安心できるサポート体制も必要。──改めて、そんなPCを取捨選択できる日本のPCユーザーは恵まれている。
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