普段より数段心地よい響き、高域の表現力が魅力のブックシェルフスピーカー──パイオニア「S-CN301-LR」野村ケンジのぶらんにゅ〜PCオーディオ Review(2/2 ページ)

» 2012年03月28日 17時00分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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一番の魅力は高域の表現力 同クラスのスピーカーでは体験したことがないクオリティ

photophoto ツイーターが口径20ミリのソフトドーム、ウーファーが口径100ミリのグラスファイバー振動板

 S-CN301-LRは、小型ブックシェルフとしてはなかなかに再生周波数帯域が幅が広く、そして変に腰高な帯域特性にもならない、バランス感覚に優れたサウンドで聴かせてくれる。20ミリ厚のエンクロージャやリアルウッドの素材が効いているのだろうか、雑味が少なく、音色に落ち着き感がある。女性ヴォーカルは僅かにハスキーな傾向を持つが、同時にちょっとした艶やかさが乗ってくれるところは非常に心地よい。

 そして、一番の魅力は高域の表現力。倍音成分のそろいがよく、ストレスのない伸びやかな音色により、ピアノの演奏が普段より数段心地よい響きになる。ブルースハープの演奏はさらにすごい。部屋のすみずみまで突き抜けていくような音の拡がり、そして存在感が強烈だ。このクラスのスピーカーでは体験したことがないクオリティである。

 低域もロングストローク設計のウーファーやリアルウッドボディが功を奏し、量感を必要十分に備えつつ、質感はなかなかよい。さすがにボトムエンドはあいまいになる印象だが、ベースなどはピッキングが明瞭で、エッジの効いたメロディアスなサウンドを奏でてくれる。

 総合的にはジャズや女性ヴォーカルなど、ゆったりしたテンポの曲をしっとりと聴かせるのがもっとも得意とするタイプと思うが、ハードロックなどもグループ感高く聴かせてくれるので、ジャンルに得手不得手を考える必要はないだろう。本機の設置においては、かなり大ボリュームにしてもサウンドバランスを崩さないたにルームオーディオ的な利用も十分可能ではあるが、やはり解像度感のアドバンテージを保てるニアフィールド/デスクトップでの使用を勧めたい。

 なにより、これが3万円台で購入できるというコストパフォーマンスの高さがすばらしい。ハイレゾ音源とともにPCオーディオを楽しむなら、有力な選択肢になりうる製品だ。

photophoto 試聴機器には、ORB製USB DAC「JADE-2」、Carot Oneの真空管アンプ「ERNESTOLO」を使用した
音質評価  
解像度感      (粗い−−○−−きめ細かい)     
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−−○フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−○−質感重視)



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