今回、性能評価で用意したマザーボードはASUSの「SABERTOOTH X79」だ。Core i7-3960X(3.3GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.9GHz)を組み合わせている。また、Intel X79 Expressチップセットを採用しているので16レーン2組をフル帯域で利用できる。2基あるPCI Express 3.0 x16対応スロットの間隔も2スロット分確保できている。電源ユニットは、CoolerMasterの「UCP 1100W」を用い、電力の容量にも余裕を持たせている。PCケースファンはフロントパネルでグラフィックスカード延長上の高さに14センチ径ファンを設置した。
グラフィックスカードは、Radeon HD 7970、GeForce GTX 680、GeForce GTX 580をそれぞれ2枚ずつ用意した。メーカーや型番は統一していないものの、動作クロックの違い程度であれば問題ない。


GeForce GTX 680搭載のMSI「N680GTX Twin Frozr III OC」とGalaxy「GF-PGTX680/2GD5」(写真=左)、GeForce GTX 580搭載のASUS「ENGTX580 DCII/2DIS/1536MD5」とGIGABYTE「GV-N580UD-15I (rev. 2.0)」(写真=中央)、Radeon HD 7970搭載のASUS「HD7970-DC2T-3GD5」とGIGABYTE「GV-R797OC-3GD」(写真=右)まず、GeForce GTX 680は、Galaxy「GF-PGTX680/2GD5」とMSI「N680GTX Twin Frozr III OC」を用意した。GF-PGTX680/2GD5はリファレンスデザインのカードで、N680GTX Twin Frozr III OCは、オリジナルのクーラーユニットを搭載したオーバークロックモデルだ。
Radeon HD 7970とGeForce GTX 580では、ASUS「HD7970-DC2T-3GD5」とGIGABYTE「GV-R797OC-3GD」、ASUS「ENGTX580 DCII/2DIS/1536MD5」とGIGABYTE「GV-N580UD-15I (rev. 2.0)」を用意した。ASUSの製品は、どちらも3スロットの厚みがあるクーラーユニットを搭載する一方、GIGABYTEの製品は、トリプルファンを内蔵した2スロット厚のクーラーユニットを搭載する。こうした点からエアフローを考慮して、PCI Express x16対応拡張スロットの#1にGIGABYTEのグラフィックスカードを、#2にASUSのグラフィックスカードを配置した。
| 評価用システム構成 | |||
|---|---|---|---|
| GPU | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 580 | Radeon HD 7970 |
| グラフィックスカード | リファレンスデザイン | ASUS ENGTX580 DCII/2DIS/1536MD5 | GIGABYTE GV-R797OC-3GD |
| CPU | Core i7-3960X(3.3GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.9GHz) | ||
| マザーボード | Intel DX79SI | ||
| チップセット | Intel X79 Express | ||
| メモリ | Corsair Memory CMZ8GX3M2A1866C9R(DDR3-1600 4GB×4枚) | ||
| HDD/SSD(1) | PLDS Plextor SSD PX-128M2P 128GB | ||
| OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1 | ||
3DMark Vantageのスコアは、GeForce GTX 680 SLI > Radeon HD 7970 CFX > GeForce GTX 580の順になる。GeForce GTX 680のSLI環境で測定したスコアは、Performanceで唯一50000台半ばに達している。PhysXの要因を排除したGraphicsスコアでは、リードの幅が減るものの、それでも、3つのプリセットでともにRadeon HD 7970 CFXを上回る。
3DMark 11は、意外な結果だ。Overallの3DMarksでは、PeformanceでGeForce GTX 680のSLIで効果が出ていないスコアになっている。そこで、Graphicsスコアに注目すると、ここでは高い値を出している。どれも1.9倍程度のスケーリングを出しており、比較したGPUではGeForce GTX 680のSLI環境が最も高いスコアだった。Performanceでは31165を記録し、唯一の30000台に乗せている。一方で、Radeon HD 7970のCrossFireXは26522(シングル比で1.93倍と、GeForce GTX 680の向上率とほぼ同じ)で、その差は約4500ほどある。
テッセレーション性能を測るUnigine Heaven 3.0でも、解像度1920×1080ドット、TessellationがExtremeの設定(ほかは標準設定)でも130fpsを記録した。Radeon HD 7970 CFXの120fpsよりもさらに10fps高い値だ。一方、同じテッセレーションでもOpenGLベースのTessMark 0.3.0では、画面描画に異常がみられ、あまり振るわないスコアとなった。
Battlefield 3はすべて「高画質」設定で測定しているが、とくに高解像度でのフレームレートが良好で、低い解像度では別の部分にボトルネックを抱える結果となっている印象だ。GeForce GTX 580 SLIと比べても解像度2560×1440ドット条件下でのリードが大きい。「最高画質」の改造度2560×1440ドットでも88fpsを記録している。Battlefield 3をフルHD超、最高画質で楽しみたいユーザーには、GeForce GTX 680 SLIが効果的だ。なお、Radeon HD 7970 CFXはスコアがバタつき、異常値が出る状況だった。ドライバの最適化がまだ足りていない印象を受ける。
DirectX 10のJust Cause 2はRadeon HD 7970 CFXに次ぐスコアだが、これはすでにCPUなどがボトルネックとなっているためと考えられる。標準設定以上のさらに高画質な設定でなければ差が出ないだろう。ただし、シングルGPUとSLIとの間では明らかにマルチGPUの効果が現れている。
消費電力は、アイドル時で119.1ワット、高負荷時で531.7ワットという結果となった。アイドル時で、シングルGPU環境と比べると7ワット程度の上昇に抑えられている。Radeon HD 7970 CFXにはかなわないものの、GeForce GTX 680の省電力性能が良好であることも確認できた。一方、高負荷時の消費電力は、シングルGPUプラス182.3ワットに達する。TDPが195ワットだから、ほぼ1本分増えた計算になる。それでも、GeForce GTX 580のSLI環境と比べて60ワット以上引き下げられており、Radeon HD 7970 CFXよりも25ワット以上低かった。
GeForce GTX 680の実売価格は、安いものでも5万5000円前後とまだまだ割高だ。これでSLI環境を構築すると10万円を超える出費を覚悟しなければならない。ただし、Radeon HD 7970も同様だ。一方、GeForce GTX 580によるSLI環境構築は、コスト的には狙い目だが、今回の検証で分かったように、パフォーマンスで大きく差がついている。消費電力も多く、電源ユニットの買い換えまで必要なら、GeForce GTX 680のSLI環境が満足できるだろう。
消費電力において、GeForce GTX 680のSLI環境は、Radeon HD 7970のCFXより最大消費電力で低かったことに注目したい。オーバークロック設定やパーツ構成にもよるが、2-wayまでなら電源ユニットの容量も850ワットクラスでカバーできるレベルだ。ただし、温度管理に関しては依然として要求が高い。特にGPU Boostが温度情報を参照して制御するため、十分に冷却することが必要だ。2-way SLI環境にしても、グラフィックスカードが密着するのではなく、1スロット以上の間隔を確保できることが望ましい。
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