「Bulldozer“改”!」というPiledriverを導入した「Trinity」の実力を試す:イマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2012年05月15日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

Piledriverコアを採用した第2世代のAPU - GPUもNorthern Islands世代に進化

 TrinityとLlanoの最も大きな違いは、CPUコアにある。Llanoは従来のAthlonと同様、K10アーキテクチャの“Stars”コアを用いていた。一方、AMDは、Trinityに関して、Llanoの発表以前、COMPUTEX TAIPEI 2011でそのコアがBulldozerベースのアーキテクチャであると明らかにしていた。実際はBulldozerをベースに改良した“Piledriver”コアを採用する。FMA3やF16Cといった拡張命令セットへの対応、そして、Bulldozerの課題だったIPCの向上や、リーク電流の削減、CACの削減、そして、動作クロックの向上などがPiledriverの主な改良点となる。

CPUアーキテクチャがBulldozerとなり、大きく変わった第2世代APU「Trinity」。ダイ写真では、左半分がCPU、右半分がGPUで、およそ半分ずつのエリアを占める。左上の細長いユニットはDDR3メモリコントローラで、左下がPCI ExpressなどのI/O、GPU部分の右上の一角にUVDやハードウェアエンコーダなどのメディア機能向け回路を配置する

 Trinity世代のラインアップでは、Llanoで用意していたA8、A6、A4の各シリーズに対し、A10という上のランクを新設した。また、現時点で、A8、A6まで発表しているが、A4については正式発表がもう少し後になる予定だ。

 モバイル版Trinityの最上位モデル「A10-4600M」を例にその仕様を見てみると、コア数は4コアとLlanoの最上位モデルと共通するが、CPUコアクロックが引き上げられていてパフォーマンスで期待できる。LlanoもTrinityもTurbo CORE Technologyを導入するが、A8-4600Mはベースが2.3GHz、最大3.2GHzに設定されている。LlanoでTDPがA8-4600Mと同じ35ワットのA8-3500Mでは、ベースが1.5GHz、最大2.4GHzだったから、800MHzずつ引き上げていることになる。なお、AMDは、CPUパフォーマンスはLlano比で25パーセント向上したと説明している。クロック比と過去のBulldozerのベンチマークから推測すれば、確かに25パーセントという値は妥当といえる。

A10-4600Mの仕様をCPU-Zで確認する。高負荷をかけた状態で、ベースクロックの2.3GHzを超え、2.7GHzあたりで動作していた。1次キャッシュメモリはデータ用が16Kバイトと命令用が64Kバイト、2次キャッシュメモリがPiledriverモジュールあたり2Mバイト。チップセットはLlanoと同じくHudsonシリーズを採用する。“A55/A60M”とあるが、資料によれば評価機はA70Mを搭載している

 A10-4600MのTDPは35ワットだ。Llano世代では、TDP 35ワットのA8-3500Mの上にTDP 45ワットのA8-3530Mを用意していた。これに対し、Trinity世代では、A10-4600Mの35ワットが最大で、下を見ると、A6-4455MのTDPが17ワットに設定されている。全体的にTDPを引き下げただけでなく、17ワットという低いTDPレンジの製品を投入したことになる。インテル主導のUltrabookが注目を集めているが、AMDも同様に薄型軽量ノートのセグメントを狙っており、TDP 17ワットのTrinityはそれに向けた製品ラインアップと考えられている。

 Trinityでは、統合したグラフィックスコアも世代が進んでいる。Llanoに統合していたグラフィックスコアは、“Evergreen”ファミリーと呼ばれていたRadeon HD 5000世代のアーキテクチャであり、実質的には“Redwood”コアをベースとしていた。一方、Trinityでは、“Northern Islands”ファミリーと呼ぶVILW4対応のRadeon HD 6000世代のアーキテクチャを採用する。Radeon コア数はA10-4600Mに統合する「Radeon HD 7660G」で384基だ。A8-3500Mに統合する「Radeon HD 6620G」が400基だった点からすると削減したことになるが、一方でグラフィックスコアの動作クロックは、A8-3500Mの444MHzに対しA10-4600Mは497MHzに引き上げられている。

 さらに、 Turbo CORE Technologyも第3世代へ進化した。Turbo CORE Technology 3.0では、APUにおいてCPUとGPU双方の負荷バランスを見て、それぞれ動作クロックを調節する。従来はCPUだけがその対象だったが、Turbo CORE Technology 3.0では、CPUコンシャスなアプリケーションではCPUクロックを引き上げると同時に、GPUクロックを抑え、一方、GPUコンシャスなアプリケーションではCPUクロックを抑えると同時にGPUクロックを引き上げる。このおかげで、A10-4600Mの場合、最大グラフィックスコアの動作クロックは最大で686MHzに達する。こうした改善によって、AMDは、GPUパフォーマンスが50パーセント向上したと主張してる。

 グラフィックス関連では、ハードウェアエンコーダの実装にも注目したい。現時点で、これに対応するソフトウェアはまだ登場しておらず、その性能は評価できないが、AMDは、ソフトウェアベンダと協力して、トランスコード用のソフトウェアをリリースする見込みという。UVDも引き続き実装しており、エンコードとデコードの両方がハードウェア処理に対応する見込みだ。また、ディスプレイ出力では、統合したグラフィックスコアだけでEyefinityに対応する。

 システムメモリ関連では、DDR3-1600までサポートするほか、DDR3L-1600やDDR3U-1333というより低電力で駆動するメモリモジュールにも対応して、ノートPCのシステム全体で省電力を実現する。

A10-4600Mに統合したRadeon HD 7660Gの仕様をCatalyst Control Centerで確認する(写真=左)。Trinityの性能評価用ノートPCが搭載していたシステムメモリは、デュアルチャネルのDDR3-1600でトータル4Gバイトだった(写真=右)

 APUのパッケージでは、TDP 35ワット以上のモデルでは、Llanoと同じFS1を用いるが、正確には「FS1r2」となり、変更したようだ。また、TDP 25ワット以下の省電力版Trinityでは、「FP2」というパッケージを採用する。

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