XPSシリーズはデザイン性に加えて、高いパフォーマンスも重視するブランドだ。本体スペックは、スタンダード、プレミアム、プラチナと3種類あるパッケージでそれぞれ異なるが、すべてのパッケージで第3世代Coreプロセッサ・ファミリーのCPUを採用した。
スタンダードパッケージは、デュアルコアのCore i5-3210M(2.5GHz/最大3.1GHz)を、プレミアムパッケージとプラチナパッケージは、クアッドコアのCore i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz)を搭載する。このほか、システムメモリの容量、外付けグラフィックスや光学ドライブの種類が異なる。
各モデルの直販価格は、スタンダードパッケージが12万9980円から(税込み、送料込み、以下同)、プレミアムパッケージが14万9980円から、プラチナパッケージが16万9980円からとなる。標準のOSは64ビット版Windows 7 Home Premiumだが、BTOでProfessional版やUltimate版も選択できる(それぞれ5040円、1万1500円の追加料金がかかる)。
また、よりパワフルなマシンが欲しいという人向けに、プレミアムパッケージ、プラチナパッケージのメモリ/キャッシュ用SSD容量を強化したモデルを用意している。通常よりも3万円高くなるものの、メモリは16Gバイトに、キャッシュ用SSDは128Gバイトに強化される。予算や用途との相談になるが、スペックを追求したいならばこちらもお勧めだ。
BTOカスタマイズにも対応するが、基本的にはパッケージの構成でほぼ固定されており、カスタマイズのメニューはOSやオフィスソフト、オプションくらいだ。ただし、プラチナモデルのみ例外で、ストレージを1TバイトHDD(5400rpm)にしたり、512GバイトSSD(追加料金は8万2950円)を選択できる。各パッケージの主なスペックは以下の通り。
「XPS 15」各パッケージのスペック | |||||
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パッケージ名 | スタンダード | プレミアム | プレミアム大容量 | プラチナ | プラチナ大容量 |
CPU | Core i5-3210M(2.5GHz/最大3.1GHz) | Core i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz) | |||
メモリ | 4Gバイト | 16Gバイト | 8Gバイト | 16Gバイト | |
ストレージ | 750Gバイト(7200rpm)+32GバイトSSD | 750Gバイト(7200rpm)+128GバイトSSD | 750Gバイト(7200rpm)+32GバイトSSD | 1Tバイト(5400rpm)+128GバイトSSD | |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ | Blu-ray Discドライブ | |||
グラフィックス | GeForce GT 630M(グラフィックスメモリ1Gバイト) | GeForce GT 640M(グラフィックスメモリ2Gバイト) | |||
価格 | 12万9800円 | 14万9980円 | 17万9980円 | 16万9980円 | 19万9980円 |
評価機は下位の「スタンダードパッケージ」に相当する構成で、CPUはCore i5-3210M(2.5GHz/最大3.1GHz)、チップセットはIntel HM77 Express、メモリは6Gバイト(通常は4Gバイト、PC3-12800)、データストレージは500GバイトHDD(7200rpm、通常は750Gバイト)+キャッシュ用32GバイトSSDだ。
グラフィックス機能は、Core i5-3210Mに統合されたIntel HD Grapchics 4000と、NVIDIAのGeForce GT 630M(グラフィックスメモリ1Gバイト)のハイブリッド構成で、NVIDIAのOptimus Technologyにより、自動的に切り替えが行われる。基本的には3Dゲームなど3D描画パフォーマンスが必要なアプリケーションはGeForce GT 630Mが使われ、それ以外はIntel HD Graphics 4000が有効となる。この判断はNVIDIAのドライバが行うが、NVIDIAコントロールパネルからユーザーが指定することもできる。
Intel HD Graphics 4000は同3000からグラフィックス性能が大きく向上しており、動画編集の用途においては、高速なハードウェアエンコード機能「Intel Quick Sync Video 2.0」により、対応ソフトで外付けグラフィックスよりも高い性能を発揮することもある。しかし、まだまだ描画負荷が高い3Dゲームを高い画質設定で動かせるほどの力はなく、ゲーム用途では外付けグラフィックスが必要になる。外付けグラフィックスと内蔵グラフィックス、それぞれが違った強みを持っているので、ハイブリッド構成が生きてくる。
ベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、PCMark Vantage(x64)、3D系ベンチマークテストの3DMark06、ストリートファイターIV ベンチマークなどを行った(使用GPUは、すべて外付けグラフィックスのGeForce GT 630Mを指定した)。PCMarkVantage、3DMark06については、性能をXPS 15zと比較した。
XPS 15zの構成は、Core i7-2620M(2.7GHz/最大3.4GHz)、8Gバイトメモリ(4Gバイト×2枚/PC3-10600)、GeForce GT 525M(グラフィックスメモリ2Gバイト)/Intel HD Graphics 3000、750GバイトHDD(7200rpm)といった内容だ。
ベンチマークスコアはおおむねXPS 15が高かった。キャッシュ用のSSDや、新CPU/GPUを用いたことでスコアに差が出たと考えられるが、CPUのクロックやシステムメモリ、外付けGPUのグラフィックスメモリの容量についてはXPS 15zが高いことを考慮すれば、この差は見た目以上に大きいと考えていい。なお、上位のモデルはクアッドコアのCore i7-3612QM(2.1GHz/最大3.1GHz)を搭載するため、さらにスコアが上がると予想できる。以下の表には含めないが、モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】のスコアは4843だった。
なお、システムに高い負荷をかけると、底面奥側にあるスリットから温かい排気が吹き出す。PCMark 7でベンチマークテストを行っている最中の騒音レベルを計測したところ、50.3デシベルだった(環境騒音30デシベル、タッチパッドの15センチ上で計測)が、描画負荷の高いゲームなどを行わない限り(外付けGPUをフルに使うことがない限りは)、動作音は比較的静かだ。Webブラウズなどの普段使いにおいては、騒音は気にならない。
ファンが回るような高負荷時には、キーボード左側と左パームレストが熱を持ちやすい傾向にある。室温約25度の環境下で、PCMark 7を実行した直後に表面温度を測ったところ、キーボード左側と左パームレストは約35度まで温度が上がった。キーボード面とパームレストはソフトタッチペイントでコーティングされていることもあり、少し温かいと感じるものの、不快に思うことはないだろう。
XPS 15が搭載するバッテリーは9セル式で、容量は65ワットアワー。バッテリー動作時間の公称値は8時間11分となっている。実動作時間の測定は、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。
BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」で、PCは無線LANに常時接続、電源プラン「バランス」でテストを行ったところ、バッテリー残量5%で休止状態へ移行するまで、6時間54分だった。公称値の約8時間11分と比べるとやや短いが、7時間近く動作するので、家の中で持ち歩いてWebブラウジングをする、映画や音楽などのコンテンツを楽しむといった使い方をするぶんには、バッテリーの心配をする必要はなさそうだ。
スタンダードパッケージの直販価格は12万9980円だ。高級感のあるアルミボディに、“Ivy Bridge”こと第3世代Coreプロセッサー・ファミリーのCore i5とSSD+HDDのハイブリッドストレージ、見やすいフルHDの高輝度液晶ディスプレイ、GeForce GT 630M(グラフィックスメモリ1Gバイト)を搭載するというスペックだけでもコストパフォーマンスはなかなかよい。
従来モデルのXPS 15zも、スペックとデザインにこだわった機種であったが、モデルチェンジで双方の要素に磨きをかけ、より洗練されたパワフルなノートPCに仕上がった。価格は3万〜4万円上がったものの、フルHD液晶や外付けGPUを標準搭載、ハイブリッド構成のストレージといったスペックを考えれば納得できるし、XPSシリーズをより高級なブランドにシフトさせるというデルの狙いが見て取れる。
ほぼ全部入りのスペックを備える15.6型ノートPCだが、アルミボディで厚さを23.2ミリに、重量を約2.6キロに抑えたおかげで、家の中で持ち運ぶこともできるし、動画編集や画像編集に特化した仕事用マシンとして、車に載せて持ち出すといった使い方も可能だろう。普段使い、仕事用、3Dゲーム用とあらゆる場面でパフォーマンスを発揮してくれる頼もしいノートPCだ。
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