では試聴しよう。まずはヘッドフォン出力をSHURE「SRH1840」を用いて聞いてみる。
ふむ。ていねいさやこだわりが伺える内部仕様のためか、そのサウンドクオリティも良好だ。中でも聴感上のダイナミックレンジが優れていて、メリハリがよく印象度の高いサウンド。傾向としては、音数の多さよりもキレのよさで聞かせるタイプだ。とはいっても決して音数が少ないわけではなく、音色も自然。そのため、ポップスやR&Bのジャンルでなかなかノリのよい演奏を楽しませてくれる。
アナログRCA出力もサウンドの傾向は似ていた。こちらはボリュームがスルーされる分、SN感が少し向上した印象で、よりピュアなサウンドになってくれている点が好ましい。
と、ここまでいろいろと試聴していると、ふとフロントパネルに「FOUR CHANNEL」のロゴがあるのに気がついた。FOUR CHANNELは近年、真空管アンプやスピーカーなどのオーディオ機器に力を入れている中国メーカーのブランドだ。本連載でも、2012年2月に真空管アンプ「AF-02」を紹介しており、そのコストパフォーマンスのよさに「はじめから、かなり高品位なレベルでPCオーディオをはじめたい人向け」と評価した。DN-82544は、そのFOUR CHANNEL製機器のブランド違いモデルとして、そのクオリティには、しっかりした裏付けがあったということだ。
というわけで、この価格帯で定評のある定番内部パーツを使っている点から、最初からそこそこのクオリティでPCオーディオを始めたいという人に意外と魅力的な候補になるだろう。いや、逆にいえば、このくらいのクオリティを持つ製品からスタートしてこそ、PCオーディオの“おいしいところ”を今後も満喫できると思う。いずれにしろ、初心者も含めて幅広く推薦できる、コストパフォーマンスの高い製品だ。
音質評価 | DN-82544 |
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解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−○−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
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