5万円台でタッチ対応のWindows 8モバイルPC――「VivoBook X202E」はアリなのか?Win 8でも安値攻勢のエイスース(1/4 ページ)

» 2012年11月12日 15時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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お手ごろ価格のタッチパネル付きWindows 8モバイルノート

マルチタッチ対応の11.6型モバイルノートPC「VivoBook X202E」

 ASUSTeK Computer(ASUS)の「VivoBook X202E」は、タッチパネル付きの11.6型ワイド液晶ディスプレイを備えたWindows 8搭載モバイルノートPCだ。

 クラムシェル型のノートPCでありながら、10点同時のマルチタッチに対応した静電容量式タッチパネル付きの液晶ディスプレイを採用し、Core i3搭載モデルで5万4800円、Pentium搭載モデルで4万9800円とリーズナブルな価格を実現している。今回は2012年10月31日に発売されたCore i3搭載モデルの「X202E-CT3217G」をレビューしよう。

 ボディカラーはシャンパンゴールドとスチールグレーの2種類があるが、今回入手したのは前者だ。ボディの素材にはアルミニウムを採用しており、底面はしっとりとした手触りのマットな質感に仕上げている。ヘアライン加工で仕上げられた天面とパームレスト面は光を反射してキラキラと光り、華やかなイメージがある一方、ずっしりとした金属の重みを感じるボディで、剛性感も高い。低価格モデルながら、外観にチープさはまったくない。

 ボディのサイズは303(幅)×200(奥行き)×8.5〜21.7(高さ)ミリだ。11.6型フルHD液晶ディスプレイを搭載するUltrabook「ZENBOOK Prime UX21A」(UX21A-K1256)のフットプリント(幅299×奥行き196.8ミリ)とほぼ同じで、11.6型ノートとしては少し大きめのサイズといえる。

 また、最近のモバイルノートPCとしては厚みがある部類に入り、重量も約1.3キロと11.6型ノートとしては軽くないが、タッチパネルを搭載しているうえ、価格設定から薄型軽量化のために過度なコストをかけられないことは容易に想像できる。コストがかかるアルミニウムをふんだんに使って高級感を出した一方で、これくらいの厚さと重さになるのは仕方がないだろう。

 ただ、実測での重量は1.41キロとかなり公称値より重かった。1台を計測した実測値のみが正しいとはいい切れないが、日本メーカーのモバイルPCはほぼ公称スペック通り(またはそれ以下)の重さであることが当然なだけに、気になるところだ。あまり公称スペックと実物との開きが大きいと、信用を失いかねない。

シャンパンゴールドのカラーを採用した「X202E-CT3217G」。天面とパームレスト面はヘアライン加工のアルミニウムで、低価格モデルながら質感がよい。本体の厚さは21.7ミリと、UltrabookのZENBOOKシリーズより厚みがある

 バッテリーは本体に内蔵されており、ユーザーが着脱することを想定していない。容量はCPUID HWMonitorの表示(Designed Capacity)で約36ワットアワーだ。公称のバッテリー駆動時間は約5.2時間となっている。

 付属のACアダプタは、突起部を除くサイズが53(幅)×53(奥行き)×29ミリ(高さ)とコンパクトで、重量も131グラムと軽い(いずれも実測値)。ただし、ACプラグはアダプタに直付けされており、プラグ部分が折りたたんで収納できない点はマイナスだ。

底面にはバッテリーを内蔵しているが、ユーザーが着脱できる機構などはない(写真=左)。底面までヘアライン加工のアルミニウムで統一したZENBOOKシリーズと異なり、こちらはしっとりとした手触りのマットな質感に仕上げている。付属のACアダプタは小型軽量で、本体をコンセプトに直接差すタイプだ(写真=中央)。本体側のDC端子が細いのは少々気になる。CPUID Hardware Monitorの表示では、バッテリーのDesigned Capacityが35980ミリワットアワーとなっている(画面=右)

Ivy Bridgeベースの超低電圧版Core i3を搭載

 基本スペックには、超低電圧版のIvy BridgeおよびChiefRiverプラットフォーム(いずれも開発コード名)を用いている。

 CPUは、Ultrabookで採用例の多いCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz)などの廉価版に位置付けられるCore i3-3217U(1.8GHz)だ。Turbo Boost 2.0に対応しておらず、高負荷時にも1.8GHzよりクロックが上昇しないため、Core i5-3317Uに比べると最大で800MHz動作クロックが低い。TDP(熱設計電力)は17ワットで、Core i5-3317Uと同じだ。

 チップセットはIntel HM76 Expressを搭載。グラフィックス機能はCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000を利用する。メモリはPC3-10600 SDRAMを4Gバイト搭載するが、増設には対応しない。デュアルチャンネルアクセスには非対応で、シングルチャンネルアクセスとなっている。

CPU-Zの情報表示画面。CPUにはTDP 17ワットのCore i3-3217U(1.8GHz)を採用する(画面=左)。デュアルコアのCPUで、Hyper-Threadingによって4スレッドの同時実行が可能だ。Turbo Boost 2.0には対応せず、動作クロックは1.8GHzより上がらない。メモリはDDR3-1333 SDRAMを採用しており、容量は4Gバイトだ(画面=右)。シングルチャンネル動作のため、メモリ帯域は10.66Gバイト/秒となる

コントロールパネルの「ディスクの管理」からストレージの構成を確認。2.5インチの500GバイトHDDは、約186GバイトのCドライブ、約260GバイトのDドライブと、2つのパーティションに分けて使われている。なお、300MバイトのEFIシステムパーティションが作られており、Windows 8がUEFIネイティブインストールされていることも分かる

 データストレージは2.5インチのSerial ATA対応HDDを採用しており、回転速度は5400rpm、容量は約500Gバイトだ。評価機をデバイスマネージャで確認したところ、シーゲイトのSerial ATA 3Gbps対応7ミリ厚HDD「Momentus Thin(ST500LT012)」を搭載していた。VivoBook X202EはUltrabookではないが、光学ドライブは内蔵していない。

 通信機能は、100BASE-TX対応の有線LAN、IEEE802.11/b/g/n準拠の無線LANと、Bluetooth 4.0を標準装備している。有線LANが1000BASE-Tに対応していない点は惜しいが、最近は有線LAN自体を持たないUltrabookも少なくないだけに、低価格製品にそこまで求めるのは酷だろう。無線にトラブルがあった場合や、外出先のホテルの回線が有線しかない場合など、いざというときの保険としては100BASE-TXがあるだけでも心強いものだ。

 有線LAN以外の端子類としては、USB 3.0を1基、USB 2.0を2基装備するほか、SDXC対応SDメモリーカードスロット、HDMI出力、アナログRGB出力、マイク/ヘッドフォン共用端子を装備する。液晶ディスプレイのフレーム上部にはWebカメラ(92万画素)も装備する。

 OSは64ビット版のWindows 8を導入している。付属ソフトについては、オフィススイートとしてKINGSOFT Office 2012 Standardを備えているほかは、ASUS独自のユーティリティが中心と、シンプルな構成だ。

前面(写真=左)と背面(写真=右)にインタフェース類は用意されていない

左側面には手前から盗難防止ロック用コネクタ、USB 2.0、USB 3.0、HDMI出力、有線LAN、ACアダプタ接続用のDC入力を配置(写真=左)。右側面にSDXC対応SDメモリーカードスロット、マイク/ヘッドフォン共用端子、USB 2.0、アナログRGB出力を備えている(写真=右)。Ultrabookでは省かれることも多い有線LANやアナログRGB出力の端子を用意している点に注目だ

今回試用したVivoBook X202E(X202E-CT3217G)のデバイスマネージャ画面。500Gバイト/5400rpmのHDDは、シーゲイトのSerial ATA 3Gbps対応7ミリ厚HDD「Momentus Thin(ST500LT012)」を内蔵していた

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