“Retina”に最も近いUltrabook――「ZENBOOK Prime UX21A」を徹底検証する(前編)IPS方式の11.6型フルHD液晶が圧巻(1/4 ページ)

» 2012年07月31日 08時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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ASUS発、かつてない画素密度を誇る先進的なUltrabook

IPS方式の11.6型フルHD液晶ディスプレイを搭載したUltrabook「ZENBOOK Prime UX21A(UX21A-K1256)」

 ついに11型クラスのUltrabookもフルHDへ――。

 ASUSTeK ComputerのUltrabookブランド「ZENBOOK」が、CPUにIvy Bridge(開発コード名)こと第3世代Coreプロセッサー・ファミリーを採用し、“第2世代”へと進化を遂げた

 従来通り、13.3型と11.6型のワイド液晶ディスプレイを搭載したモデルが用意されているが、第2世代のZENBOOKではそれぞれにフルHD(1920×1080ドット)表示対応の高解像度ディスプレイが備わった上級機種を追加している。

 これらの上級機種は、「Prime(英語で最良の、最上級の、という意味)」の名を冠した「ZENBOOK Prime」という上級ブランドとして独立している点に注目したい。つまり、高解像度ディスプレイ搭載の上級機種がZENBOOK Prime、コストパフォーマンス優先の普及機種がノーマルのZENBOOKという2ラインアップ構成となったのだ。

 今回は先にレビューした13.3型モデル「ZENBOOK Prime UX31A」(UX31A-R4256)に続き、11.6型モデル「ZENBOOK Prime UX21A」(UX21A-K1256)をレビューする。13.3型よりも小さい11.6型ワイド画面でフルHD表示対応という、Ultrabookとしては類を見ない画素密度を誇るIPS液晶ディスプレイを装備しながら、12万9800円に価格を抑えた意欲作だ。

 その液晶ディスプレイの品質はどうか、見やすさは現実的なのか、13.3型モデルよりもボディが相対的に小さいことによる性能などへの影響はどうなのか、じっくりとチェックしていきたい。

Retinaディスプレイに迫る高画素密度を実現

1920×1080ドット表示の11.6型IPS液晶ディスプレイは圧巻だ

 最大の特長は、やはり液晶ディスプレイだ。11.6型とUltrabookでは小さい画面サイズながら、より大きなディスプレイの他機種を圧倒する1920×1080ドット(フルHD)の高解像度表示に対応している。画素密度は190ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)と、「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の220ppiにはまだ及ばないものの、Windows 7搭載ノートとしては極めて高精細な表示が可能だ。

 画素密度の高さは、文字や写真の美しさに貢献する。アップルのRetinaディスプレイを体験したことがある方ならば、その繊細で美しい表示をご存じのことだろう。ZENBOOK Prime UX21Aではそこまでの衝撃はないものの、モバイルPCとしては随一のエクスペリエンスが得られる。

 画素密度が高まれば、そのぶん画面の一定面積内にたくさんのピクセル(ドット)を表示できるようになるため、ドットの1つ1つが判別しにくくなり、きれいに見える。画素数が同じ写真や動画を表示する場合でも、画素密度の高いディスプレイで見たほうがきれいだ。低画素の写真や動画ならば「きれいだが小さい」と感じるだけかもしれないが、高画素の写真や動画を見ると、それが新鮮な驚きに変わる。これはOSに依存しないメリットだ。どんどん高画素の写真や動画を見たくなるだろう。

 フォントやアイコン、メニューバーといったOSのユーザーインタフェース要素も、基本的にはより精細できれいに見える。もっとも、これらはOSやその設定、アプリケーションによって異なってくる部分だ。例えば、Windows 7の標準解像度(描画密度)は96dpiだが、dpiスケーリングの設定を変えることもでき、最大192dpiまで密度は上げられる。dpiを高くすればするほど、相対的にフォントやアイコンなどは大きく表示され、より精細になっていく。きれいに見えるのは、実際に多くのドットを使って緻密に描画されるからだ(後述のような例外もある)。

 ZENBOOK Prime UX21Aのように、画素密度が190ppiもあるディスプレイで、Windows 7標準設定となる96dpiのまま利用すると、フォントやアイコンが非常に小さく表示されてしまう。これでは、よほど目のいい方でないと快適に使うことができない。

 そのため、ZENBOOK Prime UX21Aではdpiスケーリングの初期設置が「中(125%=120dpi)」となっている。この状態であれば、同画面サイズの1366×768ドット表示(96ppi)よりはユーザーインタフェースの要素が少し小さく見えるものの、ほとんど違和感なく使える大きさに保たれる。もちろん、さらに高いdpiに設定することで、精細な描画を味わうことも可能だ。

Windows 7の描画解像度(描画密度)はコントロールパネルにある「ディスプレイ」の設定で変更可能だ。カスタム設定では最大480dpi(500%)まで拡張できる

dpiスケーリングによるデスクトップ作業領域の違い。左から、ディスプレイ設定「小(96dpi)」「中(120dpi)」「大(144dpi)」だ。高dpi環境ではフォントやアイコンが大きく見やすくなるが、作業領域が相応に狭くなる

dpiスケーリングの違いによる描画の精細さの違い(アイコンとフォント)。左から、ディスプレイ設定「小(96dpi)」「中(120dpi)」「大(192dpi)」だ。高dpiのほうがアイコン、TrueTypeフォントも多くのドットを使って精細に描画されるが、表示が大きくなり、一覧性は下がる

 実際、同じ11.6型で1366×768ドット表示のZENBOOK UX21A(UX21A-K3128)と見比べてみると、その違いは明らかだ。アイコンや文字の表示にドットがはっきりと見えるZENBOOK UX21Aに対し、このZENBOOK Prime UX21Aでは、ドット感を感じさせない滑らかで上品な表示であることが分かる。

 もっとも、このdpiの調整にはデメリットもある。アプリケーションの中には、Windows標準の96dpi環境だけを想定したもの(ビットマップ画像やビットマップフォントが使用されているもの)がまだあるからだ。こういった高dpi環境への対応が不十分なアプリケーションを高dpi環境で使うと、文字や画像がぼやけたり、アンバランスな表示になってしまうことがある。また、dpiの設定を上げていくと、高画素表示に伴う作業領域の広さという部分のメリットは、相応に低減されてしまう。

 表示が崩れてしまう件については、マイクロソフトも高dpi環境への対応を促進しているため、徐々に改善されていく流れにあるのは間違いないところだが、フリーソフトや古めの市販ソフトなどを使っていれば、該当するものが1つ2つはあるだろう。多少不格好な表示になってしまうことは我慢するしかない。

 作業領域については、1920×1080ドット表示の場合、表示画素が1366×768ドットの約1.98倍、1600×900ドットの約1.44倍になる。dpiが同じであれば作業領域もそのぶん増えるが、dpiを高くすれば作業領域がそのぶん減っていく。1920×1080ドットを120dpi(標準の125%)で使う場合の作業領域は、96dpiの1366×768ドットに対して約1.58倍、96dpiの1600×900ドットに対して約1.15倍ということになる。

 とはいえ、11.6型ワイド液晶を搭載する製品としては、Ultrabookはもちろん、すべてのノートPCを含めても1366×768ドット表示にしか対応しないものが大多数だ。1920×1080ドットの高画素表示が可能なZENBOOK Prime UX21Aの液晶ディスプレイは、精細度、作業領域、いずれの面でも突出している。

ZENBOOK Prime UX21A(1920×1080ドット/左)とノーマルのZENBOOK UX21A(1366×768ドット/右)で同じWebページを表示した様子。左のほうがやや小さく表示されるものの、一度に映し出せる情報の量が多く、ドットを感じさせることがない精細な描画だ

ZENBOOK Prime UX21A(1920×1080ドット/左)とノーマルのZENBOOK UX21A(1366×768ドット/右)で同じPDFファイル(マニュアル)を表示した様子。どちらもAdobe ReaderでPDFファイルを100%表示している。ZENBOOK Prime UX21AはフルHDの高解像度を生かして、見開きページがすべて表示できているのに対して、ZENBOOK UX21Aではページの多くの部分が切れている。ただし、左は表示が細かすぎるので、見やすい大きさに拡大して読むケースが多くなるだろう

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