NEXTGEAR-MICROシリーズのプラチナモデル「NG-im520PA8」。「12月の3連休は(仮想世界で)旅行するんですよ」(震え声)などと口走り、今すぐバーチャルな世界へ旅立ちたくなってしまった筆者にぴったりの製品だゲームに特化したPC、いわゆるゲーミングPCは、重い処理に耐えられる高性能なパーツ群や、それを支える冷却効果の高いケース、そして単なる性能だけでなくマニアの所有欲を満たすデザインが求められるため、一般的に高価なモデルが多い。ゲーミングPCがそのままメーカーのフラッグシップモデルになっている場合が多いのもこのためだ。
とはいえ、構成によっては20万円以上することも珍しくないPCをゲームのために購入できる人はやはり少数派だろう。高性能は前提として、価格もできるだけ安いにこしたことはない。そこで今回、マウスコンピューターのゲーミングブランドである「G-Tune」から、Core i7-3770(3.4GHz/最大3.9GHz)+GeForce GTX 670(2Gバイト)というハイスペック構成ながら、10万円切りの価格を実現したゲーミングPC、「NEXTGEAR-MICRO NG-im520PA8」(プラチナモデル)を取り上げてみた。
NEXTGEAR-MICROシリーズは、MicroATX対応ミニタワーケースを採用したゲーミングPCだ。チップセット別にX79/Z77/B75の3種類のラインアップが用意されているが、ここで紹介するNG-im520PA8は、最小構成価格で5万9850円から購入できるB75 Expressチップセットを採用した低価格モデルになる。
実はこのNG-im520PA8、前回取り上げた高性能コストパフォーマンスモデル「MDV-AGZ7110X2」と同等の価格帯を保ちつつ、さらにゲーミング向けの味付けをしたモデルなのだ。下の表を見れば分かるとおり、グラフィックスにGeForce GTX 660 Tiよりも高性能なGeForce GTX 670カードを搭載する一方で、HDD容量を500Gバイトに減らし、マザーもB75ベースのギガバイト製マザーボードを採用している。抑えられるところは抑え、その分をグラフィックスやケースに回しているわけだ。


CPU-Zの画面。Ivy Bridge世代のCore i7-3770を搭載する。8スレッドを同時処理し、Turbo Boost時に最大3.9GHzで動作する高速なCPUだ。マザーボードはマウスコンピューター向けにカスタマイズしたギガバイト製OEM(画面=左/中央)。GPU-Zの画面。こちらもKepler世代の強力なGPUだ(画面=右)| 型番 | NG-im520PA8 | MDV-AGZ7110X2 |
|---|---|---|
| CPU | Core i7-3770(3.4GHz/最大3.9GHz) | Core i7-3770(3.4GHz/最大3.9GHz) |
| チップセット | Intel B75 Express | Intel Z77 Express |
| メモリ | 8GB(キャンペーン適用時16GB) | 8GB(キャンペーン適用時16GB) |
| HDD | 500GB | 1TB |
| グラフィックス | GeForce GTX 670(2GB) | GeForce GTX 660 Ti(2GB) |
| 液晶ディスプレイ | DVDスーパーマルチ | DVDスーパーマルチ |
| OS | 64ビット版Windows 8 | 64ビット版Windows 8 |
| 価格 | 9万9750円 | 9万9750円(Web限定価格9万4500円) |
もっとも、B75 Expressチップセットの機能的な制限はあまり考える必要はない。搭載されるCPUは無印のCore i7-3770でクロック倍率は可変ではないし、グラフィックスカードを2枚刺しで使う超ハイスペック構成なら、PCI Express x16を2本フルで利用できるX79ベースのシステムを狙うべき。注意する点があるとしたら、ストレージ部分の拡張性についてだろう。
B75 Expressチップセットを搭載する本機のマザー(B75M-D3V)は、6Gbpsに対応したSATA 3.0対応ポートを1つしか持たないため、大容量SSDを2.5型ベイに2台積んで使うといった用途には向かないし、SSDを大容量HDDのキャッシュとして使うISRT(Intel Smart Response Technology)にも対応していない。このため、将来的にストレージを拡張するなら、SATA 3.0にSSDをつないでシステムドライブにし、データ用にHDDを追加するといった構成になる点は覚えておきたい。
次にケースを見ていこう。ケースはIN WIN製で、本体サイズは196(幅)×430(奥行き)×417(高さ)ミリと、机上に設置しても圧迫感は比較的小さい(もちろん、机の下にスペースがあるならそちらに置くほうがおすすめだが)。前面と左側面にメッシュ加工された吸気口を設けており、本体内部には前面に2つ、上面後方に1つ、背面に1つと計4つのケースファンが搭載されている。ケース全体のつや消しのブラックに、メッシュの隙間からのぞくファンの黄色がアクセントとなった、いかにもゲーミングPCらしいデザインで、「冷やす準備はできてますよ」という声が聞こえてきそうだ。また、前面パネルはワンタッチで取り外すことができるため、ファンにたまったホコリを除去するなどのメンテナンスが簡単に行えるのも気がきいている。

左側面もメッシュ加工された吸気口が大きくとられている。サイドカバーはネジ止めで開けるにはドライバーが必要。内部の空間は比較的広くて余裕があるが、拡張スロットはPCI Express x16×1、PCI x1×3という構成で、メモリスロットも2本のみ。なお、評価機には80PLUS GOLD認証の500ワット電源が搭載されていた

前面側に2基、上面と背面に1基ずつ、計4基のケースファンを搭載。X79ベースのラインアップにはSLI構成のモデルも用意されており、いかにも冷却性能の高そうなケースだ。電源ユニット下部にも吸気口がある。底部には4つのインシュレーターを装備し、ケースの振動を抑えている前面側のインタフェースは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、音声入出力と、着脱頻度の高い端子が並び、オープンベイに内蔵されたメモリーカードスロット(SDメモリーカード/MMC、Micro SD、メモリースティック、スマートメディア、コンパクトフラッシュなど)は幅広いメディアをアダプタなしで利用できる。背面側は2基のUSB 3.0と4基のUSB 2.0、キーボード用のPS/2、サウンド関連端子やギガビットLANを搭載。グラフィックスカードの映像出力は、DVI-IとDVI-D、DisplayPortの3系統だ。

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