本体内蔵のリチウムポリマーバッテリーは容量が29ワットアワー、公称の駆動時間が約10.5時間、充電時間が約5.5時間とされている。充電は付属のクレードル経由で行う仕様で、ACアダプタは本体ではなくクレードルに接続する。
店頭モデルには充電機能のみの「充電専用クレードル」が標準で付属するが、直販モデルでは、そのほかに4基のUSB 2.0ポートとHDMI出力端子を備えた「USB/HDMI付きクレードル」が用意されている。クレードルへの接続は簡単で、端子と左右にあるガイドの位置を合わせて、本体を置くだけでいい。
これがあれば、本体のコネクタカバーを開けずにキーボードやマウスが接続でき、また大画面のディスプレイに出力して使うことも可能だ。机の上ではノートPCあるいはデスクトップPCの感覚で使いつつ、いつでも身軽にタブレットとして持ち出せる。
Windows 8のデスクトップアプリを利用するにはキーボードやマウスが利用できたほうが断然便利で、(Windows RTではなく)Windows 8タブレットである利点を生かすには、このUSB/HDMI付きクレードルは必携といっても過言ではないオプションだ。
なお、本体にACアダプタを直接接続するための端子はなく、外出先でACアダプタを利用したい場合にはクレードルも一緒に持ち出す必要がある。出張や旅行で使いたい場合にはマイナスだ。
もっとも、本体のUSB micro-ABポートからの給電にも対応しており、市販のUSB変換ケーブル(Bオスからmicro-ABオス)などを使ってPCに接続すれば、スマートフォンなどと同じように充電できる。
充電仕様はUSB 2.0ポートの仕様に準拠(+5ボルト/0.5アンペア)だ。付属のACアダプタの出力は36ワット(+12ボルト/3アンペア)、充電時間は約5.5時間なので、相当な時間がかかる計算になるが、富士通によれば「あくまで緊急時などを想定した補助的な機能と考えてほしい」とのことだ。
USB給電中は自動的に消費電力が入力電力を下回るようパフォーマンスが調整されるとのことで、充電されるのはスタンバイ時(Connected Stanby時)および電源オフ時に限られる。また、充電エラーによる過充電を防ぐための充電タイマーを設定しており、8時間を超えると充電が停止するようになっている。そのため、USBからの充電では満充電にならない場合があるという(0%から開始すると計算上約70%まで)。
バッテリーが切れそうになってギリギリの状態で接続した場合も、USB給電している間は何とか動作しながらでも持ちこたえられるということで、緊急時にUSBからでも給電できることは心強い。
防水・防塵性能を備えている点も見逃せない。端子キャップをしっかりと閉じた状態で、JIS規格(JISC0920)におけるIPX5/IPX7/IPX8相当の防水性、IP5X相当の防塵性を備える。その具体的な内容は下表にまとめた。
水の中で使っても平気だというわけではないが、キッチンやプールサイド、運動場など、水滴や砂がかかったり、誤って水中に落としてしまう可能性がある場所でも比較的安心して使うことができる。
防水性の規格 | |
---|---|
規格 | 内容 |
IPX5 | 内径6.3ミリの注水ノズルを使用し、約3メートルの距離から12.5リットル/分の水を最低3分間注水する条件で、あらゆる方向から噴流を当てても、タブレットとしての機能を有する |
IPX7 | 常温で水道水、かつ静水の水深1メートルのところに本機を沈め、約30分間放置後に取り出したときにタブレットとしての機能を有する |
IPX8 | 常温で水道水、かつ静水の水深1.5メートルのところに本機を静かに沈め、約30分間放置後に取り出したときにタブレットとしての機能を有する |
防塵性の規格 | |
---|---|
規格 | 内容 |
IP5X | 直径75マイクロメートル以下の塵埃(じんあい)が入った装置に本機を8時間入れてかくはんさせ、取り出したときにタブレットの機能を有し、かつ安全性を維持する |
これだけの小さなフォームファクタでWindows 8の利用を可能している最大の要因は、基本システムにClover Trailの開発コード名で知られるAtom Z2760を搭載しているためだ。これはIntelがタブレット向けに開発したSoC(System On Chip)で、2つのCPUコアとGPUコア(Power VR SGX 545)、そしてチップセットの機能をワンチップに集積している。
CPUコア部分の構造自体は従来のAtom Zシリーズ(Atom Z670など)と特に変わりなく、動作クロックは1.5GHz(最大1.8GHz)で、デュアルコアだがHyper-Threadingによって4スレッドの同時実行が可能だ。
チップセット部分ではSerial ATAやPCI Expressインタフェースを割り切って省くことで省電力化しているほか、メモリをSoCの上に重ねて実装できるPoP(Package On Package)に対応しており、14×14ミリの小さなチップにシステムの中核部分のほとんどを実装できるため、ボディの小型化や軽量化が容易になっている。
メモリはPC2-8500 LPDDR2 SDRAMを2Gバイト内蔵し、ストレージは64GバイトのSSDだ。前述の通り、Atom Z2760はSerial ATAのインタフェースが省かれているので、64GバイトSSDはeMMC(embedded MultiMediaCard)を利用している。
今回試用したWQ1/Jは、Office Home and Business 2010を搭載した構成だったこともあり、標準状態でSSDの空き容量が約24Gバイトと少なかった。SSD容量を増やすオプションなどは用意されないため、microSDメモリーカード(SDXC対応で最大64Gバイト)を装着してデータ保存用に使ったり、クラウドサービスを活用したりして、上手くやりくりする必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.