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約40%体積カットで“これなら置ける”A4複合機へ――エプソン「EP-805A」徹底検証スマホ/タブレット連携も大幅強化(2/6 ページ)

» 2012年12月29日 18時45分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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ボディを小型化しつつ、3Way給紙に対応

 このコンパクトボディに3系統の給紙機構を備えているのは見事だ。前面下部に配置された2段式の給紙カセットは、上段にはがき、L判、KG、2L判、ハイビジョンサイズをセットでき、下段はそれに加えて六切、A4サイズをセットできる。給紙容量はA4が最大100枚、はがきが上段で最大20枚、下段で最大40枚だ。従来機のEP-804Aと比較した場合、小型化に伴ってA4の給紙容量が20枚減っているが、家庭向けとしては十分なスペックだろう。

前面下部には2段式の給紙カセットを用意。上段ははがきなど、小さなサイズ専用となっている

 背面に手差し給紙トレイが設けられたのは、EP-804Aから強化された点だ。1枚ずつの給紙になるが、最大0.6ミリまでの厚紙印刷が行える。例えば、厚さ0.48ミリのアート紙「Velvet Fine Art Paper」に写真作品を印刷するといった用途もこなせるわけだ。

 手差し給紙は使用頻度が低いだろうが、あるのとないのとではやはり利便性が違う。筆者の場合、A4とL判を前面の給紙カセットにセットしておけば大抵の用は足りるのだが、たまには封筒やはがきに印刷する機会がある。大量に印刷するならまだしも、1通の封筒やはがきを印刷するために底面の給紙トレイを引き出し、用紙を入れ替えて印刷、また用紙をセットし直すという作業は少々面倒だ。

 率直にいえば、多少のサイズアップには目をつむってでも背面トレイが欲しかっただけに、サイズダウンしながらこれを追加してきたことは、もろ手を挙げて歓迎したい。

 印刷時には自動で前面のトレイカバーが開き、排紙トレイが前方へ出てくる。収納する場合は手動で閉じることになるが、遠隔地からワイヤレスで印刷をするような使い方でも常時排紙トレイを出しておく必要がないのは便利だ。

小型化しながら、最大0.6ミリまでの厚紙印刷に対応した手差し給紙トレイを追加した(写真=左)。排紙については、印刷時にかなり大型のトレイが自動で手前にゆっくりと出てくる(写真=右)。自動的に排紙トレイが出てくるのはいいが、ここのデザインは洗練された外装に比べて少々武骨な印象だ

 Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイは、前面の下部に収納されており、利用時はこれを引き出して手動でセットする仕組みだ。従来機のEP-804Aはこのトレイを本体に内蔵し、ボタン1つで自動的に出し入れできたが、ここも小型化によって簡略化された部分となる。光ディスクの利用が減りつつある中、レーベル印刷の利便性より小型化を優先した判断は理解できる。

Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイは、前面の下部に収納されており、取り出しやすいように端が少し飛び出している(写真=左)。利用時はトレイを前面の下部から引き出して、手動で前方からセットする仕組みだ(写真=中央/右)。

豊富なインタフェースは使い勝手にも一工夫

 PCとの接続インタフェースはUSB 2.0、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備する。プリンタドライバの対応OSは、Windows XP/Vista/7/8、Mac OS X 10.5.8以降とされている。Windows 2000 ProfessionalやMac OS X 10.4.11のサポートは省かれた。

 付属ソフトの「EPSON Net Setup」をPC/Macにインストールし、画面の案内に従うだけで、SSIDやパスフレーズの入力をせずに無線LANの設定が行える機能も持つ。また、簡単に無線接続が可能なAOSSとWPSもサポートしている。

 そのほか、外部ストレージ接続用およびPictBridge用のUSB 2.0ポート、IrDAポート(Ver.1.3準拠/IrSimple対応)、CF Type IIスロット、メモリースティックPRO/SDXC対応SDメモリーカード/MMCスロットも備えており、デジカメやケータイとの接続もしやすい。メモリカードスロットはPCと接続した際、外付けのメモリカードとして読み書きが行える。なお、EP-804AにあったxDピクチャーカード用のスロットは非搭載となった。

 外付けHDDやUSBメモリをEP-805AのUSBポートに装着すれば、無線LAN経由でつないだPCからそこに保存されたデータを閲覧して印刷できる。スキャンしたデータをUSBポートに接続したストレージや装着したメモリカードに直接保存することも可能だ。

背面の少し奥にPC接続用のUSBと有線LANのコネクタを配置しており、ケーブルが飛び出さないようにしている(写真=左)。前面の左側にUSBストレージ用およびPictBridge用のUSBポート、IrDAポート、各種メモリカードスロットを集めている(写真=右)。カードスロットにはカバーが設けられており、非使用時は見た目がすっきりする

約40%体積を削っても基本性能はしっかり確保

 ボディデザインが大幅に変更された一方、プリントエンジンの仕様は従来とさほど変わっていない。

 インクセットはエプソンおなじみの6色構成で、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ブラックを採用する。2色のライトインクを含む全色染料インクにより、特に光沢系の写真用紙へのカラー印刷を重視した仕様だ。半面、普通紙へのシャープな印字という点では顔料インク搭載機より少し不利になる。

 もちろん、インクタンクは6色すべてが独立している。ただし、インクタンクは薄型の新タイプ(70番/70L番)に切り替わっており、従来品との互換性はない。インクを買いだめしているユーザーが買い替える場合は注意が必要だ。

 インクヘッドのノズル数は従来同様、各色180ノズルだ。印刷速度の公称値は、L判写真用紙(写真用紙<光沢>)1枚で14秒(下段トレイ)もしくは15秒(上段トレイ)とされており、小型化しつつもEP-804Aの公称14秒を維持している(印刷速度の測定結果は後述)。

 A4サイズに対応したフラットベッドスキャナ部も仕様の変更はなく、読み取り部にはCIS方式、光源にはLEDを採用している。解像度は主走査が2400dpi、副走査が4800dpiだ。読み取り階調はRGB各色16ビット入力、8ビット出力に対応する。EP-804Aでは原稿台の掘りが浅いことが不満だったが、EP-805Aではしっかりと解消されていた。

ボディの上部を持ち上げると、6色独立式の染料インクタンクにアクセスできる(写真=左)。従来と異なり、プリントヘッドのキャリッジ上にインクタンクを載せたオンキャリッジ機構を採用している。A4フラットベッドスキャナはCISセンサー搭載のシンプルな作りだ(写真=右)

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