2012年を代表するノートPC“10選”Retina、Ultrabook、ハイブリッドPC、そして……(2/2 ページ)

» 2012年12月31日 19時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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時代はハイブリッドPCへ――「VAIO Duo 11」「TAICHI21」「XPS 12」

 現在進行形で市場をにぎわせているのが、Windows 8に合わせて登場してきたハイブリッドPCだ。状況に応じて、クラムシェル型ノートとタブレットの両方のスタイルを切り替えながら利用できるPCをこう呼ぶ。

 ハイブリッドボディを実現する方法はさまざまだ。ディスプレイ部をスライドしたり回転させる変形型、タブレットとキーボードユニットで構成される分離・合体型、そして2画面型などバラエティに富んでおり、市場を華やかに彩っている。

 Windows 8はタッチ操作を強く意識し、(iOS端末のように)シンプルかつ滑らかで快適な操作感という概念を採り入れた新しいユーザーインタフェースを導入しつつ、Windows 7までのユーザーインタフェースもそのまま備えるハイブリッド的なOSとなった。これをフルに活用しようとすれば、自然とこういう形になるわけだ。

ソニー「VAIO Duo 11」

 中でもソニーの「VAIO Duo 11」は、心地よくワンアクションで変形できる精度の高いスライド機構に加えて、タッチパネルやデジタイザスタイラスも含めた11.6型フルHD液晶ディスプレイの品質が秀逸。これを活用するための多彩なアプリも用意しており、即戦力として活躍できるハイブリッドPCに仕上がっている。ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルではメモリを8Gバイトに増設できる点もメリットだろう。

 ASUSが投入した「TAICHI21」の先進性も見事だ。クラムシェル型ボディのトップカバー内外両面に11.6型フルHD液晶ディスプレイを搭載しており、開いた状態では内側、閉じた状態では外側と、表示画面を切り替えることで、変形なしでクラムシェルとタブレット、どちらのスタイルでも利用できる。外側画面はタッチ操作に加えて筆圧検知のペン入力もこなす。

 2画面の同時表示も可能で、外側の画面に好きな写真や動画を表示するためのソフトもプリインストールしており、実に楽しい。個人的には変形型よりもこちらのアプローチのほうに大きな可能性を感じる。こちらもまた、未来を先取りしている感覚だ。

 もう1つ、ハイブリッドPCからはデルの「XPS 12」も挙げておきたい。画面がフレームを残してクルッと回転するギミックが特徴だが、この液晶ディスプレイはIPS方式の12.5型フルHD液晶ディスプレイで、表示品質が良好だ。さらにメモリ8Gバイトの構成が選択でき、リーズナブルな価格も魅力的に映る。

ASUSTeK Computer「TAICHI21」(写真=左)。デル「XPS 12」(写真=右)

大画面モバイルの進化を期待させる「LaVie X」

 2011年末の同企画において、Ivy Bridge世代で発展を期待したのが大画面モバイルノートだ。

 ノートPCは基本的に、モバイル向け、据え置き向けとジャンル分けされ、モバイル向けでは画面サイズや性能を、据え置き向けではバッテリー駆動時間や可搬性を、割り切った形で進化してきた。2011年に取り上げた「VAIO S(SE)」にはそのジャンルの壁を破る可能性を感じたのだが、今回最初に取り上げたMacBook Pro Retinaディスプレイモデルはこの発展型といえるかもしれない。

NEC「LaVie X」

 さらに、年末になってNECから大画面Ultrabookの「LaVie X」という新星も現れた。IPS方式で15.6型ワイドの大画面フルHD液晶ディスプレイを搭載しながら、12.8ミリ厚という圧倒的な薄さには驚かされる。約1.56キロの重さも15型クラスのノートPCとしては画期的だ。

 これまでこのようなノートPCはほとんどなかっただけに、現状ではニッチな製品かもしれないが、クリエイティブユースを中心に、もっと大画面かつ高性能を手軽に持ち運びたいという潜在需要は小さくないと思われる。今後はさらなる盛り上がりを期待したい。

Ultrabookには懸念材料も

 最後に、今回選んだ機種はMacBook Pro Retinaディスプレイモデル以外がすべてUltrabookとなったが、Ultrabookであるという条件を意識したわけではなく、あくまで自然に選んだ結果にすぎない。

 むしろ、Ultrabookについては懸念もある。薄さに関する条件(14型以上は21ミリ以下、14型未満は18ミリ以下、タッチパネル搭載機はプラス2ミリまで可)があるため、ほとんどの製品はユーザーによるバッテリーの着脱が行えず、メモリやストレージの増設や交換もできない。ユーザー自身によるメンテナンスが事実上不可能な場合が多いことは、中上級者にとって従来型のモバイルノートPCより不便だろう。

 個人的にUltrabookは1〜2年で使い倒しつつ、最新機種を短いスパンで買い替えていくのも悪くないが、一部の法人向けモデル以外でも、こういうメンテナンスに関する部分をしっかり確保した製品を見てみたいものだ。

鈴木雅暢による2012年を代表するノートPC“10選”(記事での登場順)

  • 15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル(アップル)
  • LaVie Z(NEC)
  • dynabook R632(東芝)
  • ZENBOOK Prime UX31A(ASUSTeK Computer)
  • ThinkPad X1 Carbon(レノボ・ジャパン)
  • Floral Kiss/FMV LIFEBOOK CH55/J(富士通)
  • VAIO Duo 11(ソニー)
  • TAICHI21(ASUSTeK Computer)
  • XPS 12(デル)
  • LaVie X(NEC)
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