2010年を彩ったモバイルノートPC:VAIO Z、MacBook Air、そして……(1/4 ページ)

» 2010年12月31日 08時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]

NetbookブームとCULVノートの後にやって来た多様化

2008年1月25日に国内販売された「Eee PC 4G-X」。Celeron M 900MHzや4GバイトSSD、Windows XP Home Edition(SP2)搭載で5万円を切る価格が衝撃だった。ここからAtom搭載Netbookへの流れができ、PC業界は激変した

 モバイルノートPCの2010年を振り返る上で、まずはNetbookまで話をさかのぼりたい。

 Netbookは2008年に国内販売が始まり、すぐに一般層まで巻き込んだブームとなったが、需要が一巡したとみられる2009年の後半以降は出荷台数が落ち込んでいった。インテルは新たなトレンドを生み出すべく、2009年前半からNetbook向けCPUのAtomよりワンランク上のいわゆるCULV(Consumer ultra low voltage)版CPUを積極展開したが、同CPUを採用した低価格ノートPC(CULVノートやネットノートと呼ばれる)は、国内市場でNetbookほど盛り上がることはなかった。

 CULVノートは、Netbookを購入したばかりのユーザーにとって、買い替えや買い増しの対象にはなりにくく、知識のあるユーザーにとってはスペックに中途半端さがあったのは否めない。海外メーカーのモデルを中心にコストパフォーマンスの高さが受けたが、流行語に挙げられるような大ヒットに至らなかったのは当然だろう。

 しかし、NetbookやCULVノートがPC市場、そしてユーザーに与えた影響は大きい。これらに引きずられるように、そのほかのカテゴリのPCも低価格化が急速に進み、2008年(ほんの2年前)に比べると、PCが驚くほど買い求めやすくなっている。また、2009年10月にWindows 7、2010年6月にOffice 2010がリリースされ、2010年1月には新Core iシリーズ(開発コード名:Arrandale)が投入されたことも追い風となり、2010年の国内PC市場全体では順調に出荷台数を伸ばした。

アップルが2010年5月に国内販売を開始した「iPad」。近い将来、iPad以前と以後でPC市場が大きく変わったと評されるかもしれない

 その一方で、2010年はiPadをはじめとするタブレットやスマートフォンの台頭が目立ち、こうした機器をモバイルノートPC代わりに使うユーザーも増えつつある。今後はPC市場全体を侵食していくという予測もあるが、少なくとも2010年のPC市場は堅調だ。

 NetbookやCULVノートの登場は、モバイルPCユーザーのすそ野を広げつつ、製品選択の幅を広げることにも貢献したのは見逃せない。価格が安い順から、Netbook(あるいはタブレット)、CULV(もしくはそれに類する低価格ノート向けCPU搭載)ノート、それ以外のハイスペックなモバイルノートと、ユーザーの用途や予算に応じて、多様な製品が選べるようになったのだ。Netbook以前はモバイルノートPCの予算は20万円程度という世界だったため、わずか2年で大きく様変わりしたことになる。

 というわけで、2010年はNetbookを含むエントリーからハイエンドまで、モバイルノートPCの選択肢が増え、これまでにない新機種が多数登場した1年となった。ここでは、特にPC USER編集部で注目した製品(タブレットは省く)を振り返っていこう。

「VAIO Z」――低価格モバイルへの痛快な反抗

「VAIO Z」

 2010年のモバイルノートPCでまず驚かされたのは、ソニーが3月に発売した新世代「VAIO Z」だ。

 1キロ台前半のボディに、通常電圧版のモバイル向けCore i7、広色域の13.1型フルHD液晶、クアッドSSD(SSD×4によるRAID 0構成)、Intel HD GraphicsとNVIDIA GeForce GT 330MによるハイブリッドGPU(NVIDIA Optimus Technologyではなく、スイッチによる切り替え式)、Blu-ray Discドライブ、バックライト付きキーボード、WiMAXをはじめ多彩な通信機能まで盛り込み、突出したハイエンドスペックに仕上げてきた。価格も店頭モデルで24万円前後、直販モデルの構成によっては40万円を上回るハイエンドぶりだ。

 NetbookやCULVノートによる低価格化の流れをあざ笑うかのような高級志向は、多くのモバイルノートPC愛好家に熱く支持され、ソニーストアでの先行予約ではアクセスが殺到して購入しづらい状況が続き、一般予約の開始が延期されたことは記憶に新しい。実際、写真や動画を外出先でパワフルに編集できるとあって、PC USER編集部やITmedia社内、社外のライターなど、業界ではとにかく高いのに購入者が目立った。また、VAIO Z関連の記事も好評だった。

 新型VAIO Zがリリースされてから、これに真っ向勝負を挑めるほどハイエンドなモバイルノートPCは現れておらず、メインマシン級のハイパフォーマンスなPCを携帯したいユーザーにとって外せない存在となっている。ハイエンドモバイルの需要は確実に存在するので、今後もこの路線をぜひ続けてほしいものだ。

 余談だが、VAIOノートはそのほかにも「VAIO P」や「VAIO X」など、独自色の強いモバイルノートPCを多数そろえており、国内PCメーカーでは最もバリエーション豊かなモバイルPCのラインアップを擁するといえる。CPUベンダーの思惑や市場のトレンドから一歩引いて、新たなモバイルPCのあり方や新規需要の掘り起こしに余念がなく、それをきちんと製品化し続けているVAIOの開発陣をたたえたい。


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