クアッドSSD搭載の「VAIO Z」を速攻で丸裸にする完全分解×開発秘話(1/3 ページ)

» 2010年02月16日 17時45分 公開

ついに正式発表された新型VAIO Z、気になるその中身は?

内も外も生まれ変わった「VAIO Z」

 既報の通り、ソニーは2月16日にハイエンドモバイルノートPC「VAIO Z」の新モデルを発表した。2010年1月18日2月16日と2度に渡って発表されたVAIOの2010年春モデルで目玉となる機種だ。

 VAIO Zといえば、パフォーマンスとモビリティを高いレベルで融合したVAIOの新しいフラッグシップモバイルノートとして2008年8月に発売され、数回のマイナーチェンジを繰り返しながら、多くのファンを獲得してきた人気機種だが、今回初めてフルモデルチェンジが行われた。

 新型VAIO Zはボディをより薄く、軽く仕上げながら、従来機を大きく上回るハイスペックを搭載し、“一切の妥協をしないモバイル”という製品コンセプトをさらに突き詰めている。詳細なレビューは別の機会に行う予定なので、ここではVAIO Zの高性能と携帯性がいかにして両立されているのか、実機を分解しながら詳しくチェックしていこう。

 PC USERでは編集部やライターが直接PCを分解することも日常茶飯事だが、VAIO PVAIO WVAIO Xの製品発表時と同様に発売前の試作段階ということもあり、分解はNGとのこと。そこで、もはや恒例行事となりつつあるが、開発者に自らVAIO Zを分解してもらった。

 分解を依頼したのは、設計を統括したプログラムマネージャーの鈴木雅彦氏(ソニー VAIO事業本部 PC事業部)だ。また、商品企画を担当した金森伽野氏(ソニー VAIO事業本部 企画戦略部門)にも同席してもらい、製品のこだわりを聞いた。

左が金森伽野氏、右が鈴木雅彦氏


新デザインのキモは、切削加工で成型したアルミ製トップカバー

 まずは分解に入る前に、ボディのデザインについて聞いてみた。よく見ると従来機とは大きく変わっているが、基本的なデザインは継承されている。金森氏は「VAIO Zは初代から完成度が高いと評価されてきたデザインだったので、あえて大きな変更はせず、質感の向上やさらなる洗練、機能美、精巧さといった部分を研ぎ澄ますイメージで作り上げた」と語る。

 もっとも、従来機のデザインに流用したわけではなく、実際にはイチから設計し直している。新デザインの中心となるのは、切削加工で成型したアルミ製のトップカバーだ。キーボードパネルとパームレスト、そして電源周囲のシリンダー部分までを含むトップカバーが1枚のアルミ板で構成されている。これは肉厚のアルミの1枚板を押し出し成型で加工した後、それを削り出して成型したものだ。鈴木氏は「切削加工により、厚みを自由にコントロールできるようになり、剛性が欲しい部分だけを厚くして、頑丈さと軽さを両立できた」と胸を張る。

 従来機はアルミの1枚板を打ち出したキーボードパネルとパームレスト一体型パーツを採用し、シリンダー部分は別パーツだったが、ここまで1つのパーツとして成型したことにより、剛性と軽さの両立に加えて、見た目の美しさにも配慮している。「材料としては同じアルミ素材だが、扱い方がまったく違うので、新素材に近いイメージで開発した。おかげで、絞り出しでは表現しきれないエッジ感も美しく出せた」と鈴木氏。

まずは肉厚なアルミの1枚板を押し出し成型で加工する
次にこれを削り出し、シリンダー、キーボードパネル、パームレスト一体パーツを成型する
裏側からアイソレーションキーボードのユニットを取り付け、パームレストに別パーツを装着すればトップカバーの完成だ

 ボディ各所の素材も変化が見られる。天面には「VAIO X」と同様、カーボンレイヤーの間に特殊シートを挟むことで、軽量化しつつ剛性も確保した「ハイブリッドカーボン」を新たに採用した。一方、PC本体を切削加工のアルミ素材で覆って堅牢性が確保できたため、ボディ底面はマルチカーボンレイヤーではなく、炭素繊維を入れて強化した樹脂製にして軽く仕上げている。ちなみに、パームレストの盛り上がった部分(インタラクションテーブル)は中にFeliCaポートやBluetoothのアンテナがあるため樹脂製だ。

 こうして骨格となるアルミ製トップカバーをメインに、適材適所の素材を配置することで、従来機と同レベルの剛性を維持しつつ、薄型化と軽量化を実現した。本体サイズは314(幅)×210(奥行き)×23.8〜32.7(高さ)ミリ、重量は約1.36キロ(直販モデルは約1.35〜1.62キロ)となっている。前モデルは本体サイズが314(幅)×210(奥行き)×24.5〜33(高さ)ミリ、重量が約1.48キロ(直販モデルは約1.39〜1.6キロ)だったため、数値上の差は小さいが、実際に並べてみると本体はかなり薄くなっているのが分かる。詳しくは後述するが、大幅にスペックアップしてこの薄型化と軽量化は見事だ。

左に前モデルを並べた状態。数値の差はわずかだが、見比べると全体が薄くなっているのが分かる


       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年03月21日 更新
  1. シリーズ初の「1kg切り」「2in1モデル」登場! 見どころたくさんのThinkPad 2025年モデルが日本上陸 3月18日から順次発売 (2025年03月18日)
  2. いよいよPCやプリンタに浸透する“AI活用” HPが年次イベントで80種類以上の新製品を一挙に発表 (2025年03月20日)
  3. Windows 11の「セキュリティ更新」に不具合 「Microsoft Copilot」アプリが意図せず削除される恐れ (2025年03月19日)
  4. Microsoft Excelで「ユニバーサル プリント」を使うと結果を出力できない可能性(暫定対応策あり) (2025年03月19日)
  5. 8年ぶりの新モデル、ロジクールのワイヤレス充電マウスパッド「POWERPLAY 2」は機能を省いて安価になった (2025年03月18日)
  6. 「Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)」の既知の不具合まとめ【2025年3月5日現在】 (2025年03月05日)
  7. 「テンキー」の売れ筋ランキング 数字入力の多い業務で活躍【2025年3月19日版】 (2025年03月19日)
  8. ゼンハイザー、バランスの取れたサウンドを実現する軽量設計の開放型ヘッドフォン (2025年03月19日)
  9. デル、スタンダード設計のビジネス向けディスプレイ「P」シリーズに4Kモデルなど7製品を追加 (2025年03月19日)
  10. PCI Express 5.0接続SSDの“本命”か? 超高速な「Samsung SSD 9100 PRO」2TBモデルの速度や温度をチェック (2025年03月19日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2025年