「VAIO X」の極限まで絞ったスリムボディを丸裸にする:完全分解×開発秘話(1/4 ページ)

» 2009年10月08日 14時45分 公開

圧倒的な薄型軽量ボディはどう作られているのか?

「VAIO X」

 ソニーはWindows 7搭載のVAIO秋冬モデルを2009年10月22日に一斉発売する。その中で目玉となるのは、何といっても薄型軽量モバイルノートPCの新機種「VAIO X」だ。ティーザー広告(予告広告)やCEATEC JAPAN 2009への参考出展などで、その極薄のボディが公開され、中身は一体どうなっているのか気になっていた人も多いだろう。

 10月8日にようやく正式発表が行われて製品仕様が明らかになったわけだが、その薄さ、軽さ、スタミナ、堅牢性の共存は驚異的といえる。詳細なレビューは別の記事でお届けするとして、ここではVAIO Xの高い携帯性がどのように実現されているのか、ボディの外装から内部構造まで、実機を分解しながら詳しくチェックしていく。

 PC USERでは編集部やライターが直接PCを分解することも少なくないが、今回もVAIO PやVAIO Wのときと同様に発売前の試作機ということもあり、分解は遠慮してほしいとのこと。そこで、またしても開発者に自ら分解してもらうこととなった。分解をお願いしたのは、VAIO Xの製品開発を統括する林薫氏(ソニー VAIO事業本部 第1事業部)だ。

 また、基板、FPC(フレキシブルプリント基板)、コネクタ類の設計を担当した百瀬孝行氏(ソニー VAIO事業本部 第1事業部)と、液晶ディスプレイを担当した藤田清人氏(ソニー VAIO事業本部 PC事業部)にも同席してもらい、各所のこだわりや開発のエピソードをうかがった。

左から、藤田清人氏、林薫氏、百瀬孝行氏


設計陣からの強い要望で開発がスタート

既存のAtom Z搭載機とは毛色が異なる、高級感のある外装が目を引く

 まずは分解に入る前に、開発の経緯を聞いてみた。そもそも、VAIO XはAtom Zを採用したPCとしては異端といえる。Atom Z搭載機としては外装も内部もミスマッチに思えるほど高コストな設計で、CPUやチップセットを除いた作りは高級志向のハイエンドモバイルノートであるVAIO Zにも引けを取らない。

 なぜ、ソニーはAtom ZでこのようなモバイルノートPCを作ったのか? 林氏によると、CPUのAtom ZとチップセットのIntel System Controller Hub(SCH) US15Wが情報公開されたとき、「これほど省電力で実装面積も小さなプラットフォームを、VAIOのモバイルノートPCに使えたなら、これまで不可能だったレベルの軽さ、薄さ、スタミナを実現できるに違いない」という確信があり、約1年半前に設計サイドからマネジメントサイドへ強い要望を出し、VAIO Xの開発を認めてもらったという。

 林氏には「例えば、PCが紙のノートのように薄く、軽く、それでいてバッテリーの残りを気にせずに1日使えるほどのスタミナも備えているなら、多くの人にとってPCの使い方が変わるのではないか。PCを持ち歩いているという感覚、ストレスがゼロに近づけば、これまでモバイルノートPCを使いたくてもあきらめていた人まで使ってもらえるのではないか」という思いがあり、「VAIO Xであれば、かつてない軽さと薄さで大きなユーザーベネフィットが生まれるはず。これはぜひ作りたい」という考えに至ったそうだ。

 最初は林氏が社内を説得するため、設計の有志で製品概要の検討を行った。すると、長年のモバイルノートPC開発で培ってきた技術の積み重ねや、各パーツの実装に必要なスペース、バッテリーサイズと重量の兼ね合い、液晶ディスプレイの視認性と携帯性のバランスなどを考慮した結果、以下の仕様が目標として見えてきたという。

  • 画面サイズはVAIO Tと同じWXGAの11.1型ワイド
  • 本体の厚さは13.9ミリ、重量は600グラム台
  • 紙のノートのように持ち運びやすいフルフラットなボディ
  • ビジネスに有用な有線LANとアナログRGB出力
  • 9時間クラスのバッテリー性能(4セル)

 開発の現場にこの目標を伝えたときには相当に驚かれたというが、実際の製品でこれらの仕様は達成できている。1366×768ドット表示の11.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載したボディは、サイズが278(幅)×185(奥行き)×13.9(高さ)ミリに収まり、前面から背面まで同じ厚さのフルフラットボディに仕上がった。店頭販売向けの標準仕様モデルで重量は約765グラム、バッテリー駆動時間は約10時間となっており、携帯性はすこぶる高い。

 また、約4〜5時間駆動のSバッテリーを装着した最軽量構成なら約655グラムと、10型以上の液晶ディスプレイ搭載ノートPCで世界最軽量をうたう軽さ(2009年10月8日時点、ソニー調べ)であり、大型のXバッテリーを装着すれば最大20.5時間もの駆動時間を確保できるなど、豊富なバッテリーオプションも実に魅力的だ。

社内を説得するため、開発初期段階に制作したというモックアップ。13.9ミリ厚のフルフラットボディは実際の製品と同じだ。「先端だけ薄くしても、最厚部が厚くては意味がない。フルフラットボディにこだわった」(林氏)

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