薄型軽量化、省電力化の追求は液晶ディスプレイにまでおよぶ。VAIO Xと同じく1366×768ドット表示の11.1型ワイド液晶を備えたVAIO Tと比較した場合、内部のガラス板や偏光板を薄くし、内部レイアウトを工夫することで、モジュールの厚さを2.5ミリから1.8ミリへ、重量を134グラムから104グラムへ薄型軽量化している。また、コントロールチップの省電力化とLEDバックライトの効率化を図り、液晶の電源電圧を3.3ボルトから2.2ボルトに下げることによって、消費電力はVAIO Tの約8割(200カンデラ/平方メートル時)に抑えた。
それでいて、画質にこだわっているのも見どころだ。同社が「VAIOディスプレイプレミアム」と呼ぶ最上位グレードの液晶ディスプレイを搭載し、RGB各8ビット表示、NTSC比100%の色域(u'v'色度図)に対応する。内部のガラス板や偏光板、表面の加工などをVAIO X用にカスタマイズし、薄さと画質を兼ね備えた。表面処理は発色のよさと映り込み低減の両立を図ったハーフグレアタイプだ。
液晶ディスプレイを担当した藤田氏は「ソニーはVAIO ZやVAIO TでモバイルノートPCでも高画質という流れを作ってきたので、VAIO Xでも画質は妥協したくなかった。Netbookなどと並べて見ると、画質の違いが一目で分かるはず。ディスプレイの表示品質が高いVAIOのモバイルノートPCとしては求めやすい価格なので、そこにこだわるユーザーにもおすすめしたい」と自信をのぞかせた。
なお、液晶ディスプレイ上部には無線LAN、WiMAX、ワイヤレスWANのアンテナをまとめて配置している。ここに内蔵された有効画素数約31万画素のWebカメラについても、限られたスペースに収まるものを新規開発した。


手前がVAIO X、奥がVAIO Tが搭載する液晶ディスプレイの表と裏(写真=左/中央)。見た目はほとんど同じだが、薄型軽量化した。VAIO Xは液晶ディスプレイ下部の基板も片面実装になっている。左が一般的なNetbook、右がVAIO Xの表示(写真=右)。カラーバランスや色域が違うことが一目で分かる以上、VAIO Xがどのようにして高い携帯性を実現しているのかを、ボディの外側と内側から迫った。VAIO Pのときも細部に至るまでの作り込みに驚かされたが、VAIO XはもはやCore 2 Duo搭載のモバイルノートPCシリーズと同等、もしくはそれ以上のこだわりを持って作られていることは明らかだ。
林氏はVAIO Xのメインユーザーをビジネスパーソンと位置付け、「PCの用途と必要な性能がある程度分かっていて、オフィスの文書作成やプレゼンなどでPCを持ち出さなくてはならないユーザーにとっては、これがベストな1台。実機に触れて、バッグに入れてもらえば、その薄さと軽さに開発の狙いが分かってもらえると思う」と述べている。
単にAtom Z搭載PCとしてとらえると、標準仕様モデルで11万円前後という価格設定は割高に思えるだろうが、薄さ、軽さ、質感、剛性感を高いレベルで融合したボディに、高品位な11.1型ワイド液晶ディスプレイと、十分なサイズのキーボードを敷き詰めており、パフォーマンスが譲れないユーザー以外には、かなり刺激的なモバイルノートPCに仕上がっている。
懸念されるパフォーマンス面についても、OSにVistaより軽快に動くWindows 7を採用したり、システムに負荷がかかるVAIO独自アプリケーションの常駐を省くことで、VAIO PのVistaモデルなどに比べると、だいぶ快適に動作するようになった点は覚えておきたい。
3台のXを横並びで比較:VAIO史上、最薄最軽量モバイルノート「VAIO X」を徹底検証する(後編)
実際どこまで使えるのか?:VAIO史上、最薄最軽量モバイルノート「VAIO X」を徹底検証する(前編)
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2009年PC秋冬モデル:5色で展開する14型ワイドノートPC――「VAIO C」
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2009年PC秋冬モデル:求めやすい価格のCeleronモデルを追加した、11.1型液晶の正統派モバイルPC──「VAIO T」
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2009年PC秋冬モデル:ハイパフォーマンスモバイルPCが基本性能を強化――「VAIO Z」
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2009年PC秋冬モデル:16.4型ワイドの地デジノートを2モデルに拡充――「VAIO F」
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