ソニーのスタンダードノートPC「VAIO type N」に新機種のNWシリーズが加わった。VAIO type Nとしては、2009年4月に既存のNSシリーズの夏モデルが発売されているが、NWシリーズはその上位モデルという位置付けだ。
もっとも、NWシリーズは同じVAIO type Nのラインアップでありながら、新デザインのボディを採用するなど、単なる性能強化にとどまらない意欲的なモデルとなっている。光学ドライブの違いで2モデルが用意されており、今回はBlu-ray Discドライブ採用の上位モデル「VGN-NW70JB」を試用した。ちなみに、下位モデルの「VGN-NW50JB」はDVDスーパーマルチドライブを備えている。
VAIO type NのNWシリーズは「日々の生活をもっと心地よく……」というテーマのもと、デザインと使い勝手にこだわって設計されているのが特徴だ。
まず目を引くのは、滑らかな曲線で構成されたエレガントなフォルムと天板のテクスチャだ。水面をイメージしたというテクスチャは、さらさらとした独特の触感が印象的で、光沢塗装が主流の国内メーカー製スタンダードノートPCにあって、VAIOらしい新鮮味がある。ホワイトボディと明るいゴールド系のテクスチャ、そしてミラーロゴバッジのとりあわせはなんとも華やかだ。
液晶ディスプレイのフレームやパームレスト部にも天板と同じテクスチャを施しているが、天板は彫りが深く、液晶フレームやパームレスト部は彫りが浅くと、メリハリが付けられているため、デザインがうるさすぎると感じることはないだろう。パームレスト部は凹凸があることでベタつかない効果もあり、彫りが浅いテクスチャはさらっとした手触りで何とも心地よい。
液晶ディスプレイを開いた時に液晶パネルが本体の後ろへ回りこむ「逆ヒンジ」デザインは、アスペクト比16:9の横長ワイド画面をよりワイドに感じさせる効果を狙っている。最近のVAIOノートにおけるトレンドは、シリンダーデザインから、この逆ヒンジデザインへ移行しつつあるようだ。
また、同社おなじみのアイソレーションキーボードを採用しつつ、パームレスト部よりもキーボード部の背を低く、滑らかな曲線で仕上げることでスリムに見せる「ウェーブボディ」のデザインも採用している。タッチパッドにもざらりとした質感のアクリル板を張るなど、形だけでなく質感、触感まで意識したデザイン面での強いこだわりをさまざまな部分で盛り込んでいるのがNWシリーズのウリだ。
なお、使い勝手の面では、Windowsを起動させなくてもWebアクセスができる「Quick Web Access」、特にBlu-ray Discドライブ搭載のVGN-NW70JBで威力を発揮するHDMI出力の搭載、音楽鑑賞時などに画面を消灯する「DISPLAY OFF」ボタンの装備など、エンターテインメント機能の強化が図られた。これらの詳細は後述する。
ボディサイズは370(幅)×249(奥行き)×29.1〜38.7(高さ)ミリ、重量は約2.7キロだ。15型クラスのワイド液晶ディスプレイを搭載したノートPCとしては、比較的コンパクトで軽めにまとまっている。下位のNSシリーズは本体サイズが360(幅)×270(奥行き)×31.4〜38(高さ)ミリ、重量が約2.9キロとなっており、これと比べても少し軽量化された。
ただし、バッテリー駆動時間は公称値で約2.5時間と短く、基本的には据え置きでの利用が想定されている。もう少しスタミナが欲しいならば、別売のバッテリーパックLを装着することで、バッテリー駆動時間を公称値で約4.5時間まで延長することが可能だ。
CPUにはCore 2 Duo P8700(2.53GHz)を採用している。TDPは25ワットと通常より消費電力が低いモデルで、2次キャッシュは3Mバイト内蔵する。チップセットにはグラフィックス機能を統合したIntel GM45 Expressを採用している。グラフィックスコアのIntel GMA 4500MHDは、MPEG-4 AVC/H.264、VC-1、MPEG-2のハードウェアデコードを含めたHD動画の再生支援機能を装備しており、対応ソフトウェアと組み合わせて利用することで、CPU負荷を抑えながらBlu-ray DiscタイトルなどのHDコンテンツを快適に再生できる。
メインメモリはPC2-6400(DDR2-800) DIMMに対応し、容量は標準で4Gバイトと余裕がある。SO-DIMMスロットは底面のカバー内に2基用意されており、標準装備の2枚の2Gバイトモジュールをそれぞれ4Gバイトモジュールに交換することで、最大8Gバイトまで増設可能だ。データストレージにはSerial ATA対応の2.5インチHDDを採用しており、標準で500Gバイト(回転速度5400rpm)の大容量を搭載する。
光学ドライブは、1層BD-Rの4倍速書き込み、2層BD-Rの2倍速書き込み、1層/2層BD-REの2倍速書き換えに対応したBlu-ray Discドライブを内蔵している。HDMI出力端子もあるため、テレビと接続してBDプレーヤーとしても活用できるだろう。HDビデオ編集やBlu-ray Discのオーサリングが手軽に行え、しかもセンスよく仕上がる「VAIO Movie Story」や「Click to Disc/Click to Disc Editor」といったアプリケーションも付属する。なお、下位モデルのVGN-NW50JBは光学ドライブがDVDスーパーマルチとなるが、それ以外の仕様は共通だ。
ネットワーク機能は、1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n(11nはドラフト準拠)の無線LANを装備する。端子類は、USB 2.0×3、4ピンのIEEE1394、アナログRGB出力、HDMI出力、サウンド入出力、SDHC対応SDメモリーカードスロット、メモリースティックPRO対応スロット、ExpressCard/34スロットなどを備える。USB 2.0ポートが左右に振り分けられているなど、端子やスロットの配置に使いにくい部分は見られない。
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