グラフィックス機能は、外部GPUとしてNVIDIA GeForce GT 330M(専用グラフィックスメモリ1Gバイト)を搭載し、CPU統合グラフィックス機能のIntel HD Graphicsも備えている。本体内蔵のスイッチから、高性能な外部GPUと消費電力が低いCPU統合グラフィックスコアを状況に応じて切り替えられる「ダイナミック・ハイブリッドグラフィックス」機能は、VAIO Zならではの魅力だ。
従来は外部GPUを利用するSPEEDモードと、チップセット内蔵グラフィックスコアを利用するSTAMINAモードが用意されていたが、今回は新たにAUTOモードが加わった。これはACアダプタ接続時とHDMI/DVI出力時に外部GPUを使い、バッテリー駆動時(HDMI/DVI出力時を除く)にCPU統合グラフィックスコアを使うように、グラフィックス機能を自動で切り替えるモードだ。モード切り替えは、一瞬画面が暗くなるだけで行われる。
鈴木氏はこのAUTOモードが開発で最も苦労した部分といい、「開発にあたっては、インテル、NVIDIA、ソニーの3社が密に電話会議などで仕様を詰め、担当者が集まって一斉にデバッグするといった作業で開発していった。理想として前からGPU自動切り替えのアイデアはあったが、CPUやチップセット関連の制御はインテル、外部GPUについてはNVIDIA、それらを下支えするBIOS部分などはソニーと、うまく連携ができたことで、ようやく実現できた」と語った。また、意図しない動作モードに切り替わらないように、スイッチを3角形にするといった工夫も見られる。
新型VAIO Zの内部構造を一通りチェックしたが、モバイルノートPCの限られたフットプリントにハイパフォーマンスをギュッと凝縮しつつ、徹底した軽量化のため、パーツ数は少なくシンプルに仕上げているのが印象に残った。一見すると分からないが、ここまで複雑な装置をシンプルにまとめ上げるには、相当な苦労があったはずだ。
最後に、新型VAIO Zの完成度をどう評価しているか尋ねてみたところ、金森氏は「狙うところを最初にしっかり話し合って、目標を明確にして達成できた点で100%といえる。120%といっても過言ではない」と笑顔で応え、鈴木氏は「開発現場の苦労を考えると150%といいたい。開発の難易度はスペックアップに比例した以上のことがあり、設計者の限界を超えていると思うようなレベルの仕事だった。頭をクールダウンしてしばらく時間がたてば、改善点も見えてくるだろうが、今はこの上を考えられない」と製品に対する確かな自信をのぞかせた。
数々のモバイルノートPCを開発し、市場に送り出してきたVAIOの開発陣がこれほどまでに自信作と語る新型VAIO Zは、確かにパフォーマンスとモビリティの両立という点ではさらに突出した存在になったといえる。モバイルノートPCに少しでも興味があるなら、ぜひ一度は触れてみてほしい製品だ。
特集:2010年PC春モデル 第2世代のWindows 7最新モデル、どれを買う!?
直販、店頭、旧機種の3台をガッツリ比較:“豪華すぎる”モバイルノート「VAIO Z」を徹底検証する(後編)
向かうところ敵なし!?:“豪華すぎる”モバイルノート「VAIO Z」を徹底検証する(前編)
2010年PC春モデル:Core i7×クアッドSSD×フルHD液晶の最上位モバイル――「VAIO Z」
ソニーが「VAIO」春モデル第2弾を発表――高級モバイル、新シリーズ、エコボディのNetbook
2010年PC春モデル:ソニー、CULVノートからCore i搭載機まで「VAIO」春モデルを一挙発表
「VAIO F」2010年春モデル3台で検証:モバイル向け新Core iシリーズのCPU性能をじっくり調べてみた
直販モデルは10万9800円から:見た目も中身もフルモデルチェンジした、WiMAX内蔵モバイルノート──「VAIO S」
2010年PC春モデル:ソニーが長時間駆動&デュアルコアの13.3型ノートでCULV戦線へ乱入――「VAIO Y」
2010年PC春モデル:Core i3/i5/i7と広色域16.4型フルHD液晶を備えたハイグレードノート――「VAIO F」
2010年PC春モデル:最新CPUとともにフルモデルチェンジした13.3型モバイルノート――「VAIO S」
2010年PC春モデル:Core i全面採用と8色展開で勝負する14型ワイドノート――「VAIO C」
2010年PC春モデル:15.4型ビジネスVAIOノートがCore iとWin 7でリニューアル――「VAIO B」
2010年PC春モデル:新Atomと新色を採用、Ecoにも配慮したNetbook――「VAIO W」
2010年PC春モデル:64ビット版Windows 7 Pro搭載の12.1型ビジネスモバイルノート――「VAIO G」
2010年PC春モデル:薄型/小型VAIOノートの直販モデルに新色が登場――「VAIO X」「VAIO P」
2010年PC春モデル:独自ソフトでAV機能を強化した液晶一体型PC――「VAIO L」「VAIO J」
2010 International CES:Sony Press Conferenceで「未発表VAIO」のデバイスマネージャーに迫る
VAIO 2009年冬モデルロードテスト:第10回 “ナントカの向こう側……”へ行ってしまった「VAIO T」のUSBポート
2009年PC秋冬モデル:新色ゴールドで決めるシンプルノート――「VAIO N」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.