2010年を彩ったモバイルノートPCVAIO Z、MacBook Air、そして……(4/4 ページ)

» 2010年12月31日 08時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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「Aspire TimelineX AS3820T」――圧倒的なコストパフォーマンス

「Aspire TimelineX AS3820T」

 NetbookやCULVノートに引きずられ、そのほかのPCも低価格化が一気に進んだことは冒頭で述べたが、最後にその代表例としてAcerの低価格モバイルノートPC「Aspire TimelineX AS3820T(AS3820T-N52B)」を紹介しよう。

 重量は約1.8キロとモバイルノートPCとしては重いほうだが、Core i5-450M(2.4GHz)、1366×768ドット表示の13.3型ワイド液晶、2Gバイトメモリ、250GバイトのHDD、64ビット版Windows 7 Home Premiumといったスペックで、実売価格は7万円切り(発売時は7万9800円前後)、ショップによっては6万円以下の低価格で販売している。

 NetbookやCULVノートPCをアグレッシブな低価格戦略で投入し、日本でもシェアを伸ばしつつあるAcerならではの思い切った値付けだ。ここまで来ると、もはや現状の国内PCメーカーが単純に価格面で対抗するのは無理なので、高機能や高性能、高付加価値といったところに活路を見いだしたい。デルを抜き去り、PCの世界シェア1位を目指すAcerの勢いは国内でもまだまだ続きそうだ。

2011年はモバイルノートPCの存在意義が問われる?

 以上、2010年のモバイルノートPCを振り返った。今年は1月にインテルがモバイル向けの新Core iシリーズ(開発コード名:Arrandale)を投入したことで、CPUの世代交代が一気に進み、パフォーマンスが引き上げられた半面、Core 2世代からモデルチェンジした製品では、バッテリー駆動時間が短くなる例も見られた。

 これはCore iシリーズがグラフィックスコアをCPUパッケージ側に統合し、動作クロックをダイナミックに切り替えるTorbo Boostを採用するなどのマイクロアーキテクチャの変更により、システムの消費電力がCore 2世代より高くなる傾向にあるからだ。この点は特にモバイルノートPCでは不安材料となっている。

モバイル向けのSandy Bridge。32ナノメートルプロセスルールのCPUコアとGPUコアを1つのダイに統合している

 しかし、インテルが2011年に投入する予定の新CPU(開発コード名:Sandy Bridge)では、電力効率がアップしており、CPUや内蔵グラフィクスのパフォーマンスが上がるのはもちろん、省電力化もArrandaleより進んでいるとの評判だ。これにより、一時は後退を余儀なくされたモバイルノートPCのバッテリー駆動時間が持ち直す可能性がある。

 また、AMDもCPU/GPU統合型のAPU(Accelerated Processing Unit)を採用した新プラットフォーム(開発コード名:Brazos)を投入する予定で、従来よりグラフィックス性能が高いモバイルノートPC(NetbookやCULVノートのクラス)が出てくる模様だ。

 グラフィックスの強化という点では、2010年2月にリリースされた外部GPUと統合型グラフィックスの自動切り替え機能であるNVIDIA Optimus Technologyを盛り込んだ魅力的なモバイルノートPCが増えることにも期待したい(現状でモバイルへの採用例は少ない)。

 一方、2010年はiPadやAndroidタブレット、スマートフォンがより一般層に浸透していく見込みで、特にNetbookや低価格ミニノートPCのシェアがさらに奪われると予想される。2010年は多くのPCメーカーが製品ラインアップに残しているNetbookや低価格ミニノートPCだが、2011年はその存在意義が改めて問われるに違いない。そして、タブレットにどう取り組んでいくかも、各社の腕の見せ所になるだろう。

 さて、PC USERでは例年通り、2011年1月6日(現地時間)からラスベガスで開催される国際家電ショー「2011 International CES」の現地リポートを予定している。あと1週間足らずで、2011年からのPCがどう進化していくのか、さまざまな新情報が明らかになるはずだ。

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