「VAIO T」シリーズといえば、かつては光学ドライブ搭載モバイルノートPCの名機として、VAIOノートを代表するモデルの1つだった。久々に復活した2012年夏モデルでは、スタンダードなUltrabookに生まれ変わり、より幅広いユーザー層が対象のまったく違った製品群になっている。
現行の2012年秋冬モデルではラインアップを拡充し、従来の13.3型モデルと11.6型モデルに14型モデルを加えた3サイズ展開で販売中だ。Windows 8の採用に伴い、13.3型モデルにタッチパネル搭載機を加えているのも見逃せない。
今回は13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載する「VAIO Tシリーズ13」の店頭向け標準仕様モデルから、このタッチパネル搭載モデル「SVT13129CJS」を入手したので、性能や機能をチェックしていこう。
タッチパネル以外の仕様は、2012年6月に発売された初代機をほぼ継承しており、前面から背面まで厚みが変わらないフルフラットなボディは健在だが、タッチパネルの搭載により、サイズと重量が少し変わっている。
本体サイズは323(幅)×226(奥行き)×19(高さ)ミリ、重量は約1.71キロだ。タッチパネル非搭載モデルの「SVT13128CJS」に比べて、厚さは1.2ミリ、重量は150グラムほど増えている。実測での重量は1.668キロと、公称値よりわずかに軽かった。
最近の光学ドライブを内蔵しない13.3型モバイルノートPC/Ultrabookとしてはかなり重い部類に入り、厚みもインテルが定めたUltrabookの要件ギリギリだ(画面サイズ14型未満は厚さ18ミリ以下。ただし、タッチパネル搭載機はプラス2ミリの超過が許容されている)。
このフォームファクタは、多くの方が「Ultrabook」として連想するものとは少しイメージが異なるかもしれない。実際、市場で華やかに話題を振りまいている他の薄型軽量にこだわったUltrabookとは、設計思想が大きく異なる。
VAIO Tは拡張性やメンテナンス性を割り切って薄型化に振ることをせず、また薄型化と軽量化のため、特別にコストがかかるような設計を導入してもいない。VAIOノートのラインアップにおけるスタンダードモデルという位置付けだけに、むしろ仕様はできるだけ万人向けに、そしてまた、比較的低コストで製造することも目指しているのだ。
もっとも、外観からははっきりしたコストダウンの痕跡は見られない。アルミニウムを使用し、ヘアライン加工を施した天板は重厚で高級感があり、ベースボディもきめの細かいマットな加工が施され、ソニーの製品らしく、上質な存在感を保っている。
また、アグレッシブに薄型化を追求していないぶん、拡張性やメンテナンス性ではアドバンテージがあり、最近のUltrabookでは省かれがちな有線LANやアナログRGB出力、SDXC対応SDメモリーカード/メモリースティックPRO デュオ共用スロットなどもしっかり装備している。そして、底面からカートリッジ式のバッテリーを着脱でき、メモリ増設用のSO-DIMMスロット、2.5インチドライブベイなどにも比較的容易にアクセスすることが可能だ。
底面に搭載されているリチウムイオンバッテリーの容量は45ワットアワー(11.1ボルト/4050ミリアンペアアワー)で、公称のバッテリー駆動時間は約8時間とされている。なお、付属のACアダプタは、突起部を除くサイズが45(幅)×107(奥行き)×27(高さ)ミリ、重量が本体のみで212グラム、電源ケーブルを含めた総重量で252グラム(実測値)だった。
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