PCパーツの採用においては、サポート部門スタッフのアドバイスも参考にする。これは、サポート部門が収集しているトラブルに関する情報を反映するためで、問題が起きているPCパーツに関しては、その問題が解決した情報を得るまではBTOの選択から外すようにしている。問題が解決した時点で、すぐに候補に復帰するが、この変更をWebページのBTOリストボックスにすぐ反映できるのも自動アラームシステムの導入で可能になったと山田氏は説明している。
このような検証作業でなかなか判明しないのが「耐久性」のトラブルだ。特に組み立てたあとにユーザーまで輸送することになるBTO PCでは、輸送中の振動にも耐える必要があるが、最近のハイエンドグラフィックスカードや巨大なヒートシンクを組み込んでいるクーラーユニットなど、“重い”PCパーツに固定用のギアが弱いモデルがまれに存在するそうで、ユーザーの評判が高いモデルでも、輸送中やユーザーが使用している最中に固定がゆるくなるケースがある。サイコムでは、物理的な干渉とともに、耐久性も検討項目では重視しており、極端に重いPCパーツの採用は避けてると山田氏は語っている。

サイコムのユーザーだけでなく、国内外で発生するPCパーツに関するあらゆるトラブル情報がサポート部門に集まってくる。その情報もBTOで採用するPCパーツの品質維持に大きく貢献している(写真=左)。組み立てたBTO PCはサイコム自らが梱包して発送している。輸送時のトラブルを避けるためにも重要な工程という(写真=右)サイコムによると物理的干渉と耐久性のほかに、最近の相性問題では、「PCケースに設けたUSB 3.0の認識」が増えているそうだ。モデルによっては、USB 3.0対応のUSB接続周辺機器は認識するものの、USB 2.0対応機器を接続すると認識しないケースがあるので、検証作業でも注意しているという。
サイコムでは、スタッフが独自に集めている製品情報を駆使して、日本で流通していないPCパーツやクーラーユニット、PCケースをBTOの選択候補として積極的に採用している。それだけに、検証するモデルも多く、作業も長いと1〜2週間と長期にわたる。スタッフの負担も決して軽くない、というか、かなりの重労働になると山田氏はいう。
しかし、「サイコムを選ぶユーザーのためには必要なこと。わけの分からないままでパーツを組み込んだPCは扱いたくない」(山田氏)という意思が、「サイコムの品質」と「ユニークなBTO選択パーツ」を可能にしている、といえるだろう。


現在、サイコムで検証作業を進めているのが、まもなくリリース予定の「G-Master Hydro GK」シリーズだ。CPUのみならず、GPUにも水冷ユニットを導入した“デュアル水冷”シリーズで、低速回転の大口径ファンとの組み合わせて「高性能なのに静音」なタワー型PCを実現した。この詳細は後日レビューで紹介する予定だ
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