「VAIO Duo 13」徹底検証(後編)――cTDPによる格上のパフォーマンス、驚異的なスタミナ、発熱、騒音をじっくりテストするこれぞモバイルPCの最先端(1/5 ページ)

» 2013年07月23日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

←・ポスト“Z”時代の最上VAIOノート:「VAIO Duo 13」徹底検証(前編)――Ultrabook“世界最長”スタミナ、Haswell“世界初対応”Connected StandbyでPCの限界突破へ

←・紙のノートを卒業できる?:「VAIO Duo 13」徹底検証(中編)――新スライダーPCの画質、音質、ペン入力、キーボード、タッチパッドはいかに進化したか

 先に掲載した前編中編に続き、ソニーが発売した13.3型コンバーチブルPC「VAIO Duo 13」のレビュー後編をお届けする。

ソニーの13.3型コンバーチブルPC「VAIO Duo 13」は、「タブレットモード」と「キーボードモード」をワンアクションで切り替えられる「Surf Slider」デザインを採用。11.6型の従来モデル「VAIO Duo 11」から設計を全面的に見直し、画面サイズを大型化しつつ、バッテリー駆動時間を大幅に延ばした。それでいて、フットプリントと重量はVAIO Duo 11に近いレベルまで抑えている

各種ベンチマークテストでVAIO Duo 13の実力に迫る

 独特のスライドボディにHaswellこと「第4世代Coreプロセッサー」を搭載したVAIO Duo 13は、どれほどの性能を備えているのか、各種ベンチマークテストで確認していこう。

 今回はVAIO Duo 13の店頭販売向け標準仕様モデルとソニーストアが取り扱うVAIOオーナーメードモデル(VOMモデル)の最上位構成を用意した。比較対象として、Ivy Bridgeこと「第3世代Coreプロセッサー」を搭載した下位機「VAIO Duo 11」の2013年春モデル(SVD11229CJB)と、Haswellを採用した13.3型軽量ノート「VAIO Pro 13」の店頭モデル(SVP13219CJB)およびVOMモデル(SVP1321A1J)の結果も併記している。

 それぞれの主なスペックをまとめた。VAIO Duo 13の店頭モデルは、基本スペックがVAIO Pro 13の店頭モデルとほぼ同じだ。VAIO Duo 13のVOMモデルは5機種の中で唯一、Intel HD Graphics 5000(GT3)のグラフィックスコアが統合されたCore i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz)を搭載している。VAIO Duo 13の店頭モデルや、PCIe SSDを備えたVAIO Pro 13のVOMモデルとの差に注目したい。

今回テストしたVAIOノート
シリーズ名 VAIO Duo 13 VAIO Duo 13 VAIO Duo 11 VAIO Pro 13 VAIO Pro 13
モデル名 SVD13219CJW SVD1321A1J SVD11229CJB SVP13219CJB SVP1321A1J
販路 店頭 (標準仕様モデル) 直販 (VAIOオーナーメードモデル) 店頭 (標準仕様モデル) 店頭 (標準仕様モデル) 直販 (VAIOオーナーメードモデル)
CPU 第4世代 Core i5-4200U 第4世代 Core i7-4650U 第3世代 Core i5-3337U 第4世代 Core i5-4200U 第4世代 Core i7-4500U
CPUクロック 1.6GHz/最大2.6GHz 1.7GHz/最大3.3GHz 1.8GHz/最大2.7GHz 1.6GHz/最大2.6GHz 1.8GHz/最大3.0GHz
キャッシュ 3Mバイト 4Mバイト 3Mバイト 3Mバイト 4Mバイト
チップセット CPUに内蔵 CPUに内蔵 Intel HM76 Express CPUに内蔵 CPUに内蔵
グラフィックス Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics 5000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics 4400
GPU実行ユニット数 20基 40基 16基 20基 20基
GPUクロック 200MHz〜1.0GHz 200MHz〜1.1GHz 350MHz〜1.1GHz 200MHz〜1.0GHz 200MHz〜1.1GHz
CPU+GPU+チップセットTDP 15ワット 15ワット 17ワット+4.1ワット 15ワット 15ワット
メモリ LPDDR3-1600 (デュアルチャンネル) LPDDR3-1600 (デュアルチャンネル) DDR3L-1600 (デュアルチャンネル) DDR3L-1600 (デュアルチャンネル) DDR3L-1600 (デュアルチャンネル)
メモリ容量 4Gバイト 8Gバイト 4Gバイト 4Gバイト 8Gバイト
データストレージ 128GバイトSATA SSD 512GバイトSATA SSD 128GバイトSATA SSD 128GバイトSSD 512GバイトPCIe SSD
データストレージ型番 Samsung MZNTD128HAGM TOSHIBA THNSNH512GDNT TOSHIBA THNSNS128GMCP TOSHIBA THNSNH128G8NT Samsung MZHPU512HCGL
液晶ディスプレイ (方式) 13.3型ワイド(IPS) 13.3型ワイド(IPS) 11.6型ワイド(IPS) 13.3型ワイド (IPS) 13.3型ワイド (IPS)
表示解像度 1920×1080ドット 1920×1080ドット 1920×1080ドット 1920×1080ドット 1920×1080ドット
パネル種別 トリルミナスディスプレイ for mobile トリルミナスディスプレイ for mobile VAIOディスプレイプラス トリルミナスディスプレイ for mobile トリルミナスディスプレイ for mobile
タッチパネル 搭載 (静電容量式) 搭載 (静電容量式) 搭載 (静電容量式) 搭載 (静電容量式) 搭載 (静電容量式)
キーピッチ 約19ミリ 約19ミリ 約18ミリ 約19ミリ 約19ミリ
キーストローク 約1.1ミリ 約1.1ミリ 約1.2ミリ 約1.4ミリ 約1.4ミリ
バッテリー容量 50ワットアワー 50ワットアワー 39ワットアワー 37ワットアワー 37ワットアワー
公称バッテリー駆動時間 約18時間 約18〜18.5時間 約7時間 約13時間 約10.5〜13時間
330ミリ 330ミリ 319.9ミリ 322ミリ 322ミリ
奥行き 210ミリ 210ミリ 199ミリ 216ミリ 216ミリ
高さ 9.2〜19.5ミリ 9.2〜19.5ミリ 17.85ミリ 12.8〜17.2ミリ 12.8〜17.2ミリ
重量 約1325グラム 約1325グラム 約1305グラム 約1060グラム 約1060グラム
OS Windows 8 (64ビット版) Windows 8 (64ビット版) Windows 8 (64ビット版) Windows 8 (64ビット版) Windows 8 (64ビット版)
オフィススイート Office Home and Business 2013 Office Home and Business 2013 Office Home and Business 2013
価格 (2013年7月22日現在) 実売18万円前後 23万2800円 (直販価格) 実売13万円前後 実売16万円台半ば 21万800円 (直販価格)

VAIO Duo 13店頭モデル(SVD13219CJW)のデバイスマネージャ画面。評価機が搭載する128GバイトSSDは、「Samsung MZNTD128HAGM」だった
VAIO Duo 13 VOMモデル(SVD1321A1J)のデバイスマネージャ画面。評価機が搭載する512GバイトSSDは、「TOSHIBA THNSNH512GDNT」だった

cTDP対応でUltrabookの限界を超えた性能に挑戦

 テストを行う前に、電源関連の設定を確認しておこう。Windows 8の電源プランは「バランス」で統一している……というより、VAIO Duo 13はもともと「バランス」の設定しか用意していない。通常は「省電力」や「高パフォーマンス」の設定もあるのだが、電源プランの初期設定が1種類というのは珍しい。

 その代わり、「VAIOの設定」ユーティリティでは、キーボードモード(ディスプレイを立ち上げたノートPC形状)とタブレットモード(ディスプレイを閉じたタブレット形状)のそれぞれで「CPUとファン」の設定を指定できるようになっている。初期設定は、キーボードモードが「パフォーマンス優先」、タブレットモードが「静かさ優先」だ。今回は基本的にこの2つの初期設定でテストを行い、一部のテストはキーボードモード時の「標準」設定でも実施した。

 設定を変えてテストする理由は、VAIO Duo 13が「cTDP」(Configurable Thermal Design Power:設定可能な熱設計電力)に対応しており、この「CPUとファン」の設定がcTDPに連動するからだ。cTDPとは、状況に応じてCPUのTDP(熱設計電力)を可変させる機能のこと。VAIO Duo 13の場合、通常はTDPが15ワットだが、キーボードモード時の「パフォーマンス優先」設定では、性能を重視した25ワットに切り替わる。つまり、同じCPUを搭載した標準的な熱設計のUltrabookより高いパフォーマンスが期待できるのだ。

VAIO Duo 13のcTDP対応状況
本体の状態 パフォーマンス優先 標準 静かさ優先
キーボードモード 25ワット 15ワット 15ワット以下
タブレットモード 15ワット以上 15ワット 15ワット以下

 なお、比較対象としているVAIO Duo 11は、Core i7搭載のVOMモデルのみcTDPに対応する。今回テストしたCore i5搭載の店頭モデル(SVD11229CJB)は、キーボード/タブレットモードで最大TDPに違いがないので、タブレットモードでの計測はしていない。また、VAIO Pro 13は店頭モデル、VOMモデルともcTDP非対応だ。

Windowsの電源プランは「バランス」のみ登録されている(画像=左)。「VAIOの設定」ユーティリティの「電源・バッテリー」メニューにある「CPUとファン」のモードは、cTDPと連動する仕組みだ(画像=中央/右)。初期設定では、キーボードモード(ディスプレイを立ち上げたとき)が「パフォーマンス優先」、タブレットモード(ディスプレイを閉じたとき)が「静かさ優先」となっており、これを基本にキーボードモードでの「標準」でもテストを行った

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 Windows 8標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアから見てみよう。

 VAIO Duo 13の店頭モデルは、VAIO Duo 11の店頭モデルに比べて、グラフィックスが0.2ポイント高いものの、全体的にほとんど変わらないスコアだ。CPUが第3世代Coreから第4世代Coreに移行したからといって、店頭モデルの仕様でスコアが大きく向上するわけではない。このスコアは、VAIO Pro 13の店頭モデルともほぼ同等だ。

 一方、VAIO Duo 13のVOMモデルは、プロセッサが「7.2」、メモリが「7.6」とスコアが大きく伸びた。プロセッサ、メモリ、ゲーム用グラフィックスの3項目は、テストした5機種中で最高のスコアだ(メモリはVAIO Pro 13のVOMモデルと同スコア)。

 プライマリハードディスクのスコアは、店頭モデルが「8」、VOMモデルが「8.1」と、Serial ATA 6Gbps接続のSSDでは高いレベルだった(VAIO Duo 11も同様)。さすがに、高速なPCIe SSDを搭載したVAIO ProのVOMモデル(8.6)にはかなわないが、総じてストレージ性能はUltrabookとして高い位置にある。

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