「VAIO Duo 13」徹底検証(中編)――新スライダーPCの画質、音質、ペン入力、キーボード、タッチパッドはいかに進化したか紙のノートを卒業できる?(1/5 ページ)

» 2013年07月05日 08時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

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 前回に引き続き、ソニーの13.3型コンバーチブルPC「VAIO Duo 13」のレビューをお届けする。液晶ディスプレイをはじめ、サウンド機能、タッチパネル、ペン入力、キーボード、そしてタッチパッドを順にチェックしていこう。

13.3型の新モデル「VAIO Duo 13」(右手前)と、11.6型の従来モデル「VAIO Duo 11」(左奥)。いずれも「タブレットモード」と「キーボードモード」をワンアクションで切り替えられる「Surf Slider」デザインを採用する。VAIO Duo 13は、完全に新しく設計し直すことで、画面サイズを大型化し、バッテリー駆動時間を大幅に延ばしながら、フットプリントと重量をVAIO Duo 11に近いレベルまで抑えた

「トリルミナスディスプレイ for Mobile」のIPS液晶はクッキリ鮮やか

13.3型フルHD液晶ディスプレイは「トリルミナスディスプレイ for Mobile」の採用により、発色がよい

 VAIO Duo 13はディスプレイにも並々ならぬこだわりがある。まずは、同時発表した「VAIO Pro 11」および「VAIO Pro 13」と同様、ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」で使われている技術をモバイル向けに応用した「トリルミナス for Mobile」を採用した。広色域、高輝度、高解像度をうたう高品位なディスプレイで、専用のカラーフィルターを導入し、色域を広げているのが特徴だ。液晶パネルは広視野角のIPS方式を用いている。

 「VAIO Duo 11」が採用した「オプティコントラストパネル」も継承している。通常、空気層となっている液晶パネルとガラスの間にクリアな樹脂を挟んで空気層をなくすことで、光の反射と拡散を低減し、黒い画面の白ぼやけや映り込みも抑え、コントラストの高いクッキリとした映像を映し出す。

 この空気層を樹脂で埋める構造は、見えている画面とタッチパネルのセンサー位置のズレ(視差)を抑える効果もあり、タッチ操作やペン入力の精度向上にも役立っている。細かいところでは、VAIO Duo 13はVAIO Duo 11より表面ガラスをわずかに薄型化し、視差をさらになくしたという。

 VAIO Pro 11/13と同じように、低消費電力の低輝度動作でも正面から明るく見せるため、バックライトの光の向きを正面寄りに制御する「集光バックライト」も採用した。ただし、VAIO Pro 11/13ほど集光の度合いは強くない。意識してみれば正面以外からは少し暗いことが分かる程度で、やや斜めから見ても視認性は保たれている。

 そのぶん消費電力は少々不利になるが、キーボードモード(ノートPC形状)では画面の角度が固定されることや、タブレットモード(タブレット形状)でより自由に使うことを意識して、使い分けているのだろう。

IPS方式の液晶パネルを採用。集光バックライトの強度がVAIO Pro 11/13より弱めなので、斜めから見た場合にキーボードモード(写真=左)でもタブレットモード(写真=右)でも、表示内容はきちんと確認できる

 また、液晶パネル関連の工夫にとどまらず、VAIO Pro 11/13同様、ソニー独自の超高解像技術を搭載した映像高画質エンジン「X-Reality for mobile」も備えており、インターネット動画など低ビットレートの映像でもノイズの少ないきれいな画質で動画を楽しめる。

 さらに、内蔵の照度センサーにより周囲の明るさを検知し、輝度を自動調整する機能や、用途別の色モード設定(鮮やか、ナチュラル、テキスト)も持つ。

「VAIOの設定」の「画質」メニューから、バックライトの自動輝度調整、外部ディスプレイ出力の解像度、ディスプレイの「色モード」、「X-Reality for mobile」の設定が行える(画像=左)。用途や好みに合わせて選べる「色モード」は、デフォルトで「鮮やか」に設定されており、「テキスト」ではスライダーバーで色味を暖色系から寒色系まで手動調整できる(画像=中央)。X-Reality for mobileのオン/オフはACアダプタ利用時とバッテリー駆動時で切り替えられる(画像=右)

 液晶ディスプレイの解像度はフルHD(1920×1080ドット)だ。画素密度は約166ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)となる。13.3型ワイド画面としては高精細な表示で、Retinaディスプレイ級の高画素密度ではないものの、表示が粗い印象はない。意識して目を近づけるとドットを認識できる程度で、より高精細な液晶パネルと見比べなければ気にならないだろう(dpiスケーリング設定は125%に設定されていた)。

 見た目の印象はVAIO Pro 11/13と同じかそれ以上に良好だ。VAIO Pro 11/13に比べて集光の度合いが弱いせいか、オプティコントラストパネルの効果か、並べて見比べるとVAIO Duo 13のほうが明るくクッキリと鮮やかに見える。

 VAIO Duo 11の液晶ディスプレイも初めて見たときは明るく鮮やかで高画質だと思ったのだが、VAIO Duo 13に比べると、全体に白っぽくあっさりして見え、メリハリを欠いているように見えてしまう。つまり、色域の差は体感でも分かる。最大輝度はVAIO Duo 11が少し高いが、VAIO Duo 13も十分明るい。総合的な表示品質は、VAIO Duo 13のほうが上だろう。

カラー(写真=左)とモノクロ(写真=右)のグラデーションパターンを表示してみた。モノクロパターンでは、中間調でわずかにバンディングが見られたものの、モバイルPC用の液晶ディスプレイとしては良好な画質といえる

VAIO Duo 13(左)とVAIO Duo 11(右)の比較。いずれもIPS液晶パネルを搭載し、解像度は1920×1080ドットだ。VAIO Duo 13は画面サイズと発色のよさでVAIO Duo 11を上回る

 一方、ディスプレイの表面は硬度の高いガラスで、照明や映り込みは発生する。特にVAIO Duo 13はキーボードモード時に画面の角度が固定になり、タッチ操作やペン入力を安定して行える半面、利用する場所によっては照明の映り込みが気になるだろう。

 映り込みが気になる場合は、純正アクセサリの液晶保護シート「VGP-FLS12」(ソニーストア直販価格1980円)を検討したい。コントラストや発色のよさは少し落ちるが、外光の反射や映り込みを抑えつつ、画面を保護でき、しかもペンでの手書き操作がしやすくなる。

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