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» 2014年04月22日 17時45分 公開

牧ノブユキの「ワークアラウンド」:ワゴンセールはなぜ安いのか? そして買いなのか? (2/2)

[牧ノブユキ,ITmedia]
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販売店が自腹で処分せざるを得ないケースとは?

 さて、こうしたメーカー側の動きとは一切無関係に、販売店が自腹を切って「処分価格」をつけてたたき売るケースも少なからず存在する。いくつかのパターンがあるので、順に見ていこう。

 1つは、その製品を仕入れた際、販売店の側がメーカーに対して何らかの要求をつけていて、交渉をするうえでの立場が相対的に弱くなっている場合だ。例えば、メーカー側はまったく売る気がなかったにもかかわらず、販売店のバイヤーがなぜかその製品にぞっこんで「必ずこれだけの数は売り切るから」と、無理に増産させたようなケースだ。こうした場合はメンツ的にも返品や値引きは要求しにくく、そのバイヤーが泥をかぶる形で、販売店が自腹を切って処分することになる。

 もっとも、あまりに総額が大きいと、そのバイヤーに責任を取らせて異動させるのと引き換えに、後任のバイヤーなり責任者がメーカーに値引き交渉をしてくることも少なくない。「前任者のヘマのせいにする」という、小売に限らずどの業界でもありがちなパターンだ。メーカーとしてもその後の取引があるので無下(むげ)にはできないが、金額があまりにも大きいと逆に営業の交渉下手として社内で問題になるケースもあるので、実際にどのような対応となるかはケースバイケースだ。

 もう1つは、販売店の説明不足などでユーザーがいったん開封した品を引き取った場合など、販売店側に明らかに責任がある場合だ。こうしたケースはメーカーとしても返品を受けるわけにはいかないので、よほどの事情がない限りは突っぱねることになる。また客が定番外の製品を取り寄せながらキャンセルして店の在庫になった場合も、同様の扱いとなることが多い。ただし例外として、メーカーの事前の同意を得たうえで展示サンプルとして開封した場合などは、値引き処理を行う場合がある。またパッケージの破損などであれば、パッケージ単体の交換や現物交換になることが多く値引きには至りにくい。

 メーカーとの取引が打ち切られていて返品できない場合もある。メーカーが倒産してしまっている場合はともかくとして、商談のこじれなどから取引が打ち切られて店頭に在庫が滞留しており、日々の伝票のやりとりもない場合は、販売店が自腹を切って処理せざるを得ない。もともと返品にせよ値引きにせよ、メーカーにとって義務はない中でその後の取引を考えて応じているだけなので、その後の取引を行う意志がないのであれば主導権はメーカーにある。製品そのものに不備があったような場合を除き、販売店の側も要求しづらいだろう。

 このほか、そもそもの単価が安いなど半額で売っても大勢に影響がない場合や、棚卸しなどで短期間に在庫を圧縮する必要がある場合も、販売店独自の判断で処分セールが行われることがある。とにかく現金化してキャッシュを回すことを目的に行われる場合もあれば、ワゴンセールのラインアップがさみしいからという場当たり的な理由で行われることもあったりと、事情はさまざまだ。メーカー側はまったく把握しておらず、営業マンがたまたま休日に客として販売店に足を運んでびっくり、ということもよくある。

 ただしこうした販売店独自の値引きは、多くのメーカーが値引きや協賛金に応じていることが知れ渡るようになってから、かなりレアケースとなってきた感がある。少し前に相次いだ家電量販店同士の合併で、一方の量販店では値引きや協賛金に応じていたのにもう一方の量販店ではそうでなかったことが明らかになり、気まずくなったケースもあったようだ。また、販売店のバイヤークラスの人材がほかの量販店に転職し、こうした商習慣を持ち込むケースもある。

処分セールはメーカーが製品価値の低下を認めている証

 PC周辺機器やアクセサリの業界は、他業種にみられる委託販売、つまり伝票を発行せずに店頭に製品を並べて売れたぶんだけ伝票を入れるというスタイルでの販売がほぼ皆無だ。つまり製品を店頭に並べるためには必ず伝票を発行する必要があり、それゆえ販売店は仕入れには慎重にならざるを得ないわけだが、その半面、売れなかった場合は返品や値引き処分などの方法でメーカーが面倒を見る習慣が定着している。「在庫の面倒は見ません」とメーカーが強気に出られるのは、先ほど述べたように販売店のバイヤーが無理な仕入れを強行した場合や、今後の取引がなくなっても構わないケースに限定される。

 逆に言うと、店頭で半額セールや100円均一セールなどが行われている場合、それはほぼ確実にメーカーも1枚かんでいることがほとんどで、それはつまりメーカー側がその製品の価値が低下していることを認めている証だと言える。同じ半額でも、特定の製品だけを個数限定で特価販売するチラシセールとなるとまた話は別だが、1個から数個単位でワゴンに放り込まれているような特価品は、どうしても安くせざるを得ない事情があり、それらをきちんと分析してからでないと、手を出すのは避けたほうがよいだろう。

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