インテルは6月25日、「Intel RealSense」テクノロジー(以下、RealSense)に関する記者説明会を開催した。RealSenseは、これまでCUIからGUI、そしてタッチUIと進化してきたITデバイスの操作方法を、さらにより自然で直感的なものへと変えていく取り組みだ。
同説明会に登壇したインテルの岩本由香里氏は、2013年に世界45カ国、22万人のユーザーを対象に実施したユーザー調査の結果から、「人々がどのようなデジタルライフスタイルを送りたいか、現在何が足りないのか。さまざまなワークショップによる比較調査から、従来のパフォーマンスやバッテリーの持ちなどに加えて、もっと自然にPCを扱いたいというニーズがあることが分かった」と述べ、目や耳、音声など、五感に訴えかける次世代マンマシンインタフェース技術の開発によって「自然で、直感的で、夢中になれる体験を届けるのがRealSenseのミッションだ」と背景を説明した。
これまで同社は、Ultrabook向けのデュアルマイクモジュールなどを提供してきたが、今回満を持して投入するのが新しいRealSense 3Dカメラだ。従来の外付けタイプと比べて非常に小型化されており、ノートPCはもちろん、2in1デバイスやタブレット、さらにはスマートフォンといった小さなデバイスでも、このモジュール1つで2D/3D認識が可能になるという。
RealSense 3Dカメラモジュールは、拡張現実やゲームなどリアルタイムでの利用を想定したF200、2in1デバイスやタブレットなど一回り小さいデバイス向けのR200、そしてスマートフォンなど撮影した3D写真の後処理(編集)に特化したR100の3種類が用意される。F200とR100は年内、R200は来年以降に出荷される予定だ。
現時点で、映画制作会社や3Dプリンタメーカーなど、40社以上のデベロッパーがRealSense 3Dカメラへの対応に名乗りを上げている。今後は3Dカメラを内蔵するPCがトレンドの1つになるかもしれない。
一方、インテルは2013年に引き続き、RealSenseに対応するソフトウェア開発キットやAPIを提供していく。同社の亀井氏が第3四半期に提供を予定している新しい開発キットの特徴について解説した。
2014年バージョンの主な強化点は大きく分けて手、顔、音声、環境の4つ。まず手の認識は従来の片手10点から22点に増加し、指の関節1つ1つが認識できるようになったことでより細かなジェスチャーを判別でき、さらに開発者自身が定義したジェスチャーを追加できるようになった(従来はプリセットのみ)。
顔認識のポイントも7点から78点へ大幅に増加。両目の端や口の端といった部分だけでなく、顔全体の輪郭、さらにはユーザーの表情まで読み取れるようになる。これにより、ユーザーの表情を細かくアバターで表現したり、ユーザーの喜びや悲しみといった感情そのものを読み取る機能も盛り込んだという。カメラで皮膚の下の血管の動きからおおよその脈拍を把握し、「表情は笑っているが脈拍は上がっていない=嘘笑い」といった判別まで可能になるとしている。
このほか、クロマキー処理が簡単にできるようになったことで、立体オブジェクトをリアルタイムで3Dスキャンし、例えばビデオ通話を行いながら、空中(画面上)に3Dオブジェクトを呼び出すといったように、仮想現実と組み合わせた使い方も実現できるようになる。
製品デモでは、3Dプリンタ向けにユーザーの顔を3Dでキャプチャしたり、仮想現実向けのインタラクションとして3Dスキャンしたオブジェクト上にリアルタイムでキャラクタを配置する様子を披露した。
なお、RealSense対応アプリケーションの開発者向けに「Intel RealSense App Challenge 2014」も実施する。賞金総額1億円のコンテストで、第1次アイデア選考が第3四半期、第2次アプリケーション選考が第3四半期〜第4四半期に行われ、優秀アプリケーションは2015年初頭のCESで発表される予定だ。公式サイトですでに受付が始まっている。
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