G-Master Mace H97は、一見するとやや凡庸なコスト重視のゲーミングPCだが、そこはさすがにサイコムだけあって、ただのコスパモデルとはひと味違う製品に仕上がっている。ただ、税込み10万円という求めやすい価格を実現するために、メモリやストレージの容量で割り切りがみられるのも事実だ。性能はどうだろうか? ベンチマークテストでチェックしていこう。
なお、評価機のスペックを再掲すると、Core i5-4460S(2.9GHz/最大3.4GHz)、4Gバイトメモリ、500GバイトHDD、GeForce GTX 750(Manli製「M-NGTX750/5R7HDD」)という構成で、64ビット版Windows 8.1をプリインストールして10万960円(消費税/送料込み)だ。
さて、CPU性能を測るCINEBENCHの結果は、CINEBENCH R15のCPUスコアで464(cb)、CINEBENCH R11.5は5.16(pt)というスコアになった。比較用に並べた「G-Master Vengeance-Mini」と比べるとほぼ半分ほどの数字だが、ここで用いたVengeance-Miniは“Devil's Canyon”ことCore i7-4790K(4GHz/最大4.4GHz)と最新ハイエンドGPUであるGeForce GTX 980(4GバイトGDDR5)を搭載した25万8850円(税込み)の構成であり、価格を比較するとむしろコストパフォーマンスの高さが光る。
PCの総合的なパフォーマンスを計測するPCMark 8は、Home Acceleratedのスコアで4114となった。Webブラウズや画像編集といった普段使いのメインマシンとしても十分な性能を持っていることが分かる。
一方、3DMarkのスコアを見ると、ハイエンドゲーミングPCに比べればやはり大きく見劣りする結果で、負荷の高い最新FPSタイトルを高品質で楽しむのは難しい。ただ、エフェクトを調整して遊ぶ分には十分な性能も備えており、新生FF14など比較的負荷の軽いタイトルであれば高解像度設定でそのままプレイできるはずだ。
実際、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編を試してみたところ、1920×1080ピクセルの最高品質で「とても快適」の指標となる5776をマークしている。本機は「G-Master」の名を冠したゲーミングPCではあるが、どちらかといえば“カジュアルゲーマー”向けという位置付けになるだろうか。
もっとも、同社の購入ページで豊富なBTOメニューを見れば分かるように、CPUはCore i7-4790Kまで選べるし、グラフィックスもGeForce GTX 980やRadeon R9 290Xはもちろん、TITAN Blackまで用意されている。メモリは最大32Gバイト、ストレージも1Tバイトの大容量SSDを選択可能だ。つまり、G-Master Mace H97は、一見コスパモデルの皮を被っていながら、その実、超ハイエンド構成にも対応できるポテンシャルを持つ。
とりあえず年内にメインマシンを新調したいが手持ちの予算が限られている、そんな人はG-Master Mace H97に注目してほしい。リーズナブルな価格で必要十分な性能を備えながら、将来的なアップグレードを視野に入れた良質なケースと拡張性の高さが魅力だ。やりたいゲームタイトルが出てきたらそれに合わせてグラフィックスカードを強化する、予算に余裕ができたら高速かつ大容量のストレージに換装する、といったPC自作に近い楽しみ方もできるベースモデルとして検討してみてはいかがだろうか。
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