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» 2014年11月25日 16時00分 公開

“Excavator”採用のAMD新世代APU「Carrizo」を掘り下げる2020年には電力効率を25倍に(3/3 ページ)

[本間文,ITmedia]
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省電力性能も大きく向上するFreeSync技術

 4Kディスプレイなどの高解像度ディスプレイにおける高品位表示を実現する「FreeSync」は、ゲームプレイ中に描画がディスプレイのリフレッシュのタイミングに間に合わず、表示がずれたり崩れたりする“ティアリング”と呼ぶ現象を防ぐことで、より高品位な画像表示を実現しようというものだ。これまでは、このような現象を防ぐため、ディスプレイのリフレッシュレート(垂直同期)にグラフィックスカード側の描画をあわせるV-Sync機能を利用してきたが、この機能を使っているときに描画遅延が起こると、画面がカクついたりマウスなどの反応が鈍くなることがある。

ディスプレイの垂直同期(V-sync)をOFFにすると、ディスプレイのリフレッシュサイクルに間に合わなかったフレームがあると、画面が乱れたり、崩れてしまうことがある(写真=左)。そこで、FreeSyncでは、グラフィックスカードのフレーム描画とディスプレイのリフレッシュを同期する信号を追加することで、より高品位なディスプレイ表示を実現する(写真=右)

 このような現象は、特に解像度の高いディスプレイやグラフィックス負荷の高いゲームタイトルで生じやすい。そこで、AMDではV-sync機能を無効にした状況でも、ティアリングを生じることなく表示できる技術としてFreeSyncを開発し、ディスプレイの標準化団体であるVESAのDisplayPort部会で拡張規格として採用されるように働きかけてきた。

 FreeSyncでは、グラフィックスカードのフレーム描画とディスプレイのリフレッシュを同期する信号を追加することで、より高品位なディスプレイ表示を実現する。同様の技術に、NVIDIAが独自開発した「G-Sync」があるが、G-Syncではディスプレイ側に専用回路を組み込む必要があるだけでなく、ライセンス料もかかるとされている。

 一方、FreeSyncは、オープンスタンダード規格らしく「ライセンスフリーで、かつ特別なハードウェアはなにも必要とされないというメリットがある」と、AMDでゲームベンダーとの協業やゲーム技術の普及活動などを担当するチーフ・ゲーミング・サイエンティストのリチャード・ハディー氏はアピールする。

FreeSyncとNVIDIA G-Syncの比較。オープンスタンダードで製造と開発に追加コストがかからないFreeSyncが圧倒的に優位だとアピールする

 FreeSyncを利用するには、DisplayPort 1.2aに対応したAMD製グラフィックスカードとFreeSyncに対応したディスプレイドライバが必要となる。AMDでは12月中にβドライバをパートナーに配布し、2015年1月にFreeSync対応ドライバを正式に公開する計画だ。

 Future of Computeでは、サムスン電子が2015年に市場投入する新製品でFreeSyncに対応するのをはじめ、順次ラインアップを増やしていく意向を示したが、ハディー氏によれば「技術的には、現行製品の中にもファームウェアを変更するだけでFreeSyncに対応できる製品は多く、製品開発と製造にかかる追加コストは一切かからない」と説明する。

 ただし、ディスプレイベンダーはユーザーによるファームウェア更新をサポートしないため、同じハードウェア設計でも、新製品として展開することになるだろうと、ハディー氏は見ており、2015年1月の2015 International CESでは、さらに多くのFreeSync対応製品が登場するだろうと語っている。

サムスン電子は4Kディスプレイなどで、積極的にFreeSyncをサポートしていく計画だ(写真=左)。左が会場で公開したサムスン電子のFreeSyncディスプレイ(写真=右)

 FreeSyncは、もともとノートPCなどのモバイルデバイスにおいて、液晶ディスプレイの省電力化を図るべく、液晶パネル向けインタフェースのeDP(embedded DisplayPort)拡張規格として追加した「Adaptive Vsync」(アダプティブVsync)技術をベースとしている。リフレッシュレートを9〜240Hzまで動的に変更することで、低リフレッシュレートのときはシステムの消費電力を抑えることも可能になる。

 ハディー氏も「リフレッシュレートが24Hzしか必要ないビデオコンテンツ再生などでは、FreeSyncを有効にすることで省電力化を果たせるようにすることも、技術的には可能である」と指摘しているが、グラフィックスカード側でリフレッシュレートをよりアグレッシブに変更できるためには、ドライバ側のサポートも不可欠なので、4Kディスプレイ採用システムなどの省電力化機能が実装されるのは先になりそうだ。

APJの主要PCパートナーとしてマウスコンピュータのG-Tuneなどを展示していた

Sapphire Technologyは発表したばかりのグラフィックスメモリ8Gバイト搭載モデルの「Vapor-X Radeon R9 290X」を中心とした展示を行っていた

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