クリエイターをデスクから解放するモバイルワークステーション徹底検証“プロの仕事”がどこでもできる(2/2 ページ)

» 2015年06月29日 18時30分 公開
[鈴木雅暢ITmedia]
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モバイルワークステーションの名に恥じないパフォーマンス

 ベンチマークテストの結果を見ていこう。基本スペックをまとめると、CPUがCore i7-4710HQ(2.5GHz/最大3.5GHz)、グラフィックス機能はNVIDIA Quadro K2100とIntel HD Graphics 4600(CPU内蔵)のハイブリッド、メモリが16Gバイト、メインデータストレージはM.2 SSD(Serial ATA 6Gbps接続)、OSは64ビット版Windows 7 Professional SP1という内容だ。モバイルワークステーションという性質を考慮し、電源プランは「高パフォーマンス」で実施した。

 CINEBENCH R15のCPUスコアは、661とクアッドコアCPUならではのスコアがしっかり出ている。このスコアは、TDP15ワットクラスの最上位CPUを搭載したモバイル系ノートPCの2.2倍以上に相当する。

CINEBENCH R15の結果

 CrystalDiskMarkではSSDの性能を測定した。評価機が搭載していたのはTOSHIBAの「THNSNJ128G8NU」だ。Serial ATA 6Gbps接続のため、飛び抜けたスコアではないものの、128GバイトクラスのSSDとしてはかなり優秀なスコアが出ている。

CrystalDiskMark 4.0.3の結果

 FuturemarkのPCMark 7は今となっては軽い処理が中心のテストで、クアッドコアCPUのパワーを生かせる内容も少なく、ストレージ性能を強く反映する傾向がある。そのため驚くようなスコアではないが、普通に良いスコアが出ている。

PCMark 7の結果

 PCMark 8に関しては、NVIDIA Optimas Technologyによるハイブリッド構成を採用する製品に共通する問題だが、PCMark 8実行時には強制的にIntelの内蔵GPUが使われ、NVIDIA GPUを使うことができない(設定変更もできない)。今のところ、PCMark 8というベンチマークテストだけでしか確認できないため実用上はたいしたことはないのかもしれないが、NVIDIAにとって、この問題を放置していて良いことは1つもないだろう。デフォルト設定で使用されないだけならともかく、設定変更もできないとなると「Optimus」「ハイブリッド」というだけで敬遠されかねないし、ゲームマシンなどでは実際に敬遠しているユーザーがいないわけではない。

PCMark 8 Home Acceleratedの結果

 3DMarkのスコアは、特別優秀というわけではないが、一般的な内蔵GPUに比べると、2倍前後のスコアだ。エントリークラスのGeForceと同じくくらいの性能だろう。

3DMarkの結果

 モバイルワークステーションということで、Open GLベースのテストとして、SPECviewperf12の結果も掲載しておく。スコアはご覧のとおりだが、モバイルワークステーションとしては、水準以上のスコアが出ているといえるだろう。

SPECviewperf12の結果

 バッテリー駆動時間は、bbench 1.01(海人氏・作)を使い、無線LANで常時接続し、60秒間隔でのWebサイト訪問、10秒間隔でのテキスト入力を行なう設定で計測した。電源プランは「バランス」で、バッテリー駆動時のディスプレイの輝度は40%で固定した。結果は、バッテリー残量5%になるまで、3時間44分動作した。モバイルとはいえ、基本的にはACアダプター駆動が前提だけにこれくらい動作すれば十分だろう。

 静音性もかなり優秀だ。アイドル時や低負荷時は強く意識すればファンの音が聞こえるという程度で、高負荷時も極端に大きな音にはならない。近くで空調機器や家電製品などが動作していれば、ほとんど分からないくらいだ。

 ボディの発熱は、底部の奥側、フェルトの張ってある手前あたりが比較的暖かくなるものの特に高温というわけではない。フットプリントの大きなボディをうまく使って拡散させているような印象を受ける。中でも手が長く触れるパームレストにほとんど伝わってこないため、快適に利用できる。

制作/開発の生産効率を高めるプロフェッショナルユースのモバイルワークステーション

 価格は、27万3,200円(送料手数料込、税込)だ。さすがに一般的なノートPCに比べれば高価ではある。しかし、プロフェッショナルユースに耐えるパフォーマンス、そしてISV認証を含めたハイレベルのクオリティを備えるうえ、可搬性に優れた薄型軽量ボディという付加価値も備えたモバイルワークステーションとしては、むしろコストパフォーマンスは優れているといえるだろう。

 制作、開発の現場では、社内外でのミーティングで経過を報告したり、プレゼンテーションしたりするためにも、大きなタワー型のワークステーションを移動させなければならないということもまだ珍しくないと聞く。そういった現場で、このようなモバイルワークステーションがあれば、業務の効率は格段に上がることは間違いない。

 また、省スペースで静音性にも優れているため、個人でも導入しやすい。個人でプロ用ツールを使って制作を楽しんでいるアマチュアのクリエイターの方のステップアップや、将来的にクリエイターを目指している予備軍ユーザーにとっても大いに魅力的な存在だ。



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