基本スペックはBTOでカスタマイズが可能だ。ALL BLACK EDITIONは、BTOの選択肢がハイスペック構成のみに絞られており、CPUはCore i7-8500Y、メモリが8GBまたは16GB、データストレージがPCI Express SSD(第3世代ハイスピードSSD)で、容量が1TB、512GB、256GBから選べる。
Core i7-8500Yは、開発コード名「Amber Lake-Y」で知られるIntel最新の第8世代Core(Yシリーズ)。TDP5Wの省電力な2コア・4スレッドCPUで、Intel Turbo Boost Technology 2.0により、最大4.2GHzで動作する。チップセットもCPUと同じ基板上に実装しており、USB 3.1コントローラーを標準で統合している。
YシリーズのCPUは、TDP 5Wでファンレス設計を想定しており、本製品もファンレス仕様。タブレットは手に持って使うデバイスだけに、ファンがあるのとないのとでは使用感がまったく異なる。放熱口の位置を気にせず使えるのはうれしい。
12.5型液晶ディスプレイは、1920×1080ピクセルの表示解像度に対応。広視野角のIPS方式を採用。液晶面とガラスの間の空気層をなくし、クッキリとした表示を実現するダイレクトボンディングを採用している。見た目にもくっきりと鮮やかな表示が印象的だ。
エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」を用いて行った計測では、輝度307cd/m2、色域がsRGB比72.4%だった。10点マルチタッチ対応のタッチパネルを搭載しており、画面に直接触れての操作が可能。オプションでワコム製のデジタイザペンも用意されている。
ベンチマークテストの結果を見よう。評価機のスペックは、CPUがCore i7-8500Y、メモリが16GB、ストレージが1TB PCI Express SSD(第3世代ハイスピードSSD)、グラフィックス機能がCPU内蔵のIntel HD Graphics 615、OSはWindows 10 64bit(1803)という内容だ。
CPU性能の目安になるCINEBENCH R15のCPUスコアは252。これは3年ほど前のモバイルノートPCで採用例が多かったCore i5-5300Uと同じくらいのスコアだ。TDP 5WのYシリーズで3年前のTDP 15WのUシリーズに追い付いているだけでも立派だが、総合力を見るテストではもっと良い。
PCMark 10では、Core i5-5300Uを搭載したクラムシェル型ノートPCのスコアを上回った。特にWebブラウズ、オンラインショッピング、ビデチャット、アプリの起動など身近な処理中心に構成されるEssentialでは圧勝している。
SSDの性能はCrystalDiskMark(ひよひよ氏・作)で測定したが、最新世代のPCI Express SSDだけに非常に高速。ストレージの性能はPCの起動再起動やアプリの起動、スリープからの復帰などに直結するため、体感性能に効く。PCMark 10のスコアもSSDによるところも大きいだろう。
バッテリーのテストは、ワイヤレスキーボードユニットを利用した状態で行った。bbench 1.01(海人氏・作)を利用し、10秒間隔でテキスト入力、60秒間隔でWebサイト巡回(10サイト)という条件で行った。電源プランは標準のバランスで、ディスプレイの輝度は40%とした。残り20%までで7時間39分、残り5%まで9時間8分動作した。
目新しいスタイルが特徴の製品だが、クラムシェルノートPCとしての使い勝手は定評あるVAIO S13ゆずりで文句なし。体感的なパフォーマンスもベンチマークのスコアに見るように、日常的な操作のレスポンスが実にキビキビしていて心地よい。2in1としての運用に関わる部分の使い勝手も練られていて、完成度の高さを感じる。
その完成度に加えて、モバイルでの格別な安心感を提供するVAIO独自の「5Vアシスト」などの柔軟なバッテリー・充電システムの導入、ワイヤレスキーボードモードによるリモート操作など、本製品ならではの付加価値も魅力。これらは今後の2in1でも搭載が望まれるようになる機能ではないだろうか。2in1の進化し、新しいステージにさしかかったことを実感できる製品だ。
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