一方で、2019年は自作PCという趣味の解釈が広がりをみせた1年でもあった。完成したPCの機能美や光モノ、ケーブル配線の美しさなどを“めでる”のは既に定着しているが、2019年はパーツ自体を鑑賞の対象とするアイテムがいくつも登場し、いずれも、それなりにヒットを飛ばしている。
4月に市販されたのは、G.SKILLの「Trident Z Royal Display Box」だ。ジュエルのような光り方をするDDR4メモリ「Trident Z Royal」をセットして、通電しながら鑑賞するためのボックスで、単品は7000円強(税込み、以下同)となる。元は店頭で販促に使う器具として作られたものだが、「コレクションの保存用にと一般の方に売れています。複数台ほしいという人もいました」(パソコンSHOPアーク)という。
6月には通電もしないグラフィックスカードを置くだけの台が売り出されて人気を集めている。長尾製作所の「NB-VGA-DP01」で、価格は2000円強。複数のショップで初回入荷が売り切れるなどの反響があり、「新品のお気に入りカードを4〜5台並べたいと、まとめ買いされた方もいます」(オリオスペック)との話も聞いた。
その後、長尾製作所からはマザーボードやキーボードを展示する台「NB-KEYBD-DP02」とマウスディスプレイ台「NB-MOUSE-DP03」も売り出され、それぞれまずまずの反応があった様子だ。
こうした傾向から、かつてはベンチマーク台と解釈されたような、オープンフレームケースも観賞目的という切り口で開発されるようになっている。11月末にはやはり長尾製作所からMini-ITX用の「オープンフレーム Ver.Mini-ITX」が1万1000円弱で登場し、12月にはアユート・Project Mとのコラボでホワイトモデルも限定生産された。「個人でパーツをめでながら、PCを使いたい人に普通に売れています」(オリオスペック)とのことで、パーツを露出させるためのオープンフレームというコンセプトは今後も定着しそうな雰囲気がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.