では実際に絵を描いてみましょう。今回は、比較的ちまちましたラフと線画、後はいつもの魔女ちゃんの彩色テストをしています。
まずはラフですが、ここは普通に描けました。ただし、描画しているときのカーソルの追従に少し違和感があります。ぐしゃぐしゃと線を重ねたり、ハッチングをしたりしたときに、何だか後ろに引っ張られるような線になってしまいます。
詳しくその感触を見ていくと、どうも手振れ補正のような平滑化フィルタが強めに働いているようでした。そのせいで、素早く字を書いた時には下の写真のように字画がうまく再現されなかったり、省略されたような文字になったりしてしまいます。フリルやレース生地の端のようなぐにゃぐにゃとした線画を素早く描こうとする際も、違和感が出やすいはずです。
それ以外の筆圧はアプリで調整すれば問題なく、広い面積を使って描いたときは伸び伸びと描けて、概ね気持ち良く描画できました。
次に線画です。一番ジッターの影響が見えやすい工程ですが、やはり最初に顔の輪郭を描いた時点で、ウッ……となってしまいました。
ペンを画面に垂直に立てるように持って描いたり、画面を大きく拡大した状態で描いたり、素早く描いたりすれば影響を減らすことができます。ですが、常にそうするわけにもいかないでしょう。自分がジッターを見逃さないようにしたいと思っているのは、丁寧に描いた時ほど描線が不正確になる苦痛を、絵師仲間に味わってほしくないからです。メーカーも製品作りの中で見逃さないようにしてほしいところですね。
続いて彩色です。この工程はジッターや視差の悪影響が小さいので、少しの筆圧調整を行って慣れてしまえば自然に進めることができました。
全体としては、マシンパワーも相まって、手の込んだ大がかりな絵を最後まで描き上げる能力はあると思います。ですが、ジッター/視差/平滑化フィルターのような描画感の影響を避ける工夫をしたり、迂回(うかい)しきれない部分を我慢しながら進めたりするのはストレスフルです。ペンで何か描くこともある、ぐらいならば非常に便利ですが、ペンを長時間使い続けるイラスト製作用のメインPCにしたいとは思えない、というのが正直な感想でした。
高いパフォーマンス、4Kの大画面、大画面でありながら容易に角度調整できるディスプレイなど、機能面では「これ1台でイラスト機材コンプリート!」にしたいと思える内容なだけに、ペンの性能が優れていないのがなおさら悔しいですね。
今回は、評価機が国内で販売するモデルと少し仕様が異なるものだったので、性能について詳しく評価するのは避けます。
基本的に
という、イラスト用途とかみ合わせの良いプロセッサとGPUの組み合わせに、
で、イラストやデザインなど、一般的なアプリや、2Dの製作では不足を感じづらい仕様です。ただし、動画や3D製作のような極めて負荷の高い製作もするなら、GPU演算や3D性能の不足を感じたり、16GBのOptaneメモリでカバーしきれないストレージの読み書きが生じてたりしてがっくりと遅くなることもあると思います。
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