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セキュリティプロセッサ「Pluton」と2021年のWindows PCWindowsフロントライン(2/2 ページ)

» 2021年02月08日 12時00分 公開
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同様のアーキテクチャはMacが先行

 Plutonのバックグラウンドについて、もう少しだけ掘り下げたい。前述のBlogの解説にもあるように、Plutonが採用したメインとなるSoCに機能の一部としてセキュリティ専用プロセッサに取り込むアイデアは、2013年にリリースされた「Xbox One」までさかのぼる。このゲーム機のSoCはAMD製だが、Microsoftのゲーム機向けにカスタマイズしたSoCをリリースするにあたって、独自のセキュリティ機構を取り込んだというわけだ。

 英国のテクノロジージャーナリストであるメアリー・ブランスクーム氏が自身のツイートでXbox Oneのブロックダイアグラムを紹介しているが、Plutonの名称こそないものの、アーキテクチャそのものはほぼ同じだと分かる。次が2018年に発表されたMicrosoftのIoT向けセキュリティ「Azure Sphere」で、2020年にようやく同社のメインフィールドであるPCの世界へと到達したことになる。

Pluton 2013年にリリースされた「Xbox One」。現在のPlutonに該当するアーキテクチャがMicrosoftハードウェアとして初めて採用された(出典:Microsoft)

 AnandTechが触れているが、PC向けのカテゴリーではMacが「Pluton型アーキテクチャ」で若干先行している可能性がある。

 2020年11月10日に発表され、同月17日に製品の出荷がスタートした「M1搭載Macシリーズ」だが、ここで採用された「Apple M1」プロセッサでは、いわゆる「Secure Enclave」の仕組みがSoC内に標準搭載されており、これが実質的にPlutonと同様の役割を果たす。

 SoC内にセキュリティ機能を実装する試みは、スマートフォン向けのプロセッサではごく標準的なものとなっており、Appleも同社のAプロセッサをはじめ、QualcommもSnapdragonなどで既に実装を進めている。Appleでは同社のMac製品向けに「Apple T1」「Apple T2」などのセキュリティプロセッサを独自で装備していたが、これはIntel系システムではプロセッサの中身まではいじれないため、Apple M1の登場をもって初めて同社製PCのカテゴリーでのSoCへの標準搭載を実現した形となる。

 そうなると、次に問題となるのは「いつPlutonを搭載したPC(プロセッサ)の出荷が始まるのか」という点だが、現時点で「おそらく2021年内に登場する可能性が高い」という予測しかない。

 下記はWalking Catが引用している資料だが、少なくとも企業向けの「Windows 10 Pro」におけるセキュリティ機能の目玉の1つがPlutonであり(スライドでは「Sabre」という開発コード名になっている)、予告されている以上、遠からず登場すると考えていいのだろう。

 2021年のWindows 10は、大幅なUIリフレッシュを伴う「Sun Valley」登場が年の後半に予定されているが、ハードウェアの進展含めていろいろと取り上げるべきトピックは多そうだ。

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