最軽量構成で約982g、最重量構成でも約1065gと軽量なボディーが特徴のVAIO Zではあるが、ベンチマークテストの結果を見る限り、軽いからといってパフォーマンス面では妥協していないことはよく分かる。「軽い」となれば、どこにでも持ち歩きたくなるのは人情というものだ。
そうなると気になるのが、バッテリー駆動時間である。VAIO Z SIGNATURE EDITIONの公称バッテリー駆動時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.2.0)は、フルHD液晶構成で約34時間、4K液晶構成で約17時間となっている。同測定法と同じ条件の下で動画を再生した際の最長再生時間は、フルHD液晶構成で約18時間、4K液晶構成で約10.7時間だという。軽量な割に、長いバッテリー駆動時間を確保できているようだ。
……のだが、あくまでもこれらの数値は「公称値」。実際に使ってみるとどうなのだろうか。先に登場したPCMark 10を活用して、バッテリー駆動時間をチェックしてみることにする。今回は、一般的な事務作業を想定した「Modern Office」シチュエーションでテストをしてみた。このテストではシステム標準の電源設定を“そのまま”利用している。
結果は、バッテリー残量97%から3%まで11時間10分となった。4K液晶ディスプレイはフルHD液晶の4倍の画素を駆動しなければならないため、消費電力は大きくなりがちだ。それでも、このテストで10時間超の駆動時間を記録したということは、4K液晶構成でも1日程度の外出なら充電なしでやり過ごせそうである。フルHD液晶構成なら、より長く使えることは言うまでもない。
ただし、液晶の輝度を上げるとバッテリー駆動時間は短くなる。普段の液晶輝度を最大にする「癖」を持っている人は注意しよう。
今回のテストを通して、Core H35プロセッサのパフォーマンスの良さ、そしてそれをうまく引き出すVAIO Zの排熱設計の優秀さを体感することができた。比較的負荷の掛かる作業をやっている最中でも、パームレスト面で不快感を覚えるほどの熱は持たない。
ただし、その排熱設計ゆえに、負荷が大きくなるとデュアルファンの風を切る音が無視できなくなるほど大きくなる。CPUへの負荷が大きくなるシーンはもちろんだが、データの読み書きが続いてSSDが発熱してきた場合も、確実に冷却するためにファンの回転数は上がる。
もっとも、「ゴーッ」ではなく「サーッ」という音が響くようなイメージなので、音量の割に不快感は覚えない。それでも、図書館などの静かな場所では確実に“目立つ”ことは間違いない。静寂さが求められる場所ではユーティリティーソフト「VAIOの設定」の設定を確認し、CPUとファンの動作モードを「静かさ優先」にすることをお勧めする。
一方、負荷の大きくない場面ではファンの音はさほど気にならない。これはファンの機構面での工夫や、回転数の巧みな調整が奏功しているのだろう。それだけに、人によっては高負荷時との“ギャップ”をそれなりに大きく感じるかもしれない。
パワフルなCPUと、構成次第だが4Kディスプレイや高速な5G通信を1kg前後の重量で持ち運べるVAIO Zは、現時点では貴重な選択肢といえる。ただし、最小構成の税込み価格が26万700円、構成次第では50万円を超えるという「安くはない」ノートPCでもある。
「強力なCPUパワーを労せず持ち歩きたい」というなら、VAIO Zは確実に選択肢の筆頭となるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.