AMDは5月31日(米国東部時間)、デスクトップ向け新型APU(GPU統合型CPU)「Ryzen 5 5600G」と「Ryzen 7 5700G」を市販することを発表した。米国では8月5日に発売する予定で、想定販売価格はRyzen 5 5600Gが259ドル(約2万8410円)、Ryzen 7 5700Gが359ドル(約3万9400円)となる。
合わせて同社は、大企業向けのセキュリティ機能や管理機能を追加した「Ryzen PRO 5000 G-Series Desktop Processors with Radeon Graphics」(デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズAPU)を発表した。搭載製品は、HPやLenovoを始めとする主要なPCメーカーから登場する予定だ。
デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUは、「Zen 3アーキテクチャ」に基づく7nmプロセスのCPUコアと、RadeonブランドのGPUコアを統合した製品だ。先行して登場したモバイル向け製品の技術解説は、別の記事で紹介している。
CPUソケットは「Socket AM4」を採用する。メインメモリはDDR4-3200規格に対応し、最大で2チャンネルまで搭載できる。PCI Expressバスは、Revision 3.0(PCI Express 3.0)となる。
今回、Ryzen 5 5600GとRyzen 7 5700Gを市販することになったのは、Intelのデスクトップ向け第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Rocket Lake)への対抗策だと思われる。
デスクトップ向け第11世代Coreプロセッサは、PCI Express 4.0バスを20レーン装備しており、外部GPUと内蔵GPUを併用する場合や、より高速なSSDを使いたい場合に優位なCPUに仕上がっている。一方で、同プロセッサは内蔵GPUこそ最新のXeアーキテクチャベースに移行したが、実装面の都合からEU(実行ユニット数)を削減したため、モバイル向け製品と比べるとグラフィックスパフォーマンスが抑えられている。
そこでAMDは、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUについて、特にCPUのマルチコア性能と内蔵GPUのパフォーマンスの高さとをアピールする戦略を取り、GPU統合CPUにおける優位を獲得しようとしているようだ。
ボックス販売されるデスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUの仕様は以下の通りだ。なお、いずれもTDP(熱設計電力)は65Wだが、メーカーの設定で最小45Wとすることもできる。アンロック(オーバークロック)も可能だ。
【Ryzen 5 5600G】
【Ryzen 7 5700G】
デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズAPUは、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUをベースに、企業向け管理機能「AMD PRO」や複層式のハードウェアセキュリティ機能を追加したものだ。従来のRyzen PRO 4000シリーズと比べると、Microsoftが提唱する「Secured-Core PC」に対応するなど、セキュリティ機能を強化している。
デスクトップ向けRyzen PRO 5000シリーズAPUは、TDPが65Wの「Gプロセッサ」と、TDPを35Wとした省電力版である「GEプロセッサ」の2種類が用意されている。ラインアップは以下の通りだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.