では実際に使ってみよう。利用にあたっては、画面上部にあるホームボタンを押してメインメニューを呼び出し、操作を選択する。本製品は一般的なタブレットのようなホーム画面はないので、ホームボタンというよりは、メニューボタンくらいに考えておいた方が分かりやすい。ちなみにこのメニューはどの画面にいても呼び出せる。
利用するテンプレートは毎回選択するか、初期段階で使うテンプレートを固定しておくこともでき、種類も豊富だ。またPCを経由してテンプレートの追加や自作も行えるなど、この種の電子ノートとしては選択肢が多い。
テンプレートが表示されたら、後は付属のスタイラスを使って書くだけだ。新たに採用されたワコム製のスタイラスペンは、筆記の精度自体は向上しているが、スリムで軽いぶん(約7.2g)、手へのフィット感は若干失われた印象だ。また本体にマグネットで吸着する機能もなくなっている。
ペンや消しゴムの太さや種類は、画面上部のペンツールパネルから指定する。以前はそれぞれにテキストラベルがあったのが、今回のモデルではアイコン主体となり、やや分かりづらくなっている。理由は明らかではないが(海外展開を見越したものかもしれない)、従来モデルの方が分かりやすかったと感じる。
この他、手書きのメモを範囲選択して移動させる機能も用意されている。その一方で、図形の挿入機能や、テキストの入力機能、および手書き文字をテキストに変換するといった、電子ノートアプリによくある機能はない。紙のノートをデジタルで再現した製品と考えれば違和感はないが、こうした電子ノートならではの機能はそれほど豊富ではない。
筆記は直感的で、高速に筆記しても遅延は感じない。ただし描画した線は、ペン先を画面から離して一瞬待ってから確定される仕組みゆえ、次に書き始めるまで一拍待たされる。間を開けないように続けて書けばまとめて確定されるため、1ストロークごとに待たされるようなわずらわしさはないが、紙のノートにはない独特の感覚ゆえ慣れが必要になる。
ちなみに、「アンドゥ」「リドゥ」はストローク単位ではなく、確定されるまでに連続して書いた単位となるので、最後に書いた線を取り消そうとして漢字ごと消えてしまうことはよくある。消しゴム機能と適宜使い分けたい。
もう1つ、同じE Ink電子ノートである「Kobo Elipsa」や「BOOX Note Air」に比べると、線が細く、かすれているように見えがちなのも多少気になる。大学ノートの罫線がとぎれとぎれに見えるほどだ。
E Inkのパネルのムラかと思ったが、ベタ塗りではしっかり黒が出ているので、E Inkで表現できる線よりも細い線を描画させようとして途切れてしまっているように見える。濃淡の調整機能もないので、基本このまま使うしかない。この点はマイナスだ。
ちなみに本製品は、昨今のE Ink端末では標準になりつつあるフロントライト機能を備えていない。これは本体の軽量化につながってはいるものの、暗所での利用には向かない。特にドキュメントビューアとして使う場合はあった方が明らかに便利で、使い方によっては不便さを感じる場合もありそうだ。
続いて、他社のE Inkモデルと比べてみよう。
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