もちろん、3万円の価格差で、何から何までiPhone 13と同じというわけにはいかない。
では、どこが違うのだろうか?
最も大きな違いは、カメラとディスプレイだ。
製品を見てもらっても、背面にレンズが1つしかないことからもカメラの性能では差がついていることが明らかだ。だからといってiPhone SEのカメラの画質が悪いわけではない。実際に写真を撮ってみると驚くほどきれいに写真を撮れることが分かる。
実際iPhone SEの背面についているのは、iPhone 13シリーズについているのと同じ1200万画素の明るい広角カメラで、写った映像をデジタル処理で引き伸ばすデジタルズームにより、最大5倍まで引き伸ばせる点まで含めて、iPhone 13シリーズと同じなのだ。
ただし、iPhone 13/13 Proの人気機能で、驚くほど広い範囲を撮影できる超広角レンズは省かれている(iPhone 13 Proの望遠レンズも当然付いていない)。
とはいうものの、iPhone 13を使っていても、日常のスナップショットなどの撮影はほとんど標準の広角カメラで行うので、あまり写真を撮影しない人はそこまで気にしないかもしれない。
ちなみにiPhone SEでも、背景をぼかして一眼レフカメラで撮ったようなきれいな写真を撮れるポートレートモードも使えれば、機械学習(AI的な)処理でディテールを驚くほどきれいに描き出す「Deep Fusion」にも対応しており、スマートフォンで美しい写真を撮影する喜びを教えてくれる端末としては十分なポテンシャルを備えている。
写真を撮るのが楽しくなり、自らの写真をソーシャルメディアなどで発信するようになってきた人には、画質を損なわずに自分らしい味付けで写真が撮れる最新機能「フォトグラフスタイル」も利用できる。これは本製品登場までiPhone 13シリーズのユーザーだけが特権的に利用できていた機能であり、AppleがiPhone SEを13シリーズと並ぶ製品と位置付けていることがこんなところからも伺える。
ただiPhone SEのカメラ機能に慣れてくると、少しiPhone 13シリーズがうらやましくなってくるのも事実だ。iPhone 13シリーズでは、かなり真っ暗な場所でもシャッターをしばらく開けっぱなしにすること、で驚くほど明るい写真が撮れる「ナイトモード」機能もある。
iPhone SEのポートレートモード撮影は、機械学習処理で写真に写っている人物や動物などを画像として認識し、背景にぼかしをかけているのに対して、iPhone 13シリーズでは2つのレンズを使って被写体を立体的に認識した上で背景にぼかしをかけている。Deep Fusionでも複数のレンズを使って同時に撮影した写真を元に高解像度化を行うため、細かく見ていくと当然、iPhone 13シリーズで撮った写真の方が画質が高い。
またセルフィーを撮ったりするときに多用する、インカメラでは画質にも差がついている。iPhone 13シリーズのものは1200万画素だが、iPhone SEは700万画素だ。必要十分ではあるが、背面カメラ並みに高精細なセルフィーが撮れるiPhone 13をうらやましく思うことがあるかもしれない。
そうはいうものの、これらはカメラで何かを撮影するときだけに感じる違いだ。
日々の利用の中で、もっと頻繁に差が出るのはディスプレイの違いだろう。
iPhone SEと13 miniは、本体サイズはほとんど変わらない。SEの方がわずかに薄いが、13 miniは厚みがある分、一回り小さい。ただ13 miniの方が本体サイズが小さいにも関わらずホームボタンがなくディスプレイが淵から淵まで広がっていることもあり画面サイズが5.4型と大きいのだ(第3世代iPhone SEは4.7型)。加えて、画面解像度も2340×1080ピクセル(476ppi)の13 miniに対して1244×750ピクセル(326ppi)と差が付いている。
例えば、iPhone 13 miniを縦向きに構えて標準的な文字サイズで利用した場合、3行ほど表示領域が広く、Yahoo!ニュースを見ても見出しが2つ多く表示される。
写真などサイズが可変な情報を見るときには不自由を感じないが、一度、大画面スマートフォンに慣れてしまった人には、少し窮屈に感じるディスプレイサイズかもしれない。
とはいえ、この画面サイズに慣れている人にとっては問題にならないだろう。
その分、古くからiPhoneを使っている人には親しみのあるホームボタンを搭載し、Touch IDの指紋認証が利用できることに魅力を感じる人も多いはずだ。多くの人がマスクをつけたままのコロナ禍において、AppleはApple Watchの併用などでマスクをつけたままでも顔認証がしやすくなる工夫を進めているが、Touch IDと比べると利便性が落ちる部分もある。
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