今回、Mac Studioの型破りな性能に感嘆せずにはいられなかった……のだが、個人的にさらに大きく感動したのはStudio Displayの使い心地だ。レビュー期間中、何度かStudio Displayを愛用のMacBook Airにつなぎ換えて使っていたが、あまりに快適で手放せなくなるのを感じた。
何に感動したのか。27型で5K(5120×2880ピクセル)解像度、600ニトの最大輝度、そして最大約10億色表示に対応している大画面であることはもちろんなのだが、ポイントはそれだけではない。
まず、ヘッドホンなしで空間オーディオ再生できる優れた音響システムだ。YouTubeなどに上がっている「Dolby Atmos」に対応する映像を再生してみると、ちゃんと音が背後から聞こえてくる。ヘッドフォンの空間オーディオほどハッキリとしたものではないが、後ろ方向からの音声も頭のすぐ後ろくらいには感じられる。M1搭載iMacの音響システムもなかなかすごかったが、Studio Displayではさらに低音が効き、自然な音も迫力のある大音響にしても素晴らしい。
Apple Musicに登録された空間オーディオの音楽を聴くだけで楽しくて、ついつい聴き過ぎてしまう。今、こうして叩いているキーボードのすぐ先にウッドベースが現れたかと思ったら、右側からマリンバのような音が聞こえてきたりもする。
もちろん、音の立体感には空間オーディオの調音との相性もあるが、うまく調音されている音源は、目を閉じると本当に生演奏を聴いているかのような気分に浸れるものがある。ディスプレイを見に行って、音楽を再生する人はなかなかいないだろうが、販売店に行ってStudio Displayを検証する際は、ぜひ大音響で音楽も再生してみてほしい。
これでDolby Atmos対応の映画とかを見始めると、なおタチが悪い。Macを置いたデスクが完全にプライベートシアターになるのだ。Studio Displayの3倍ほど高価な「Pro Display XDR」は画面も大きく、HDR表示の画質も上かもしれない。しかし、こうしたカジュアルな楽しみはStudio Displayならではだ。
音質という観点では、内蔵マイクの音質も良い、これだけで楽器の演奏やボーカルなど音楽の収録もできるスタジオ品質を確保できている。
Studio Displayは仕事用ディスプレイとしても最強だが、大画面と大音響で映画やゲームを楽しむ上でも最強というカジュアルさを備えている。その点でも、Macの製品カルチャーに非常にマッチするディスプレイだと思った。
Studio Displayの素晴らしいポイントはまだある。もう1つ、注目してほしいのが内蔵カメラだ。122度の視野角を持つ超広角カメラで、センサーは約1200万画素。F2.4とレンズも明るい。
レビュー期間中にWeb会議をする機会が何度もあったが(Zoomが一番多かったが、結果的にWebex、Microsoft TeamsやGoogle Meetも試せた)、MacBook Airの内蔵カメラなどと比べると圧倒的に画質が良く、つい毎回Studio Displayをつないでそちらのカメラを使っていたほどである。
ただし、MacBook Airとつないだ場合は「センターフレーム機能」がうまく動作しなかった。この原因は現在調査している。
3月15日(日本時間)にリリースされたばかりの「macOS Monterey 12.3」では、β版ながら1台のキーボードとトラックパッド(またはマウス)で複数のApple機器を操作できる「ユニバーサルコントロール」機能が搭載された。例えばMacBook Airと「iMac」の2台使いでも、操作性が向上するだろう。
しかし、これまで通り使うマシンは1台だけに絞って、必要に応じて外付けディスプレイをつなぐというワークスタイルもある。このスタイルが好みに合っている人にとって、Studio Displayはかなり魅力的な選択肢だと思う。
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